現在開催中の第39回東京国際映画祭で30日、避難を余儀なくされた映画制作者らを支援する「ディスプレイスメント・フィルム・ファンド(DFF)」の短編作品上映トークショーおよび記者会見が行われた。
ヒューリックホール東京で行われたトークショーには、共同創設者でリーダーを務める俳優のケイト・ブランシェットをはじめ、モハマド・ラスロフ監督、シャフルバヌ・サダト監督、特別ゲストとして俳優の役所広司が登壇。
東京ミッドタウン日比谷ホールでの記者会見には、ブランシェット、ラスロフ監督、サダト監督に加え、ロッテルダム国際映画祭マネジング・ディレクターのクレア・スチュワート、創設パートナーとして支援する株式会社ファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員の柳井康治が出席した。
ケイト・ブランシェットが語る難民映画制作者への支援
DFFは、ブランシェットとロッテルダム国際映画祭のヒューバート・バルス基金が共同創設し、ユニクロが創設パートナーとして参画している。祖国を追われた映画制作者や、避難民としての経験を描く映画制作者への支援・助成を目的とし、会場では基金の支援で制作された5本の短編映画が日本初上映された。
ブランシェットは設立の背景について、数年前に世界難民フォーラムで国を追われながらも優れた作品を作る監督たちを知ったことが契機だと明かし、制約が少なく実験的な試みが可能な短編という形で仕事の機会を提供したと説明した。
作品を手がけた監督らも登壇し、それぞれの創作背景を明かした。『センス・オブ・ウォーター』を監督したラスロフ監督は、イミグレーションは異文化に触れる好機である一方、自身の意志に反して移民となることで人生が一変し疎外感が生まれると指摘。
約3年前にイランを強制的に離れて亡命した経験に触れつつ、母国を離れる中で感情を伝える「言葉」の重要性に直面したことが作品の基盤になったと語った。
また『スーパー・アフガン・ジム』を監督したサダト監督は、人生を通じて難民として生きてきた過去や母国での家父長制度による苦悩を振り返り、自らの身体こそが我が家であるべきという気付きから制作に向き合った経緯を明かした。
役所広司が短編映画を評価、作品に込められた思いを語る
特別ゲストとして登壇した役所は、売上が難民支援に充てられるユニクロのチャリティTシャツ「PEACE FOR ALL」を着用して登壇。上映作品について、静けさの中で男女の愛と苦悩、深い傷を描いた『センス・オブ・ウォーター』の美しさを称賛した。
さらにサダト監督の作品については、かつて戦禍で傷ついたカブールの街で人々が懸命にダイエットに励む微笑ましく平和な姿を通じ、人間の底力を感じさせ、5作品の中でバランスを取る極めて重要な役割を果たしていると評した。
記者会見では、スチュワートがDFFの歩みを紹介し、2025年1月のロッテルダム国際映画祭での上映をはじめ、ユニクロなどの支援を受けて進展し、2026年のカンヌ国際映画祭で次の5人の監督が発表される予定など、短期間で大きな情熱とともに結実したと説明した。
ブランシェットは世界で67人に1人がディスプレイスされている厳しい現実に触れ、被害の実態報道にとどまらず、描かれる一人ひとりの日常や職業に光を当てるべきだと強調。制作者には題材の自由を完全に保障している方針を述べた。
難民映画制作者の国際的な評価と支援拡大に期待
また質疑応答では、来日中の映画芸術科学アカデミーのビル・クレイマーCEOが難民の制作者や作品もオスカーのカテゴリーに出品できるよう規則変更に言及したことについて質問が上がった。
ブランシェットは、祖国を追われ活動継続が困難なクリエイターの作品を認める決定は深く意義深いと評価した。サダト監督は「ディスプレイスド」という特定のカテゴリーにラベル付けされる葛藤を抱えつつも、作品を通じた連帯の意義を口にした。
柳井はブランドとして国籍や人種を問わず支援を続ける姿勢を示し、DFFの優れた作品がアカデミーなど世界的な場で評価されることを積極的に後押ししたいと語った。
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編集:小田菜々香













































