愛知県名古屋市で11月2日に開催された「第12回全国日台国際交流サミット」で、ジャーナリストで大東文化大学教授の野嶋剛氏が、「多様化する日台交流の展望―都市がリードする経済・観光・助け合い―」と題して基調講演を行った。
野嶋氏は、日台関係の中心にあるのは人と人との絆であり、その最前線を担うのは地方都市での交流だと強調。観光や経済、災害時の相互支援などを通じて、地方自治体が主導する新たな「地方外交」が広がっているとの見方を示した。
名古屋の「台湾・台中夜市」を評価 日台交流を支える地方の力
講演の冒頭、野嶋氏は名古屋市中心部で開催されている「台湾・台中夜市」に言及し、本場の味や会場の活気を高く評価した。
また、行政と議会、民間の非営利団体(NPO)が三位一体となってイベントを定着させてきた運営体制についても、その意義を強調した。
野嶋氏は、自転車で台湾を一周した自身の経験を引き合いに出し、日台交流を自転車の前輪と後輪に例えた。
中央政府や国会が前輪だとすれば、後輪として推進力を生み出しているのは、地方議会や各地で草の根交流を支える人々の情熱だと指摘した。
その上で、日台関係の核心的な価値は人と人とのつながりにあり、地方都市で積み重ねられる交流こそが、その最前線を担っていると訴えた。
台湾の2026年統一地方選を分析 2028年総統選の試金石に
野嶋氏は、目前に迫った台湾の統一地方選挙についても分析した。
台湾の地方選挙では、伝統的に最大野党・国民党が強さを維持してきた一方、与党・民進党は台北市や新北市などの注目選挙区を含め、予想以上の善戦を見せているとの見方を示した。
また、今回の地方選挙は、2028年に予定される次期総統選挙に向けた重要な試金石になると指摘した。
台湾からの訪日客は年間700万人規模へ 地方経済を支えるインバウンド需要
続いて野嶋氏は、観光や経済に関するデータを示し、台湾からの訪日客数が年間約700万人に達する勢いで増加している現状を説明した。
台湾の人口規模を踏まえると、年間の訪日客数は人口の約3人に1人に相当する水準に近づいていると指摘した。
特に、仙台や福島などの東北地方をはじめ、石川、熊本、新潟など、三大都市圏以外の地方空港にも台湾との直行便が相次いで就航していることを紹介した。
さらに、多くの自治体で、外国人宿泊者数のうち台湾からの旅行者が最多となっている実態にも言及した。
野嶋氏は、東京の大手メディアが取り上げる中国人観光客による「爆買い」のイメージとは異なり、日本の地方経済を着実に支えているのは、台湾からのインバウンド需要とその経済力だとの認識を示した。
半導体や企業誘致を背景に地方外交が拡大 日台自治体間の提携は171件に
野嶋氏は、日本各地の知事が中国からの反発を恐れず、相次いで台湾を訪問している背景についても解説した。 (関連記事: 日台交流サミット歓迎交流会、名古屋で開催 古屋圭司氏が「台湾」表記是正の成果を報告 | 関連記事をもっと読む )
従来の親善交流に加え、近年は半導体関連産業や企業誘致、研究開発分野での連携、サプライチェーンの確保といった、地域経済の振興につながる実利的な目的が大きな動機になっていると分析した。













































