11月28日の統一地方選挙まで1カ月を切り、台北市長選は激しさを増している。民進党の沈伯洋氏の集会には大勢の支持者が詰めかけ、熱気に包まれている。中央研究院院士で台湾大学医学院教授の陳培哲氏は『新新聞』のインタビューで、民進党は支持者に勝利への自信を抱かせることに成功し、「巣流(そうりゅう)」とも呼ぶべき総動員の流れを生んだと分析する。ただ、集会の人波が票に結びつくかはなお見極めが必要だという。
陳氏は、沈氏本人が選挙運動によって膨らんだ高い期待に応えられるか、米中間選挙後の国際経済情勢、APEC首脳会議がもたらし得る地政学的な影響という三つの変数を挙げた。
民進党が生んだ「巣流」、最後の鍵は投票率
「今回の民進党の仕掛けは、台北市の支持基盤に『勝てる』と信じさせることに成功した。だから支持者は非常に熱狂的で、集会には総出で駆けつけ、『巣流』が生まれている」
陳氏は、支持者が「総出で駆けつける」という意味の中国語「傾巣而出」にかけ、こうした動きを「巣流」と表現した。
陳氏は、今回の選挙戦で民進党が上げた重要な成果は、支持者に再び勝利への希望を抱かせ、集会への積極的な参加につなげたことだとみる。大規模な人波とネット上での高い注目度は、支持基盤の自信を強めるだけでなく、中間層の選択にも影響を与えようとするものだという。

ただし陳氏は、集会の人波は実際の票と同じではないと注意を促す。今回の動員で民進党支持層の投票意欲は大きく高まったとみられ、蒋万安氏の陣営も同じように支持者の投票率を引き上げる手立てを講じなければならないという。
「だから蒋万安陣営は、支持者を投票所に向かわせるよう努力しなければならない。最後は投票率次第だ」
沈氏は「神格化するような選挙戦略」に応えられるか 討論会の出来に疑問
陳氏は、第一の変数は沈氏本人だと指摘する。
現在の沈氏の集会が示す巨大なエネルギーは、候補者個人の魅力だけでなく、主に民進党全体の組織動員によるものだという見方だ。
陳氏は、2018年に韓国瑜氏が高雄市で巻き起こした「韓流」と比較する。当時の韓氏はほぼ個人の魅力だけで政治的なブームを生んだが、沈氏の勢いは民進党の組織が強力に支えており、両者は成り立ちが異なるという。「沈氏自身がこうした神格化ともいえる政治的な売り出し方に応えられるかどうか、見極める必要がある」

とりわけ、沈氏の初のテレビ討論会での出来は陳氏にとって意外だった。沈氏はこれまで政治的な弁論を得意とし、立て板に水のように語ってきたが、今回の討論会は「意外なほど悪く」、期待を下回ったと率直に語る。
陳氏は、民進党寄りのメディアが2回目の討論会の開催を望んでいることについて、初回の出来が期待に届かなかったため「再試験」の機会を求めているのだと解釈する。「それは前回の試験がうまくいかなかったということだ」 (関連記事: 【台湾世論調査】討論会評価は沈伯洋氏47%、蒋万安市長40% 支持率は蒋氏46%で4ポイントリード | 関連記事をもっと読む )
陳氏は、政党が候補者を政治の舞台の高みに押し上げたとき、候補者自身がそれに見合う力を示せるかが、選挙戦終盤の重要な試練になると疑問を投げかけた。「とりわけ、沈氏がこうした神格化するような政治的な売り出し方に応え続けられるかは、見極めが必要だ」













































