【2026台湾統一地方選】新北市長選、侯友宜氏だけでは足りない? 李四川氏の勝敗を左右する蔣万安氏の後押し

国民党の新北市長候補、李四川氏(写真)。勢いを増す民進党の蘇巧慧氏を相手に、厳しい選挙戦が予想される。(写真/劉偉宏撮影)
国民党の新北市長候補、李四川氏(写真)。勢いを増す民進党の蘇巧慧氏を相手に、厳しい選挙戦が予想される。(写真/劉偉宏撮影)

2026年末の台湾統一地方選で、国民党、民進党の双方が攻防の重点に位置づけているのが新北市長選だ。国民党が現在市政を担う台北、新北、桃園、台中の4直轄市のうち、とりわけ選挙戦が緊迫しているのが新北市だ。新北市は台湾最大の票田で、有権者数は340万人を超え、台湾全体の約17%を占める。

国民党にとって、新北市を守ることは2028年総統選で民進党と争うための重要な足場となる。一方、新北市を失えば、2028年に中央政権を奪還する可能性は相対的に厳しくなる。

国民党公認候補で前台北市副市長の李四川氏にとって、勢いを増す民進党の蘇巧慧氏との戦いは、決して容易なものではない。

台湾で最も選挙戦が難しい地方首長の一つとして、新北市長は常に名前が挙がる。新北市は面積が広く人口も多いだけでなく、いわば台湾社会の縮図ともいえる。高度に都市化した板橋、永和、三重などがある一方、雙溪、貢寮、坪林、石門など、農村的な景観を残す地域も抱える。

板橋に選挙対策本部を置く市長候補が北海岸の各地域を回ろうとすれば、移動距離が長いため早朝に出発し、午後、場合によっては夜になってようやく本部に戻ることもある。

直轄市への昇格前の旧台北県では、各郷・鎮・市の首長は現在の直轄市の区長のような任命制ではなく、住民の直接選挙で選ばれていた。台湾中南部の県市と同様、旧台北県の各地にも、選挙を通じて政治・経済的な影響力を築いてきた地方派閥が存在した。

新北市の各行政区における政治勢力図
新北市は面積が広く人口も多いだけでなく、都市部と農村部が混在し、台湾社会の縮図ともいえる特徴を持つ。(羅立邦氏作成)

新北の地方派閥は衰退、それでも残る有力な政治家一族

​旧台北県時代、各郷・鎮・市には強い影響力を持つ地方派閥や政治家一族が数多く存在した。中和市の「林江派」では、国民党系に前立法委員の張慶忠氏一族、民進党系に前立法委員の江永昌氏がいた。板橋市には、板橋市長を務めた劉順天氏や台北県議長を務めた劉炳偉氏につながる「劉派」、板橋市長を務めた郭政一氏の「郭派」があった。

三重市には朱清發氏、朱俊曉氏らの「朱派」、新店市には羅明才氏一族、新莊市には前立法委員の蔡家福氏や李鴻鈞氏の一族がそれぞれ存在した。

しかし、台北県が新北市に改制・昇格し、29の郷・鎮・市が行政区となったことで、区長はすべて任命制となった。伝統的な地方派閥は、それまでのように地方首長選を通じて行政資源を獲得することができなくなった。

さらに、都市化や域外からの人口流入によって人口構成が変化し、従来の動員力や政治的影響力も低下。地方派閥の衰退や変質が一段と進んだ。

国民党系の地方派閥や政治家一族を見ると、板橋の郭派は学界や実業界へ活動の軸足を移したことで、地方政治の表舞台から徐々に姿を消した。

三重の朱俊曉氏も2008年の立法委員選挙で落選した後は実業に専念している。現在も水面下で国民党を支援しているとされるが、三重の朱派が政治的に衰退したことは否定できない。 (関連記事: 【2026台湾統一地方選】新北市長選、一時の大差から混戦へ 蘇巧慧氏が李四川氏との差を縮めた理由 関連記事をもっと読む

新莊でも蔡家福氏、李鴻鈞氏が選挙に出馬しなくなった後、現職の新北市議会議長、蔣根煌氏が台頭し、新莊・泰山における国民党勢力をまとめる存在となった。

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