台湾の蕭美琴副総統がイタリア西岸沖のヴェントテーネ島(Ventotene)を訪れ、第2回「ヴェントテーネ欧州自由・民主主義会議」に出席した。中国外務省が「厳正な申し入れ」を行い、「一つの中国原則」の順守を求める一方、欧州連合(EU)は台湾との交流を続ける意向を改めて表明した。イタリア国会の要人らも相次いで台湾への支持を示し、欧州議会議員からは、台湾と欧州のハイレベル交流がすでに一定程度「制度化」しているとの指摘も出ている。蕭副総統は現地時間11日夜、台湾は国際舞台で発言する機会をとりわけ大切にしており、そのための努力を続けていく考えを示した。
台湾総統府と外交部は11日、蕭副総統が林佳龍外交部長(外相)の同行の下、招待を受けてイタリアで開催された第2回「ヴェントテーネ欧州自由・民主主義会議」に出席したことを確認した。昨年11月に「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)の招待を受け、ベルギー・ブリュッセルの欧州議会を訪問して以来、再び欧州を訪れたことになる。
欧州議会の公式サイトによると、同会議はイタリア出身の欧州議会副議長ピナ・ピチェルノ(Pina Picierno)氏が発案・推進し、欧州議会イタリア事務所が主催。ヴェントテーネ市の後援とラツィオ州の支援を受けて開催された。
蕭副総統のイタリア訪問を受け、中国外務省の毛寧報道官は11日の定例記者会見で、民進党当局と一部の政治家が「民主」「自由」を掲げながら外部勢力を利用して独立を図っているとして、「このような行為は恥ずべきものであり、結局は徒労に終わる」と批判した。
毛氏は、中国側が「台湾独立」派の政治家によるイタリアでの関連会議出席について、イタリア側と欧州側に「厳正な申し入れ」を行ったと説明。「一つの中国原則」は中国・イタリア関係と中国・EU関係の政治的基礎だとして、関係各方面に実際の行動で順守するよう求めた。
一方、中央社によると、EUの報道官は、具体的な外遊日程や欧州議会議員との面会についてはコメントしないとしながらも、「一つの中国政策」の下で、EUと加盟国はEUの利益を促進するため台湾と交流する意思があると回答した。
欧州議会の対中関係議員団団長を務めるエンギン・エロウル(Engin Eroglu)氏は、欧州では近年、台湾との接触が大幅に増えており、ハイレベル交流もすでに一定程度「制度化」していると指摘した。エロウル氏は欧州議会の「Delegation for relations with the People's Republic of China」の団長を務めている。
蕭美琴氏「台湾と欧州はともに新たな課題に直面、共通の利益も多い」
イタリア現地時間11日夜、蕭副総統は「ヴェントテーネ欧州自由・民主主義会議」で英語による演説を行った。
冒頭、ピチェルノ氏に謝意を表し、会議への招待と台湾をこの重要な議論に加えたことに感謝した。蕭副総統と台湾代表団は台北を出発後、空路、陸路、海路を乗り継ぎ、悪天候にも見舞われながら27時間をかけて現地に到着したと説明。それでも今回の訪問には大きな意義があるとし、実現に尽力した関係者や、台湾を支持し、ともに立ってくれた出席者らに謝意を示した。
蕭副総統は、ヴェントテーネ島には特別な歴史があると指摘した。欧州が最も困難で暗い時代に、全体主義に抵抗した人々がファシスト政権によってこの地に流刑となる一方、統合と協力を通じて平和と欧州の未来の基盤をどのように築くかを論じた「ヴェントテーネ宣言」(Ventotene Manifesto)が生まれた場所でもあると紹介した。
台湾もまた、非常に困難な民主化の道のりを歩んできたとし、今年で総統直接選挙の実施から30年を迎えたと説明。これは37年に及ぶ戒厳令と長期にわたる植民統治の時代を経て実現したものであり、ヴェントテーネ島で自由を求めた人々と同じように、台湾にも過酷な環境の中で自由と民主主義のために闘ってきた多くの人々がいると述べた。
蕭副総統はまた、欧州、インド太平洋、台湾はいずれも新たな現実に直面していると指摘した。欧州統合と平和という理想が築かれた当時の基本的な前提は、ロシアによるウクライナ侵攻によって揺さぶられており、経済関係がもたらすものも機会だけではなく、新たな脆弱性やリスクを伴うと述べた。
台湾でも民主主義が軍事的圧力やグレーゾーンでの圧力の高まりに直面しており、自らが持つものを守るため、経済力や防衛力を強化するとともに、社会全体のレジリエンス構築に取り組んでいると説明した。
蕭副総統は、台湾と欧州はともに新たな課題に直面する一方、多くの共通の利益も有していると強調した。互いの相違が平和的な方法で解決されること、民主的な意思が尊重されること、そして大国が威嚇や強要によって小国の未来を決めるべきではないという点で共通の関心があると述べた。
ヴェントテーネ島であれ台湾であれ、自らの声を持つに値しないほど小さな島はなく、尊重されるに値しないほど小さな島や社会も存在しないとし、だからこそ台湾が今回の対話に参加することには重要な意義があると語った。
蕭美琴氏「厳しい環境だからこそ国際社会で発言する機会を大切に」
中国からの圧力について問われた蕭副総統は、台湾の国際的な活動空間を制限し、狭めようとする圧力は長年続いており、自身も個人として標的となり、制裁を受けてきたと述べた。
台湾を取り巻く環境が厳しいからこそ、国際舞台で発言する機会をとりわけ大切にしているとし、台湾の人々が国際社会で尊重され、尊厳を持って存在できるようにするため、努力を続けていく考えを示した。
蕭副総統はさらに、ヴェントテーネ島で多くの猫を見かけたことに触れ、自身がかつて「戦う猫」を自称した理由について説明した。
猫は柔らかく、温かく、かわいらしい一方で、非常に高いレジリエンスを備えており、時には厳しい環境や狭い空間でも生き延びることができると指摘。さまざまな力がせめぎ合う中でバランスを取り、塀の上を歩くように、しなやかさと機敏さを保ちながら活路を見いだす力があると語った。
また、猫は小さく見えても自分の背丈の何倍もの高さまで跳ぶことができるとして、台湾も同じように、国土や人口の規模は小さくても強い力を持ち、その影響力は島や人口の規模を超えて発揮できると信じていると述べた。
台湾が多くの国際機関から排除されている問題について、蕭副総統はまず、欧州議会を含む各方面が、世界保健機関(WHO)などの国際機関への台湾の「意義ある参加」を繰り返し公に支持してきたことに謝意を示した。
台湾には多くの貢献をする能力があるにもかかわらず、その声が無視されることがあり、新型コロナウイルス感染症の流行時には、そのことによる影響も生じたと指摘した。
越境犯罪への対応や国際民間航空の安全など、さまざまな国際機関において全ての関係者の協力が必要であり、台湾には貢献する意思も能力もあると強調。「今後も環境は非常に厳しいものになるだろうが、それでも台湾の人々が寛容さを保ち、手を差し伸べ、世界における『善の力』であり続けることを止めることはない」と述べた。
ロシアによるウクライナ侵攻については、多くの分析でウクライナと台湾が比較されているとした上で、ウクライナの状況は非常に痛切な形で、台湾がより多くの努力を重ね、「次のウクライナ」にならないようにする必要性を思い起こさせると指摘した。
戦争は台湾にとって選択肢ではなく、平和が最終的に勝利することを確実にするため、さらに多くの取り組みが必要だと強調した。
台湾政府が掲げる自衛能力の向上、経済的な地位の強化、国際パートナーシップの拡大、中台関係で「挑発せず、屈服もしない」とする原則的な立場といった政策の柱は、いずれも平和が勝ち続けることを確実にするためのものだと述べた。