トランプ米大統領は先ごろ、進歩派シンクタンク「アメリカ進歩センター」(Center for American Progress、CAP)を名指しで批判し、あわせてCAPを支える国内外の資金提供者にも矛先を向けた。その一つには、台湾の駐米代表機関である駐米台北経済文化代表処も含まれていた。
これについて、在米学者の翁履中氏は、今回の件で台湾が注視すべきなのは、トランプ氏がまた別の進歩派シンクタンクと衝突したという点ではなく、その政治的圧力が「内容への批判」から「誰がそうした機関を支援しているのか」へと広がりつつあることだと指摘した。
翁履中氏はフェイスブックへの投稿で、トランプ氏のスタイルに詳しい者なら分かる通り、同氏はまず公の場で相手を名指しし、圧力と不確実性を高めた上で、相手がどう反応するかを見ることが多いと説明した。
トランプ氏にとって交渉は、交渉のテーブルに着いてから始まるものではなく、公の場での発言や法的措置の示唆、さらには相手の支援者を名指しすること自体が、すでに交渉の一部になっているとの見方を示した。
トランプ氏は誰を名指ししたのか 翁履中氏「政治的シグナル」の可能性
翁履中氏は、トランプ氏の投稿で興味深いのは、CAPには共和党と関係の深い企業や資金提供者を含む多くの支援者がいるにもかかわらず、トランプ氏がそのすべてを名指ししたわけではない点だと指摘した。
そのため、名指しされた企業や海外機関は今後、トランプ氏の次の一手を注意深く見守ることになるとした。
現時点では、トランプ氏がこうした対象に対して具体的な行動を取ることを示す証拠はないものの、もしこのリストが無作為に作られたものではないのなら、それは「相手に、自分たちはすでにトランプ氏の視野に入っていると知らせる」という政治的シグナルとして機能する可能性があると分析した。
翁履中氏は、台湾にとって本当に重要なのは、今回のシンクタンクをめぐる協力関係の是非を急いで論じることではなく、ワシントン全体の風向きが変わりつつあるかどうかを見極めることだと強調した。
特に、2回目の米中首脳会談を控えるなか、トランプ氏の台湾に対する口調や要求が一段と厳しさを増す一方、北京に対しては関係改善や対立の緩和、さらには再交渉を望む姿勢を示し続けているとすれば、こうした政治的な空気は台湾にとって決して良い兆候ではないと述べた。
台湾が米中交渉のカードになるのか 今後の動向に警戒
翁履中氏は、トランプ氏が直ちに台湾を北京との取引材料にするのではないかと過度に心配する必要はないとしつつ、国際政治で本当に危険なのは「交換」が実際に起きるその日ではなく、その前段階で空気が徐々に変わっていることに気づかないことだと分析した。
台湾が注視すべきなのは、トランプ氏が今日どのような発言をしたかではなく、この先の対台湾武器売却の進捗、台湾総統の米国通過(トランジット)、米国の台湾に関する公式な表現、そして米中関係がどの方向へ動いていくかだと述べた。
翁履中氏は、トランプ氏が今後、台湾に対米投資の拡大や半導体生産能力の移転加速を求めるだけであれば、圧力は小さくないとしても、価格や時期、交換条件を交渉できる経済・貿易上の問題だと指摘した。
本当に警戒すべきなのは、台湾がトランプ氏の米中関係をめぐる政治的な計算に組み込まれた場合であり、それは金銭で簡単に解決できる問題ではないと述べた。
翁履中氏は、トランプ氏の政治スタイルは台湾がそれを好むかどうかで変わるものではないと指摘。名指しされ、トランプ氏の不興を買ったと見なされた以上、台湾がすべきなのは、同氏の論理を真剣に理解し、ワシントンの風向きを把握し、最悪の事態にどう向き合うかを今のうちから考えておくことだとした。
その上で、陣営によって受け止め方が異なることを気にしたり、嘆いたりすることではないと締めくくった。
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編集:梅木奈実













































