台湾「白色テロ」を描いた『霧のごとく』、アカデミー賞台湾代表に 金馬賞4冠の話題作

陳玉勳監督の『霧のごとく』(原題:大濛)が、2027年の第99回米アカデミー賞「国際長編映画賞」の台湾代表作品に選出された。(写真/華文創股份有限公司提供)
陳玉勳監督の『霧のごとく』(原題:大濛)が、2027年の第99回米アカデミー賞「国際長編映画賞」の台湾代表作品に選出された。(写真/華文創股份有限公司提供)

台湾文化部は18日、2027年に開催される第99回米アカデミー賞の「国際長編映画賞」に向けた選考会議を経て、陳玉勳監督の『霧のごとく』(原題:大濛)を台湾代表作品として推薦することを決定したと発表した。

文化部によると、アカデミー賞に出品する台湾代表作品の選定は、中華民国映画演劇協会の委託を受けて影視局(映像・映画局)が実施している。

今年の選考には国産映画7作品がエントリーし、選考委員会での活発な議論を経て、多数決により『霧のごとく』を台湾代表として送り出すことが決まった。推薦理由としては「登場人物が生き生きとしており、物語運びも流麗。生き生きとした庶民の視点から時代を描き出し、台湾らしさを映し出すと同時に、普遍的な人間性への眼差しも備えている」ことが挙げられている。

原題の「大濛」は「深い霧」を意味し、日本では『霧のごとく』のタイトルで公開されている。この原題は1950年代の台湾が置かれていた歴史的な空気感を暗示するものだ。作品は、時代という大きな歯車のなかで生きるしかなかった名もなき人々の、やるせなさと優しさを丹念に描き出す。

陳玉勳監督は庶民の視点から白色テロの歴史に光を当て、あの時代を覆っていた雲や霧に敬意を表しつつ、監督ならではの草の根的なユーモアも失わず、人間の喜怒哀楽と善悪を余すところなく描いている。

『霧のごとく』は第62回金馬奨で「最優秀作品賞」「最優秀オリジナル脚本賞」「最優秀美術賞」「最優秀衣装賞」の4冠に輝いた。さらに2026年の第28回台北映画賞では13部門にノミネートされ、最終的に「最優秀長編劇映画賞」「最優秀脚本賞」「最優秀オリジナル映画歌曲賞」「最優秀美術賞」「最優秀衣装賞」の5冠を獲得した。

海外での評価も高く、イタリアのウーディネ極東映画祭のコンペティション部門に選出されたほか、香港国際映画祭、米国サンディエゴ・アジアン映画祭、シンガポール華語映画祭にも相次いで選出され、国際的な配信プラットフォームでもランキング上位の成績を収めている。

文化部は、台湾が持つ民主主義・自由の深い土壌と多様な文化を受け入れる包容力こそが、台湾の映像・映画制作にとって最も貴重な土壌になっていると述べる。この豊かな創作エネルギーは市場での好調な成績にも表れており、世界的に鑑賞習慣が変化するという課題に直面しながらも、国産映画は2025年から2026年初めにかけて「5作品が興行収入1億台湾元超え」という記録を打ち立てた。今年7月時点で、国産映画の総興行収入はすでに11億9200万台湾元に達し、累計動員数も440万人を突破、昨年の年間実績をすでに上回っている。

国内市場を深耕する一方で、海外展開をさらに広げるため、文化部は昨年「大航海計画」を打ち出した。国際共同出資・共同製作の拡大や、国境を越えた人材・技術交流の深化を通じて、台湾映画産業全体のレベルアップを図り、着実に国際市場へと歩みを進めることを目指すものだ。

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