公益財団法人旭硝子財団は8日、東京都江東区の日本科学未来館において「環境危機時計調査第35回記念時刻発表会2026」を開催し、世界中の有識者の環境危機意識を集計した2026年の世界平均時刻が「9時39分(極めて不安)」となったことを発表した。
前年と比べて針が6分進んだ結果となり、気候変動や生物多様性の喪失といった課題が相互に深く結びつく深刻な現状が示された。
同発表会では日本の一般生活者を対象とした「第7回 生活者の環境危機意識調査」の結果も公表され、環境問題の解決可能性について大人世代の「解決できる」という回答が27%にとどまった。
その一方、学校でSDGsなどを学んできた高校生世代では過半数の51%が「解決できる」と答えるなど、未来を変えようとする若い世代のポジティブな姿勢が浮き彫りとなった。
ジオ・コスモスで環境危機を発信 毛利衛氏も登壇
会場では、日本科学未来館のシンボルである直径6メートルの高精細球体ディスプレイ「ジオ・コスモス」に時刻を映し出すアンベール演出が行われた。
冒頭で登壇した同財団専務理事の杉本直樹氏は、時計が示す数字を知るだけでなく、その背景にある一人ひとりの意識や危機感を世界中で共有し、何ができるかを共に考えて対話を起こすきっかけにしてほしいと述べ、持続可能な地球環境の実現に向けた対話と行動の重要性を訴えた。
基調講演には、宇宙飛行士で日本科学未来館名誉館長の毛利衛氏が登壇した。「ジオ・コスモス」を用いて宇宙から見たリアルな地球の姿を映し出し、地球環境の尊さと危機の深刻さを伝えた毛利氏は、有識者向けアンケートに基づき算出した自身の「私の環境危機時計」として「11時34分」という極めて高い危機感を示す時刻を公表した。
毛利氏は急速な人口増加や人類史の視点を交えて解説しつつ、「地球生命として生き伸びる」というメッセージを提示。宇宙から見つめた地球の回復力に触れ、地球の修復はまだ間に合うことを強調したうえで、科学技術をはじめとするあらゆる知恵を結集し、決して諦めず持続的に生き残ろうと力強く呼びかけた。
江守正多氏と野口絵子氏が環境危機を議論
続いて行われた特別対談では、気候科学者で東京大学未来ビジョン研究センター教授の江守正多氏と、登山家でタレントの野口絵子氏が登壇した。
本年の時刻「9時39分」や高校生世代の前向きな調査結果について意見を交わしたほか、両氏の事前回答による「私の環境危機時計」が偶然にも揃って「8時54分」となったことが明かされた。
野口氏は食育活動の経験から自然の元に戻る力を信じており、まだ遅くはないと訴え、江守氏は若者たちの前向きな意識に刺激を受け、社会全体で行動を起こしていく期待を込めた時刻であると意図を説明した。
また情報発信のあり方として、江守氏は危機感と同時に解決策の説明をセットにすることが重要であり、理想の速度ではなくとも対策は進んでいるという前向きな事実を伝える意義を強調した。
発表会の結びにあたり、同財団理事長の島村琢哉氏が登壇した。島村理事長は、環境危機時計は未来を悲観するためのものではなく、私たちが今どこにいるのかを知り、これから何ができるのかを考えるための時計でありたいと語り、本日の機会がそれぞれの立場から地球環境について考え、行動を起こす契機となることへの期待を表明した。
同財団は今後も環境危機時計をはじめとする取り組みを通じて、地球環境との向き合い方を社会に問いかけ、対話と行動を促していく方針である。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp
編集:小田菜々香













































