「台湾人はトランプを信用していない。彼らは米国が自分たちを守りに来るとも思っていない。中国との合意がますます避けられないものに見え始めている」
――アトランティック誌「台湾はこのまま諦めるのか」より
米誌アトランティックは8日、長文記事「台湾はこのまま諦めるのか」を掲載した。記者のサイモン・シュスター氏はワシントン、台湾、金門を自ら訪れ、国民党主席の鄭麗文氏、前参謀総長の李喜明氏、陳永康氏、沈伯洋氏、王定宇氏、雷虎科技(Thunder Tiger)の蘇聖傑総経理、米海軍退役少将のマーク・モンゴメリー氏、ワシントンのシンクタンク専門家らと面会。台湾の人々の考えや現在の中台情勢、中国への対抗と台湾防衛をめぐる取り組みについて掘り下げて取材した。
タイトルこそ疑問形だが、記事全体には、台湾が今後も現状を維持できるのか、さらには中国への抵抗を続ける意思を持ち続けられるのかという懸念が随所ににじんでいる。
台湾代表団と面会し、上機嫌だった習近平氏
この記事の冒頭に登場するのは、台湾の誰かではなく、中国の習近平国家主席だ。アトランティック誌によれば、習氏が愉快そうな表情を見せることはめったにないが、例外もある。例えば昨年10月、韓国で米国のトランプ大統領と会談した際、カメラが習氏の上機嫌な様子を捉え、観測筋を「大いに驚かせた」という。
しかし習氏にはもう一つ、外部にはあまり知られていない上機嫌な瞬間があった。今年4月、台湾から訪れた代表団を招いた昼食会でのことだ。同席した台湾側関係者によれば、習氏はこの昼食会で異例なほど興奮し、歯を見せて笑ったほか、スープを紹介し、冗談や昔話を披露した。さらに国民党のシンボルカラーである青色のネクタイを締めていたという。この日の主賓の一人が、国民党主席の鄭麗文氏だった。

アトランティック誌は、習氏のこうした友好的な態度、さらにはこの昼食会そのものが、普段の習氏のイメージにはそぐわないように見えると指摘する。中国共産党は台湾を「離反した省」とみなし、「台湾統一」を強く志向してきたからだ。
今年5月にも習氏はトランプ氏に対し、「台湾問題をうまく処理できれば両国関係は概ね安定を保てるが、うまく処理できなければ両国は衝突、さらには対立に至り、米中関係全体が極めて危険な状況に陥りかねない」と警告している。
それにもかかわらず、国民党代表団が北京を訪れた際には中国側から熱烈な歓迎を受けた。アトランティック誌は、習氏の態度はまるで、この人々が自らの成功の鍵を握っているかのようだったとし、「多くの点で、実際にその通りなのだ」と評している。
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アトランティック誌は、習氏が人民解放軍に対し、武力による台湾奪取に備えるよう求めていることを強調する。これは、いわゆる2027年の「デービッドソンの窓」として知られる議論とも重なる。中国軍は昨年、大量のドローンが台湾を攻撃する様子を描いたAI映像も公開した。
実際の作戦では、こうしたドローンによる攻勢がサイバー戦や宣伝戦と組み合わされ、ミサイルとともに台湾の指揮所、軍事基地、防空システムを狙い、その後の上陸作戦の障害を取り除くために用いられる可能性があるという。
同誌は、台湾軍は中国軍による攻撃をしばらくの間はしのげる可能性があるとする一方、数週間以内には米国や日本からの補給・支援が必要になり、その援軍を阻止することが中国海軍にとって最重要任務になるだろうと分析している。

アトランティック誌は、中台間で衝突が起きれば台湾海峡の海運は寸断され、世界市場は数兆ドル規模の損失を被ると指摘する。米国が台湾のために中国と開戦すれば、双方の死傷者は数万人規模に達しかねない。
各種のウォーゲームでも、開戦後最初の数週間だけで米軍が失う兵力が、イラク・アフガニスタン両戦争の20年間における損失の合計を上回るとの結果が繰り返し示されているという。
中国はこれに備えて演習を重ねており、米軍の艦艇や戦闘機を模した訓練施設だけでなく、砂漠の中に台湾総統府や立法院周辺の街並みを再現した施設まで建設している。
しかし鄭麗文氏はアトランティック誌の取材に対し、自身は習氏に軍事的圧力の縮小を求めたわけではなく、台湾が台湾独立を放棄し、戦争への備えをやめて中国大陸との和解に向かう方法について、両氏で踏み込んだ議論を交わしたと語っている。
鄭麗文氏「何もかもあり得る、私たちは一つの家族だ」
鄭麗文氏はアトランティック誌のインタビューで、今回の訪中から非常に特別な気づきを得たと述べた。
台湾と中国は「同じ文化、同じ血脈を持っており、私たちはそのすべてを受け入れることができる」とし、「何もかもあり得る。なぜなら私たちは一つの家族だからだ」と信じるようになったという。
アトランティック誌は、鄭氏が台湾と米国の支持者たちにも中国に対して同じ見方を持ってほしいと考えているようだとし、戦わずして屈することを戦争回避の最善の道とみなしているように見えると厳しく評している。
同誌によれば、数年前まで台湾の政治家にとって「中国に取り入る」ことは政治的な自殺行為だった。しかし現在の鄭氏と国民党は逆の方向へ進み、立法院で国防予算や台湾国内でのドローン開発・生産を阻んでいる。長期化する米国とイランの戦争も、鄭氏が「中国に対抗することは不可能だ」と主張する論拠になっているという。
注目すべきは、シュスター記者が今年春に台湾を訪れた際、台湾の人々が米国を安定をもたらす存在とみなす信頼をほとんど失っていることをはっきりと感じ取ったと率直に記している点だ。
「米国の支援について尋ねるたびに、返ってくるのはたいてい沈黙か苦笑いだった」。政治家であれ、退役軍人であれ、一般市民であれ、ほとんどの人が米国を「予測不可能」という言葉で形容したという。 (関連記事: 【台湾海峡解読】習近平氏による鄭麗文氏厚遇の背景、蔣万安氏牽制と28年総統選の戦略的思惑 | 関連記事をもっと読む )
シュスター氏によれば、米国への信頼の喪失は、多くの台湾人に対中姿勢の見直しを迫っている。単独では勝てない戦争のためにこのまま準備を続けるべきなのか、それとも鄭氏と習氏が明らかに温めつつある合意を受け入れるべきなのか、という問いだ。

アトランティック誌は、鄭氏と習氏が公の場では共通のアイデンティティ、自由貿易、経済的な結びつき、平和共存を盛んに語る一方、中国が台湾にどこまでの主権、自由、民主主義を認めるつもりなのかについては口をつぐんでいると指摘する。
香港の民主主義はすでに中国によってほとんど解体されてしまったが、鄭氏はそれでも台湾には「より良い待遇」が与えられると主張し続けている。当選者が台湾独立を主張しさえしなければ、自由選挙は認められるという。
トランプ氏もこうした構想に前向きな姿勢を示しているようで、米国による台湾への武器売却を「非常に良い交渉材料」と呼び、「今、我々に最も必要ないものは、9500マイル離れた場所での戦争だ」と述べたという。
米国はまだ台湾を守るのか
アトランティック誌は、選択できるのであれば、大半の台湾人は現状維持を望むだろうと指摘する。自治を保ち、世界と自由に貿易し、中国には内政に関与してほしくない。それが台湾の人々の望みだという。
台湾の人々は民主主義陣営における自らの立場を非常に重視しており、米国はかつてその陣営を支える柱であり、台湾への保護を約束していた。
しかし同誌は、米国民が外国の問題に巻き込まれることに疲れていると指摘する。またトランプ氏について、独裁的な指導者に強い親近感を示し、民主主義の同盟国を「ただ乗りする者」や米国につけ込む存在のように扱っていると厳しく評している。
台湾とその支持者たちは、なぜ米国が台湾により強い関心を払うべきなのか、さらには中国との戦争も辞さないほど台湾を重視すべき理由を説明しようとしている。
しかしシュスター氏は、台北とワシントンで取材した多くの人々が「米国の価値観」について語ることに気まずさを感じていたと記す。あたかも、その概念自体がすでに時代遅れになったかのようだったという。

台湾防衛をめぐる議論では、民主主義そのものが以前ほど重要な論拠ではなくなりつつあるようだ。
より有力な主張は軍事戦略家から出ている。彼らは台湾を、米国が太平洋での優位を維持するための重要な拠点とみなしている。また、世界の先端半導体の9割以上が台湾で生産されているため、中国にその資源を握らせれば米国経済やAI革命を推進する力が損なわれるとして、台湾防衛の必要性を説く声もある。
しかしアトランティック誌は、問題は「米国がなぜ台湾を守るべきなのか」ではなく、トランプ氏が「台湾のために中国との関係を悪化させたくない」ことにあるようだと指摘する。
トランプ氏は習氏を「偉大な指導者であり友人だ」と評したことがあり、中国企業への先端AIチップの販売も認めた。同誌によれば、トランプ氏の外交政策は西半球に軸足を置いており、それ以外の地域については撤退を選ぶか、あるいは自ら生み出した混乱から早期に抜け出そうとしているという。 (関連記事: 【台湾海峡解読】習近平氏による鄭麗文氏厚遇の背景、蔣万安氏牽制と28年総統選の戦略的思惑 | 関連記事をもっと読む )
アトランティック誌は、台湾はある意味で幸運なのかもしれないとも記している。少なくともトランプ氏は、カナダやグリーンランドに対してのように、台湾の主権を脅かす発言はしていないからだ。
しかし「パックス・アメリカーナ(米国主導の平和)」の崩壊は、台湾の状況をより厳しいものにしている。
台湾は現在、どの貿易圏にも属さず、正式な同盟国も持たない。台湾の生存は米国による支援の約束に大きく依存しているが、その約束はもはや十分な説得力を持たなくなりつつあるように見える。
台北にいる中国寄りの勢力は、トランプ氏の曖昧な言動を指摘するだけで、米国は信用できないと訴えることができる。アトランティック誌は、これこそ習氏が一発の銃弾も撃たずに台湾を手に入れるために必要としているものなのかもしれないと指摘する。
戦略的あいまいさとミサイル危機
アトランティック誌は、鄭麗文氏がかつて台湾独立を支持していた経歴も紹介している。現在56歳の鄭氏は、当時の立場について「若気の至りだった」と説明する。
鄭氏は2008年、国民党から初めて立法委員の議席を獲得した。その後、党内の急進的な立場を代表する存在となり、中国への融和姿勢は、衰退しつつある保守派の重鎮でさえ受け入れがたいと感じるほどになったと同誌は評している。
鄭氏は昨年、6万5000人の党員の支持を得て党主席に当選した。これは人口2300万人の台湾社会全体を代表する数字とは言えないものの、国民党主席という立場は、台湾の国防予算や自衛能力に大きな影響力を持つという。
アトランティック誌はまた、国共内戦と国民党の根強い反共の歴史についても紹介している。冷戦初期の20年間、「大陸反攻」という幻想を後押ししたのはほかならぬ米国だった。
「米国は台北に大使館を置き、台湾の中華民国政府を中国を代表する正統政府とみなし、台湾は国連でも中国の議席を持っていた。台湾の外交官は『CHINA』と書かれたプレートの後ろに座っていた」
「米国はまた、中国の地域的な対抗勢力――韓国、日本、フィリピン、そして台湾――と軍事同盟を結ぶことで、アジアでの地位を固めた」
しかし1971年、台湾が国連で保持していた中国の議席は中華人民共和国に移った。1972年には米国のニクソン大統領が北京を訪れ、中国の周恩来総理と会談。米国はその後、台北の大使館を閉鎖し、台湾との相互防衛条約を廃止して、中国との正式な国交樹立へと転じた。

ただし米国は台湾を完全に見捨てたわけではなく、代わりにより緩やかな保証を与えることにした。
1979年にカーター大統領が署名した台湾関係法は、米国が引き続き台湾に「防御的な兵器」を提供するとし、中国による台湾への侵略行為は米国にとって「重大な関心事」になると明記した。ただし、それが具体的に何を意味するのかは誰にも分からなかった。
この「戦略的あいまいさ(strategic ambiguity)」は、1995~96年の台湾海峡危機で厳しい試練にさらされた。
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発端は一見単純だった。米国が台湾の李登輝総統に対し、母校コーネル大学で講演するためのビザを発給すると、中国は一連の威嚇と軍事演習、さらに台湾周辺海域へのミサイル発射で応じた。

当時のクリントン米大統領はこれを受け、空母2隻を台湾周辺に派遣した。「ニミッツ」は台湾海峡を通過し、中国指導部に警告を発した。その後、中国側は軍の行動停止を命じた。
台湾の李喜明・前参謀総長はこれについて、「彼ら(中国)はこれを屈辱だと感じていた」と評している。
李氏は危機当時、潜水艦「海龍」の艦長として台湾海峡に潜み、越境を試みる中国艦艇があれば、いつでも撃沈できる態勢を取っていた。
アトランティック誌が当時の心境を尋ねると、李氏は「私はあの時、非常に自信があった」と語った。自らの魚雷でどんな中国艦艇でも撃沈できると確信していた上、その背後には空母ニミッツの支援もあったからだという。
ただし李氏はこうも語った。
「しかし今は、あの時のような自信はまったくない」
人民解放軍の台頭と「ヤマアラシ戦略」
台湾海峡危機が中国に与えた教訓は、台湾が十分な先進兵器を持っていれば、米軍の援軍が到着するまで単独で持ちこたえられるというものだった。
中国は間もなくこれに対抗し始め、わずか数年で国防予算を50%以上増やし、米艦艇が再び脅威となることを阻むための兵器開発に重点を置いた。
アトランティック誌によれば、2009年にオバマ大統領が就任した頃には、中国の潜水艦とミサイルはすでに台湾の防衛戦略を弱体化させていた。
台湾に先進的な戦闘機や潜水艦を供与しても、中台間の軍事力の不均衡は解消されない。中国がすでに、開戦初期にこうした兵器を破壊する手段を開発していたからだ。
米国の軍事顧問は方針を転換し、「ヤマアラシ戦略」を提唱するようになった。
携行式のスティンガーミサイルのような小型兵器を台湾全土に配備し、侵攻してくる艦艇や航空機を撃沈・撃墜することで、中国に侵攻の代償があまりに大きいと思わせ、行動を思いとどまらせようという発想だ。
アトランティック誌によれば、この新戦略はワシントンでは急速に支持を集めたものの、台北で受け入れられるまでには10年もの歳月を要した。
多くの政治家にとって、兵士がロケットランチャーを担いで市街地の屋上で戦うという構想は、有権者に訴えやすい政策ではなかった。また将官たちは、「ヤマアラシ戦略」がもたらす構造的変革にひるんだという。
それは、現場の下級士官に自律的に行動する自由を与えるという、台湾のトップダウン型の軍事文化にとって極めて異質な発想だった。

2017年にトランプ氏が第1期政権を発足させた際、台湾は米国の高性能兵器の調達を望んでいたが、米側はこの時すでに台湾側に戦略の見直しを求めていた。
ある米海軍提督は、当時台湾軍にこう助言したと振り返る。
「戦略をF-16戦闘機300機の上に築くな。そんなものは通用しない」
台湾はどれだけ兵器を買っても、人民解放軍と対等に渡り合える量には決して届かないと、この提督は主張した。
「必要なのは航空機を撃墜する能力であり、ドローンを打ち破る能力だ」 (関連記事: 【台湾海峡解読】習近平氏による鄭麗文氏厚遇の背景、蔣万安氏牽制と28年総統選の戦略的思惑 | 関連記事をもっと読む )
この米将官はすでに退役しており、中国でビジネスを行っているため匿名を希望したという。
当時すでに、中国のドローン製造能力は他国を大きく引き離していた。深圳のDJI一社だけで世界のドローン市場の70%以上を握り、ウクライナ、ロシア双方とも、飛行に必要なモーター、コントローラー、バッテリーなど深圳製のドローン部品に依存していた。
「ドローン国家チーム」
アトランティック誌は、台湾がドローン技術で大きく後れを取っていると率直に指摘する。
台湾政府が「ドローン国家チーム」の結成を決めたのは2022年になってからだった。米国と同様、国防産業での中国製技術の使用を禁止したため、国家チームはゼロから技術を構築するか、代替の供給元を探す必要があった。
経緯航太創業者の羅正方氏がこの取り組みを率い、民間企業のパートナー探しに乗り出した。その一つが食品大手の義美食品だった。
義美傘下の子会社が物流用ドローンを研究開発していたことから、国家チームに加わる資格を得たという。工場の稼働を支援するため、政府は昨年、約15億ドル規模の投資を用意したが、実際に必要な資金には遠く及ばないとされる。

アトランティック誌は、「ドローン国家チーム」の中で最も成功している企業は雷虎科技(Thunder Tiger)だと評している。
同社は歯科器材やラジコン玩具などを製造する上場企業で、約10年前から主に災害対応用のドローンを手がけ始めた。
蘇聖傑総経理は、台中の古い工業地区にある工場をアトランティック誌の記者に案内した。蘇氏によれば、同社の収益の大部分は世界向けの歯科器材販売から得ており、ドローンは売上高のごく一部にすぎないという。
台湾国防部はかつて20万機のドローンが必要だと表明したが、国防予算による資金支援がなければ、雷虎科技はこの需要を満たすことができない。
蘇氏も「私たちはずっと政府の資金を待っている状態だ」と認めている。
また、アトランティック誌の記者が同社を訪れた際、模擬砲弾を機体に取り付けた「Overkill」という名のクアッドコプターを目にした。これはキーウの工場で見た機体とよく似ていたという。
ただしキーウの工場では1日に4000機ものドローンを生産できるのに対し、雷虎科技の現在の生産能力では、同じ数を作るのに2カ月を要するという。
あいまいな台米関係
アトランティック誌は、台湾に展開する米軍の任務は主に、台湾兵士に米国製兵器の使用方法を訓練することや、ゲリラ戦への備えに関わるものだと指摘する。一方、具体的な人数について米側は明らかにしていない。
台北で開かれたある会議で、アトランティック誌の記者がこの点について尋ねると、ある台湾の退役軍人は不快感を示した。この退役軍人によれば、北京は中国沿岸に近い場所に展開する米軍をすべて挑発行為とみなすのだという。 (関連記事: 【台湾海峡解読】習近平氏による鄭麗文氏厚遇の背景、蔣万安氏牽制と28年総統選の戦略的思惑 | 関連記事をもっと読む )
米海軍退役少将のマーク・モンゴメリー氏は、台湾に展開する米軍はおよそ500人程度と推計する。同氏は昨年5月の米議会公聴会で、「駐留人数は1000人に達する必要がある。数十億ドル規模の支援を提供し、数百億ドル相当の米国製装備を売却するのであれば、現地で訓練や連携を行うことも道理にかなっている」と述べた。

アトランティック誌によれば、モンゴメリー氏はかつて第5空母打撃群の指揮官を務め、ワシントンで台湾防衛を支持する数少ない声の一人だという。こうした退役軍人や外交政策専門家は今なお議会で影響力を持つものの、ホワイトハウスへの影響力はほとんどない。
トランプ政権1期目には、マット・ポッティンジャー氏が国家安全保障会議(NSC)で対中政策を担当し、トランプ氏の孤立主義が台湾防衛を侵食しないよう努めていたが、今のホワイトハウスにはポッティンジャー氏のような役割を果たす人物はいないという。
アトランティック誌が台湾問題について米政府に問い合わせたところ、ある高官はメールで簡潔に、バイデン政権は同盟国の利益を米国の利益より優先させても、米国がより安全になるわけではないことをすでに証明した、と回答した。
バイデン政権は在任中、80億ドル相当の対台湾武器売却を承認したが、これはトランプ政権2期目でこれまでに承認された110億ドルを明らかに下回る。しかし発注の滞留は極めて深刻で、大半の兵器はいまだ台湾に引き渡されていない。
アトランティック誌によれば、イランとの戦争で大きく消耗した米国の備蓄を補充する必要があるため、台湾がすでに代金を支払った兵器の生産には何年もかかる可能性があるという。
一方、バイデン氏の対中姿勢はトランプ氏よりはるかに強硬で、バイデン氏は大統領在任中、一度も中国を訪問しなかった。米軍が台湾を防衛するかと問われた際、バイデン氏は4度にわたり肯定的に答えたが、トランプ氏は一度も同様の発言をしていない。

トランプ氏は今年春に北京を訪問した際、イーロン・マスク氏やティム・クック氏ら多くの富豪を同行させたが、その顔ぶれの中には、広く認められた中国専門家がほとんどいなかった。
オバマ政権時代に国家安全保障会議の高官を務めたブレット・ブルーエン氏がこの点をXで指摘すると、ホワイトハウス広報部長のスティーブン・チョン氏は、「専門家を名乗るのはもうやめろ。お前の唯一の専門はご機嫌取りだ」と応じ、さらにブルーエン氏を「頭が空っぽの、口で息をする間抜け」とまで評した。
アトランティック誌は、北京を訪れたホワイトハウス代表団に加わった中国専門家が一人だけいたと指摘する。国家安全保障会議アジア担当上級部長で、海兵隊退役軍人のイヴァン・カナパシー氏だ。カナパシー氏の論考は、ポッティンジャー氏やモンゴメリー氏らの論考とともに、論集『The Boiling Moat』に収録されている。カナパシー氏はホワイトハウス入りして間もなく、トランプ氏の顧問でMAGA系インフルエンサーのローラ・ルーマー氏から忠誠心を疑われた。
アトランティック誌によれば、カナパシー氏はそれ以降ルーマー氏に目をつけられ、「職を失いかねない状況」に陥ったというが、ホワイトハウスはカナパシー氏への同誌の取材を認めなかった。 (関連記事: 【台湾海峡解読】習近平氏による鄭麗文氏厚遇の背景、蔣万安氏牽制と28年総統選の戦略的思惑 | 関連記事をもっと読む )
「米国人は来るのか」
アトランティック誌によれば、戦略国際問題研究所(CSIS)は過去3年間、3回のウォーゲームで数十通りのシナリオを検証した。
中国が敗北する結末に至ったシナリオには、二つの共通点があった。台湾が反撃する断固たる意思を示すこと、そして米国が迅速かつ全力で軍事介入することだ。この二つがそろって初めて成立する。
それでも、CSISが2023年に発表したウォーゲーム報告書の一つによれば、台湾のインフラは数週間にわたる爆撃を受け、米国とその同盟国も数十隻の艦艇、数百機の航空機、数千人の兵士を失うことになるという。
CSIS報告書の執筆者であるエリック・ヘギンボサム氏とマシュー・カンシアン氏は2024年に台湾を訪れ、軍関係者に研究結果を説明したが、その反応は賛否が分かれるものだった。
ヘギンボサム氏はアトランティック誌に対し、ある面会では取っ組み合いのけんか(fistfight)寸前にまでなったと明かした。
台湾の退役将校のグループは2人を高雄のアイスクリーム店に招き、サンデーを食べながら、戦争への備えをやめるよう告げたという。さらに「台湾には戦う覚悟も、戦う手段もなく、そもそも米国が援助に乗り出すことは絶対にない」と強調した。
このような敗北主義的な態度は、2人のシンクタンク研究者を憤慨させた。台湾の士気の低さを映し出しているからだけではなく、より個人的な理由もあった。ヘギンボサム氏の息子は太平洋に展開する米海軍の潜水艦に乗り組んでおり、いつ中国との戦闘に投入されてもおかしくない立場にある。
「言葉が乱暴になって申し訳ないが、一体どういうことなんだ」
ヘギンボサム氏は当時、台湾の退役将校らにこう言い返したことを振り返っている。
「私の息子は、あなた方を守るために命を懸けているんだ」

アトランティック誌は、台湾に戦う意思が欠けていれば米国は介入しないだろうし、台湾が米国は助けてくれないと信じ込めば、なおさら降伏に傾きやすくなると指摘する。
大半の台湾人にとって、この退役将校らの悲観論は驚くようなものではない。
今年春の世論調査では、米国を「信頼できる同盟国」とみなす台湾人は4分の1に満たず、中国が攻撃を仕掛けた場合に米国が台湾を助けてくれると信じる回答者は35%にとどまった。いずれもトランプ政権2期目に入って大きく低下した数字だという。
米国人の目には、トランプ氏が習氏との「友情」を誇る発言は、空虚なお世辞、狡猾な外交手段、あるいは単なる思い込みのように聞こえるかもしれない。
しかし台湾人にとって、こうした発言は「中国への抵抗は無駄に終わる」という思いを一段と深めるものになっていると、アトランティック誌は指摘する。
海軍司令官を務めた退役上将で国民党立法委員の陳永康氏は、アトランティック誌の取材に対し、たとえ米国の援助があっても、台湾は中国の侵攻に持ちこたえられないと述べた。 (関連記事: 【台湾海峡解読】習近平氏による鄭麗文氏厚遇の背景、蔣万安氏牽制と28年総統選の戦略的思惑 | 関連記事をもっと読む )
陳氏は、台湾を「ヤマアラシの国」に作り変えようとする米国の軍事顧問と面会したことがあるが、そうした計画はまるで夢物語だと考えているという。
敵軍が上陸すればもう手遅れであり、「ゲリラ戦をやろうにも、その頃には地方行政はすでに崩壊している」と陳氏は語った。

陳氏は避難計画、緊急医薬品の配布、「大衆を守る社会の強靭性」といった構想を提示しているものの、これは主に中国の攻撃による人的被害を減らし、台湾のインフラを守るためのものだという。
アトランティック誌が、2022年にウクライナがロシアによるキーウ攻略を阻止し、一部の失地さえ奪還した例を挙げると、陳氏は、こうした戦術が台湾ではなぜ通用しないのかを説明した。
ウクライナには台湾の17倍もの戦略的縦深があり、同盟国と陸上国境を接しているため、補給を継続的に受けることができる。島である台湾には、これは不可能だという。
ではドローンはどうか。
ドローンはウクライナ戦争で大きな存在感を発揮し、ロシアの侵攻を食い止める助けとなった。
ウクライナは、爆薬を積んだ遠隔操作の水上無人艇を先駆的に活用し、黒海でロシア艦隊の少なくとも3分の1を撃破し、残る艦艇をクリミアの基地から撤退に追い込んだ。
ウクライナで最も名の知られた海軍無人艇「Magura」の開発者は、アトランティック誌に対し、この兵器は台湾海峡でとりわけ有効だろうと語り、数百隻あれば中国艦隊を撃沈できるとの見方を示した。
しかし陳氏はこれに同意しない。
「黒海は台湾海峡ではない」と強調し、さらにマスク氏が上海にギガファクトリーを持つテスラの経営者であることを踏まえれば、台湾が無人艇の操作にスターリンクの衛星通信網を使うことをマスク氏が認めない可能性もあるとした。
他の衛星通信網はスターリンクほど信頼性が高くなく、陳氏に言わせれば価値がないに等しい。
台湾が数十億ドルを投じて先進兵器を購入したとしても、「海岸線をどれだけ守り抜けるのか。3週間か、4週間か。その頃にはもう、中国の勝利は決まっている」と陳氏は述べている。
沈伯洋氏「台湾人は兵役を時間の無駄だと思っている」
アトランティック誌は、悲観的なのは退役将校や将官だけではないと強調する。兵役を回避しようとする動きも台湾では広くみられるという。2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受け、台湾政府は義務役の期間を4カ月から1年へと延長したが、徴兵制度にはなおさまざまな抜け穴が残っている。
対象年齢の19~36歳の一部の若者は、兵役を免れるためにあえて体重を増やそうとし、代替役を選ぶ者もいる。国防予算の確保に力を入れる立法委員の沈伯洋氏自身も、義務役に就く時期には交通部での勤務を選び、当時の仕事内容は主に観光客への道案内だったという。 (関連記事: 【台湾海峡解読】習近平氏による鄭麗文氏厚遇の背景、蔣万安氏牽制と28年総統選の戦略的思惑 | 関連記事をもっと読む )

沈氏は台北の自身の事務所でアトランティック誌に対し、台湾の通常の兵役には草刈りのような雑用が多く、「人々はそれを時間の無駄だと考えている」と語った。沈氏の事務所の壁には、ゴリアテの切られた首の上に座るダビデを描いた大きなポスターが掛けられている。これは2023年にウクライナを訪れた際、ある兵士から贈られたものだという。
沈氏によれば、ウクライナを訪れたのは防衛側から学ぶためであり、その旅で台湾軍がいかに遅れているかを痛感した。実際、台湾の軍事基礎訓練にドローン操作の課程が組み込まれたのは昨年になってからで、それ以前には銃剣術など従来型の訓練が続いていた。台湾軍の上層部には今なお、リスクや変革、新技術を敬遠する者が多いという。
沈氏は「彼らは本当に自分の縄張りを守りたがっている。それが私たちのいつものやり方だ」と語っている。
アトランティック誌は台北で、外交・国防委員会の別のメンバーである王定宇氏にも取材した。
王氏は台北の国防フォーラムで米軍の「スイッチブレード」無人機を紹介していたが、この兵器はウクライナでの実戦成績が芳しくなかったという。
兵器メーカーは改良に取り組んでいるものの、米軍はそれでも調達数を減らしている。
さらにアトランティック誌は、台湾の外貨準備高が世界第6位の約6000億ドルに上り、大量の兵器購入を十分に賄えると指摘する一方、国防予算案は国民党の抵抗によって立法院で数カ月にわたり棚上げされてきたとしている。
大半の世論調査では、頼清徳政権が提出した国防特別予算は幅広い支持を得ており、有権者はこれをトランプ氏の要求に応え、中国を抑止する手段とみなしているという。しかし台湾の兵器調達の道のりは、依然として強い抵抗に直面している。
国民党が予算規模を大幅に削減したことに加え、習氏がトランプ氏に「極めて慎重であるべきだ」と警告したことを受け、ホワイトハウスは大半の対台湾武器売却案を保留することを決めたと、アトランティック誌は伝えている。
王氏は同誌に対し、武器売却案は米国の意図を測る試金石でもあり、台湾にとっては死活問題だと語った。
王氏は米中対話そのものには反対しないとしつつ、台湾が何らかの取引材料として扱われることは断じてあってはならないと強調した。
しかしアトランティック誌が「トランプ氏は台湾を取引材料にするだろうか」と尋ねると、王氏は長い間、自分の両手を見つめた末、「分からない。我々の同盟国についてコメントはしない」とだけ答えたという。
鄭麗文氏、2028年総統選に狙いか
習近平国家主席との会談を終えた鄭麗文氏は、中国側がいわゆる「対台湾優遇措置」と呼ぶ一連の方策を携えて台湾に戻った。この方策により、台湾の農漁業者やその他の業界は食品や商品を中国大陸へ輸出できるようになり、中国側は審査を経た特定の台湾製テレビ番組、ドキュメンタリー、アニメについて、中国大陸での放映を認めると約束したという。 (関連記事: 【台湾海峡解読】習近平氏による鄭麗文氏厚遇の背景、蔣万安氏牽制と28年総統選の戦略的思惑 | 関連記事をもっと読む )
中国国営メディアはこれらの措置を習氏から国民党への「贈り物」と位置づけ、こうした友好的な姿勢がさらなる恩恵につながると示唆する一方、台湾政府は露骨な政治介入だと批判している。アトランティック誌は、こうした動きは中国が2028年の台湾総統選挙にどのように影響力を及ぼそうとしているのかを示していると分析する。
鄭氏はすでに出馬への意欲を示唆しており、選挙戦では中国からの支持が追い風になるだろうとの見方も示している。鄭氏はインタビューの中で、中国は気前の良い隣人だと強調し、「彼らはこれほどまでに現代化した」と語った。
上海の当局者がドローンで台湾発祥のタピオカミルクティーを鄭氏のもとへ配達したことや、北京の国家大劇院でモーツァルトとチャイコフスキーの演奏を聴いたことにも触れた。
鄭氏は「コンサートマスターが何とアメリカ人だった」とし、「だから私は、中国はより自信を持つようになり、より寛容に、よりグローバルになったのだと思う」と述べたという。

アトランティック誌が、中国の友好的な措置の見返りとして何を求められる可能性があるのか尋ねると、鄭氏はかなり驚いた様子を見せた。
鄭氏によれば、習氏は台湾の統治体制を尊重すると約束しており、台湾を中国の一部にするといった話も、香港の前例についての話も一切していないという。
同誌が「中国は台湾に対して香港と同じことをしないと言えるのか」と重ねて問うと、鄭氏は英語で「しない。私たちは台湾の自由、民主主義、経済、法の支配について、何一つ犠牲や妥協をする必要はない」と答えた。
しかしアトランティック誌は、鄭氏の説明に懐疑的な見方を示している。
現実には中国が台湾の国際的な活動空間をさまざまな手段で制限し続けており、現時点で台湾と正式な外交関係を持つ国は11カ国にとどまっていると指摘する。
今年4月には、中国が頼清徳総統の友好国エスワティニ訪問を妨げようとする動きも見せたという。
この件について鄭氏に尋ねると、同氏は意にも介さない様子で肩をすくめ、頼氏がこうした状況に置かれたのは「彼自身の政策のせいだ」と述べた。
トランプ政権も昨年、頼清徳総統による中南米訪問に伴う米国経由の要請を拒否した。
一方、鄭氏をはじめとする国民党幹部は、ワシントンや米国内の主要都市への訪問に同様の制限を受けなかった。
アジア・ソサエティー主催の公開イベントで、鄭氏は習氏を信頼できるパートナーとして描き、両岸は一つの家族だとの立場を改めて示した。
司会者がその場で、そうしたパートナーシップの下で台湾の民主主義はどう維持されるのかと切り込むと、鄭氏は「これはウィンウィンの構図だ」と答え、習氏が自分に「何事も話し合いの余地がある」と約束したことを強調したという。
前列に座っていた台湾問題の専門家や米国の元外交官らは、互いに懐疑的な視線を交わし、あきれた表情を浮かべる者もいた。
その一人はアトランティック誌の記者に非公式に、鄭氏はまるで「頭のおかしい人物(a whack job)」のように聞こえると語った。
ただし同誌は、鄭氏はむしろ政治的なオポチュニストであり、とりわけ米国への信頼が失われつつある今、中国が差し出す取引材料を利用しているのだと分析する。
台湾の人々は地域の力関係が傾きつつあることを感じ取っており、自由な体制が危険にさらされるリスクを負ってでも、より安定して見える側へ傾く人々が出てくる可能性があるという。
マンハッタンで開かれたこのフォーラムが終わりに差しかかった頃、会場にいた一人の聴衆が立ち上がり、鄭氏にこうした取引を諦めるよう強く訴えた。
この聴衆は、中国が香港の民主主義を解体したのと同じように、台湾の民主主義を徹底的に破壊するだろうと警告し、なぜ台湾に必要なドローン調達予算を鄭氏が阻んでいるのかと問い詰めた。
男性が「習近平は独裁者だ」と大声で叫んだため、警備員がマイクを取り上げ、会場外へ連れ出した。
鄭氏は動じた様子を見せず、笑いながらこう語ったという。
「ドローンは兵器として使われるべきではない。タピオカミルクティーを配達するために使われるべきだ」
音量を下げた心理戦の放送壁
アトランティック誌の記者は金門島にも足を運んだ。かつて台湾の最前線の要塞とみなされてきたこの島は、今や中国大陸からの観光客にも人気の観光地となっているという。
1949年10月の古寧頭大捷では、国民党軍がここで海岸への上陸を試みた数千人規模の共産党軍を撃退した。戦場跡地の隣には戦史館があり、ガイドは館内の没入型展示を熱心に勧める。緊迫感のある音楽が流れる暗室で、壁には銃撃戦のアニメーションが映し出され、来館者の写真を撮影して仮想の戦闘場面に合成する仕組みになっており、「金門を守る」感覚を体験できるという。
この戦いを実際に経験した世代はすでにほとんど残っておらず、戦史館の没入型展示は、若い世代に当時の戦火を想像してもらうためのものとみられる。しかし近年、この戦史館で目立つ訪問者は中国大陸からの観光客だという。フェリーが毎日彼らを金門へ運び、地元の店は揚げ魚や高粱酒でもてなす。
アトランティック誌によれば、こうした交流は北京の戦略の一環でもある。中国共産党中央委員会の対台湾文書も、投資や観光を通じて金門を取り込み、「祖国の完全な統一」後の暮らしを示す「モデル地区」の一部として位置づける方針を強調しているという。将来的には金門と対岸の廈門を結ぶ橋を建設する構想もある。

アトランティック誌によれば、習氏はかつて廈門市の副市長を務めた経験があり、台湾を中国に組み込むための第一の戦略は、北京の統治によって生活がより良くなると台湾の人々に納得させることにあるという。中国の経済成長は、この主張の説得力を強めている。
1990年代初頭、台湾の経済規模は中国全体の半分を上回っていたが、現在では中国の約20分の1にまで縮小した。金門の住民は顔を上げれば廈門に林立する高層ビル群を見ることができ、近く開業する廈門の新国際空港に着陸する旅客機の姿も目にするようになる。多くの金門住民は、台北よりも中国大陸に強い親近感を抱いているという。
金門で最も中国大陸に近い断崖の一角には、北山放送壁が今も対岸に向けて心理戦の放送を流し続け、共産党員に投降して自由を得るよう呼びかけている。この巨大な拡声設備は、かつては耳をつんざくほどの音量で対岸まで届いていたが、現在では金門当局が音量を下げ、観光客が記念撮影に立ち寄る観光名所となっている。
放送壁の下の浜辺では、かつて地雷の危険を警告する骸骨マークの看板が掲げられていたが、今はすでに撤去されている。最後の地雷除去作業が完了した後、この浜辺は一般の人々が泳げる場所になった。
金門滞在最後の午後、シュスター記者は中国大陸の方向へ100ヤード(約91.44メートル)ほど泳ぎ出た。そこは、振り返れば海岸全体を見渡せる距離だった。
シュスター記者は文末にこう記している。
「そこは想像していたような地政学上の火薬庫ではなかった。見張り所も、防御陣地も、台湾の巡視艇の姿もない。あるのは戦争博物館と放送壁だけで、対岸ではもう誰も聞いていないメッセージを流し続けている」
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編集:梅木奈実 (関連記事: 【台湾海峡解読】習近平氏による鄭麗文氏厚遇の背景、蔣万安氏牽制と28年総統選の戦略的思惑 | 関連記事をもっと読む )













































