岩井俊二監督の物語を8組のアーティストが表現
東京建物株式会社、公益財団法人彫刻の森芸術文化財団、クリエイティブアソシエーションCEKAIの3社共同によるパブリックアートプロジェクト「TOFROM YAESU TOWER ART:人魚の街」のメディア向けアートツアーが、2026年9月7日に開催された。
本プロジェクトは、映画監督・岩井俊二氏が八重洲の街を舞台に書き下ろしたオリジナルストーリー「人魚の街」を起点に、8組の気鋭アーティストが地下バスターミナル階から4階までの各所に作品を展開するものだ。

プロジェクトの土台となる岩井監督の物語は、史実とファンタジーを交差させる独自の視点で、江戸から東京への変遷や八重洲に積み重なる時間を描き出している。
このストーリーの世界観をもとに、井口皓太、太田琢人、加藤智大、河野未彩、小林博人、secca、松尾高弘、MULTISTANDARDの8組が、映像、アートファニチャー、彫刻、グラフィックなど多様なジャンルを横断する作品を制作した。
さらに、特設サイトやアート体験の導線を設計するビジュアルコミュニケーションは、アートユニットSoSoSoが担当している。施設全体を一つの物語空間へと変え、来館者が館内を回遊しながら八重洲の記憶を重層的に体験できる画期的な試みとなっている。

「八重洲に降った雨」を可視化 seccaが26年間の記憶を表現
メディアツアーでは専用の音声ガイドシステムが導入され、全8カ所のうち厳選された作品が解説付きで公開された。
4階オフィスロビーに展示された作品については、石川県金沢市を拠点とし、伝統工芸から最先端テクノロジーまでを横断するクリエイター集団seccaの上町達也氏が解説を行った。
気象庁のオープンデータを活用し、八重洲の空に過去に降った雨を可視化し、再び現象へと戻すというコンセプトの作品で、横軸には1月1日から12月31日まで、奥行きには21世紀が始まった2000年から現在に至るまでの26年間のレイヤーが表現されている。
雨量に応じて8段階の色に変換されており、建物が建つまでの間、八重洲の空が見守ってきた雨の様子を視覚的に体感できる。

太田琢人氏が表現する「音」のコミュニケーション
続いて、フランス生まれのアーティスト・太田琢人氏の作品が紹介された。
太田氏の作品は、物と人間のコミュニケーションに着目し、日常の鋭い観察から得た視点を変換したものだ。
空間内の音の反響や距離感を利用した体験型のアートで、鑑賞者の立ち位置や距離によって音の伝わり方や聞こえ方が変化し、別の方向に動くなど、物語の展開とリンクした感覚的な音声コミュニケーションを提示している。

3階「桜通りテラス」に加藤智大氏の鉄の彫刻
3階の桜通りテラスに位置する水盤の上には、加藤智大氏による作品が展示されている。
加藤氏は鉄を主な素材とし、存在や認識の境界をテーマにした制作を行っている。本作は鉄線を用い、都市に紛れながら力強く生きていく決意を表現した彫刻作品だ。
視点や夜間の見え方によってモアレ効果が生じ、像が曖昧な存在として浮かび上がる視覚効果を計算して作られており、鉄という堅牢な物質感と不確かな存在感のコントラストを通じて、私たちが対象を認識する構造そのものを問い直している。

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編集:梅木奈実 (関連記事: 東京駅直結「TOFROM YAESU TOWER」9月10日開業 68店舗集結、八重洲の新ランドマークの全貌 | 関連記事をもっと読む )













































