【SEMICON Taiwan 2026】液晶材料から半導体へ転換 Merck、10年足らずで半導体関連事業が売上高の8割に
「SEMICON Taiwan 2026 マスターズフォーラム&グローバル・エコシステム・サミット」が2日、台北南港展覧館で開催された。写真はメルクグループ取締役会(経営執行委員会)メンバー兼エレクトロニクス・ビジネスCEOのベンジャミン・ハイン(Benjamin Hein)氏。(写真/劉偉宏撮影)
液晶やOLED材料のメーカーとして知られてきたドイツのメルク(Merck KGaA、フランクフルト証券取引所:MRK)が、半導体をエレクトロニクス・ビジネスの主要な収益源へと押し上げている。メルクグループ取締役会(経営執行委員会)メンバー兼エレクトロニクス・ビジネスCEOのベンジャミン・ハイン(Benjamin Hein)氏は2日、「SEMICON Taiwan 2026」のマスターズ・フォーラムで、10年足らず前まではメルクの半導体事業の規模はかなり限られていたが、現在では半導体関連事業がエレクトロニクス・ビジネスの売上高約35億ユーロの8割を占めるまでになったと明らかにした。単純計算では約28億ユーロに相当する。
ハイン氏によると、AIは半導体の需要と価値配分のあり方を変えつつある。チップの性能はもはやトランジスタの微細化だけで決まるものではなく、演算、メモリー、先端パッケージング、ネットワーク、ソフトウェアによって総合的に決まるようになっている。材料もまた、製造プロセスの消耗材から、性能、消費電力、歩留まりを左右する重要な要素へと変わっているという。
半導体関連事業がエレクトロニクス売上高の8割を占める
350年以上の歴史を持つメルクは、これまで液晶やOLED、その他のディスプレー材料事業で広く知られてきた。ハイン氏は、メルクが近年、自社投資やM&A(合併・買収)を通じて、薄膜材料、特殊ガス、パターニング、平坦化、先端パッケージング技術の分野を拡大し、事業の軸足は明確に半導体へ移っていると指摘した。
「10年足らず前まで、我々には半導体の売上高がほとんどなかった」とハイン氏は述べた。同氏によると、現在は半導体関連事業がエレクトロニクス・ビジネスの売上高約35億ユーロの8割を占めるという。
この比率から単純計算すると、関連売上高は約28億ユーロとなる。ただし「10年足らず」という表現は、ハイン氏が事業転換のスピードを示すために用いた概括的な表現であり、特定の会計年度同士を厳密に比較したものではない。
メルクは2019年、半導体材料・装置サプライヤーのバーサム・マテリアルズ(Versum Materials)を約60億ユーロで買収しており、これが半導体材料事業の領域を拡大するうえで重要な一歩となった。買収と既存の材料技術を統合することで、メルクの製品群は現在、前工程、先端パッケージング、材料デリバリー、計測・検査にまで広がっている。
台湾は世界最大の単一半導体材料市場
先端プロセスとAIチップの需要拡大を受け、メルクは高雄の半導体材料「メガサイト」を完成させた。総投資額は5億ユーロで、9月2日時点の為替レートで概算すると約185億台湾ドルに相当し、現在はすでに製品の生産段階に入っている。
メルクの公式資料によると、高雄拠点の敷地面積は約15万平方メートルで、同社にとって世界最大規模の半導体材料生産施設だという。製品は薄膜材料、特殊ガス、フォーミュレーション材料にまで及ぶ。
ハイン氏は、高雄拠点は単に生産能力を拡大するだけでなく、材料供給、技術サポート、顧客検証までの距離を縮める効果もあると述べた。先端材料は顧客のプロセス条件に合わせて繰り返し試験する必要があるため、主要な半導体製造集積地の近くに研究開発・生産機能を置くことは、導入スピードを速めるうえで役立つという。
AIが材料を「消耗材」から「共同設計」の対象へ
AIチップがゲートオールアラウンド(GAA)型トランジスタ、裏面電源供給、HBM、3Dパッケージングへと進む中、材料が電気的特性、熱管理、相互接続、歩留まりに与える影響は大きくなっている。ハイン氏は、材料サプライヤーはもはや、顧客がチップ設計を完了してから仕様に沿って単一の化学品を納入するという受け身の立場ではいられないとの考えを示した。
「価値の最適化は、部品レベルからシステムレベルへと移りつつある」と同氏は述べた。材料、プロセス、デリバリー、計測、欠陥検査をより早い段階から統合する必要があり、そうすることでAIプラットフォームの急速な進化に対応できるという。
これは、メルクが液晶・OLED材料から半導体へと事業を広げてきた転換の論理そのものでもある。チップの性能が材料とシステムの統合にますます左右されるようになるにつれ、材料メーカーの役割も、単一製品のサプライヤーから、プロセスやアーキテクチャーの開発に参画するパートナーへと変わりつつある。
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