【コラム】「米国はイランに勝てない」ミアシャイマーが断言 中東の泥沼が西太平洋を揺るがす

2026年8月29日、イランの首都テヘラン中心部に設置された巨大広告看板に、トランプ米大統領の顔が描かれている。(写真/AP通信)
2026年8月29日、イランの首都テヘラン中心部に設置された巨大広告看板に、トランプ米大統領の顔が描かれている。(写真/AP通信)

米国とイランが6月17日に締結した「60日間の了解覚書」が期限を迎えたことを受け、中東では再び戦火が燃え上がり、両国による空爆の応酬が国際ニュースを賑わせている。トランプ大統領は「ホルムズ海峡は米国の領土だ」と豪語するが、現実には米国は中東の戦場で泥沼に足を取られている。

開戦前には一日100隻を超える商船が航行していたホルムズ海峡も、いまだ正常な航行を回復できず、連日わずか数隻のタンカーが攻撃の脅威にさらされながら通過する状況が続いている。攻撃的リアリズムを代表するシカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授は、この米イラン戦争はすでに米国にとって「最大の惨事」となっており、トランプは「屈辱的な譲歩」か「破滅的な敗北」のいずれかを選ぶほかないと指摘する。

ミアシャイマーは最近、複数のインタビューでイラン情勢について繰り返し言及している。彼によれば、現在のトランプが置かれた状況は、1960年代のベトナム戦争期におけるリンドン・ジョンソン大統領の立場と酷似しているという。

当時のジョンソンは、北ベトナムと南ベトナム解放民族戦線が妥協する可能性はほとんどないと理解しながらも、「敗北」という政治的代償に耐えることができず、ベトナム戦争に米兵の命を費やし続けるほかなかった。その結果、自らの大統領任期を大きく損なうことになった。

ミアシャイマーの見立てでは、現在のトランプも同様に、勝算を見いだせないまま攻撃を受け続け、それでも撤退を決断できないという二重の苦境に陥っている。

ミアシャイマーの目には、この悲劇の根源は、ワシントンが長年にわたり現実主義的なパワーポリティクスを軽視し、単極覇権という幻想を信じ続けてきたことの帰結として映る。

しかし、単極世界の構造そのものを揺るがしかねないこの地政学的な変動のなかで、台湾の人々が注視しているのは、原油価格やペルシャ湾の戦火だけではない。この「中東のブラックホール」が米国の西太平洋における戦略資源を吸い上げ、アジア太平洋の地政学的な力の均衡を根本から変えることになるのかという問題である。

米軍はなぜ「必然的に」イランを打ち負かせないのか

ワシントンのネオコン(新保守主義)系エリートによる想定では、イランは容易に屈服させられる相手として扱われてきた。

トランプが「エピック・フューリー作戦」の発動を命じてから1カ月の間に、トランプ本人とヘグセス国防長官が繰り返し「すでに軍事目標を達成した」「テヘランの戦力を完全に破壊した」と発言していたことからも、その認識はうかがえる。

しかし、2月28日に米イスラエル連合軍が斬首作戦によってテヘランに屈服を迫ろうとした時点で、この衝突がトランプ自身がかつて批判した「愚かな戦争」へと発展し、インド太平洋における米軍の配置、本土の弾薬備蓄、生産能力までをも巻き込む事態になるとは、想定していなかったはずだ。 (関連記事: 米・イラン、1カ月ぶりに攻撃応酬 トランプ氏「カーグ島攻撃」主張、イランはヨルダン米軍基地に報復 関連記事をもっと読む

ミアシャイマーは、イランが容易には敗北しない状況を維持している理由として、以下の点を挙げる。

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