【寄稿】党旗は国家へ、党歌は党の手に 台湾・国民党に問う「最後の一歩」

2026-09-07 12:08
陸軍特殊作戦指揮部による巨大国旗の展示。(写真/顔麟宇撮影)
陸軍特殊作戦指揮部による巨大国旗の展示。(写真/顔麟宇撮影)

三十数年前、私はまだ台湾に長く暮らしてはいなかったが、すでに台湾を訪れたことはあった。九〇年代前後のことだったと思う。当時政権を握っていた国民党に、私はこう提言したことがある。国民党は「青天白日」の党旗を国家に贈り、現代の民主政党にふさわしい新しい党旗を作り直すべきだ。同時に、自らの党歌を国家から取り戻すべきだ、と。

当時の国民党がこれを受け入れなかったことに、私は驚かなかった。

あれから三十数年が経ち、私が台湾で暮らす歳月も三十年になった。今あらためてこの提言を繰り返すにあたり、考え自体はさほど変わっていない。だが、当時とは心境がまるで違う。若い頃の私が目にしていたのは、主に制度上の不合理さだった。民主化を進める国家でありながら、なぜ国旗の左上には、ある政党の党旗とほとんど同じ「青天白日」が置かれ続けているのか。国歌の冒頭が、なぜ「三民主義は我が党の拠るところ」なのか、と。

今日あらためてこの問題を語るとき、私がより痛感するのは、百年の歴史を持つ政党に対して、自らが最も大切にしてきた歴史的象徴を手放すよう求めることが、どれほど容易ならざることかという点だ。

私は国民党員ではない。だからこそなおさら、「たかが一枚の旗、一曲の歌ではないか、何をそんなに惜しむのか」などと、国民党の人々に軽々しく言いたくはない。

それがただの旗でも、ただの歌でもないことを、私は知っている。

「青天白日」には、国民党のきわめて深い歴史的な思いが込められている。そこには革命があり、建国があり、北伐があり、抗日戦争があり、幾世代もの青春と犠牲と栄光があり、また敗北と亡命と苦難もある。多くの国民党員にとって、それは父祖の代からの記憶の一部でさえある。同様に、「三民主義は我が党の拠るところ」もまた、簡単に消し去れる歌詞ではない。それはこの政党が自らをどう理解してきたかを刻み、百年の歴史を共に歩んできたものなのだ。

だからこそ私は「贈る」という言葉を使うのだ。

取り消すのでも、廃止するのでも、剥奪するのでもない。

あるものを本当に大切にしてきた者だけが、それを贈る資格を持つ。愛着のない放棄は犠牲とは呼べない。深く愛し、大切にしてきたからこそ、最後により大きな共同体のために手放す。それこそが、真に重みのある決断なのだ。

したがって、「党旗を国家に贈る」ということは、国民党に自らの歴史を否定させることを意味しない。むしろその逆である。私が願うのは、いつの日か国民党が誇りを持ってこう語れることだ。「この旗はかつて我々のものだった。そして今日、我々はこれを国家に贈る」と。

なぜなら、今日の中華民国は、もはやかつての中華民国ではないからだ。 (関連記事: 【2026台湾統一地方選挙】宜蘭県長選、国民党・呉宗憲氏はなぜ苦戦? 林姿妙氏の「個人票」と「張家」がカギ | 関連記事をもっと読む )

国民党は、中華民国を建国した歴史に誇りを持ってよいし、持つべきでもある。しかし建国から百年余りを経た今日、中華民国はきわめて大きな歴史的変化を経てきた。とりわけ台湾が民主化を成し遂げてからは、この国家はすでにどの政党のものでもなくなっている。今日の中華民国は、台澎金馬(台湾・澎湖・金門・馬祖)に暮らす人々が自由な選挙によって共に政府を選び、共に政治の方向性を決める民主国家なのである。

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