台湾のある若者が先日、出張で中国・上海を訪れた際、入境時に足止めされ、約6時間にわたって事情聴取を受けた。その理由は、本人がかつてアムネスティ・インターナショナル(国際特赦組織)で働いていた経歴にあるとされる。この一件がSNS上で明らかになると、台湾社会では「中国へ渡る際のリスク」をめぐる議論が再び起きた。
さらに注目されたのは、中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)が2日、この件について初めて公式に反応したことだ。国台弁の張晗報道官は、アムネスティ・インターナショナルを「国際的な反中勢力の先兵」と表現したうえ、同団体で働いた経験を持つ一部の人物に対し、中国の出入境検査当局が審査を行うことは「完全に合理的かつ合法的だ」と述べた。
台湾の大陸委員会(陸委会)は、投稿で語られた経緯について、これまで把握してきた類似事例と共通する点があるとし、「リスクが高い国民」に対して中国へ渡る必要性を慎重に検討するよう呼びかけた。アムネスティ・インターナショナル台湾支部の邱伊翎(チウ・イーリン)事務局長は、これまで職員が同様の扱いを受けた前例はないとしながらも、同団体では以前から応募者に対し、中国や香港への渡航は勧めていないと説明した。
「過去の経歴」から「重点的な関心対象」へ
この台湾の若者の親によると、事情聴取の内容はほぼすべて、本人のアムネスティ・インターナショナルでの勤務経験をめぐるものだったという。
どのような業務を担当していたのか。中国、香港、新疆、チベットに関する報告書や提言活動に関わっていたのか。団体の資金源は何か。台湾や国際社会でどの政治家や人権活動家とつながりがあるのか。そして今回の入境の「本当の目的」は何なのか。
本人は携帯電話のロック解除を求められ、メッセージアプリ、写真、メール、仕事関連のファイルまで調べられたという。
本人は、自分は一般の事務職員にすぎず、すでに退職しており、今回もあくまで個人的な用事で、政治的な意図は一切ないと繰り返し説明した。最終的には「入境を断念する」ことで、無事台湾に戻ることができた。親はその後、「第二の李明哲にならずに済んで良かった」とつづった。
台湾の陸委会は、投稿の当事者から現時点で政府に正式な申し出はないとしながらも、本人が語った体験には、陸委会が過去に把握してきた類似事例と共通する点があると説明した。また、比較的リスクの高い背景を持つ国民に対し、中国へ渡る必要性を慎重に検討するよう呼びかけた。
北京の視点では「人権関連の仕事」は単なる職歴とはみなされない
アムネスティ・インターナショナルは長年、世界各地の人権問題に取り組み、中国の人権状況についても数多くの批判を行ってきた。 (関連記事: 【北京観察】空港で初めて「出国できない」と判明も 中国が出国制限を制度化、9月15日施行 | 関連記事をもっと読む )
そのため、北京の政治・安全保障の枠組みでは、ある人物がこうした国際人権団体に関わった経験があるかどうかは、必ずしも履歴書上の一つの職歴としてだけ捉えられるとは限らず、より大きな「国家安全」や「外国勢力」との関係の中で解釈される可能性がある。
















































