台湾の洪申翰労働部長(労働相)は9月21日、中国・南京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)人材養成大臣会合に出席する。頼清徳政権の発足後、閣僚が中国本土を訪れるのは初めてとなる。
中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)の張晗報道官は9月2日の記者会見で、洪氏の出席について、「『一つの中国』原則とAPECの関連覚書の規定・慣例に従い、『台湾地区』の会議参加に関する事項を取り扱う」と述べた。
今回の国台弁の対応では、「中国台湾」という呼称は用いられなかった。
現時点では、洪氏の南京訪問をめぐる国台弁の対応には、二つの点で「譲歩」がうかがえる。一つは「中国台湾」と呼ばなかったこと、もう一つは、洪氏が過去に「二国論」に言及したことや、台湾が「正常な国家」になることを望むと表明したことなど、北京側の政治的なレッドラインに触れる可能性のある発言について言及しなかったことだ。
洪氏は9月1日、メディアの合同取材に対し、21日に南京で開かれるAPEC人材養成大臣会合に出席することを明らかにした。
洪氏は過去に自身のフェイスブックで「二国論」という言葉に言及したほか、台湾が「正常な国家」になることを望むとの考えを示していた。このため、北京側が洪氏の訪中にどのように対応するのか、また、洪氏の過去の発言が中国側の政治的なレッドラインに触れる可能性があるのかに関心が集まっていた。
学界からは、APECの会議場内では規定に従い、台湾の参加名称である「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」が使用される一方、国台弁の記者会見や中国の官製メディアでは、政治的立場を示すために「中国台湾」という呼称が使われる可能性が高いとの見方も出ていた。
国台弁、洪氏をめぐり二つの「譲歩」か
しかし、9月2日の国台弁記者会見で、張報道官は「『一つの中国』原則とAPECの関連覚書の規定・慣例に従い、『台湾地区』の会議参加に関する事項を取り扱う」と述べるにとどまった。
洪氏が過去に行った両岸関係をめぐる政治的発言には触れず、学界の予想に反して「中国台湾」とも呼ばず、「台湾地区」と表現した。

国台弁は同日、張報道官の司会で記者会見を開いた。
台湾メディアから「国台弁は洪氏が南京でAPEC会合に出席することをどう見ているか。今回の動きは両岸関係に新たな可能性をもたらすことにつながるか」と問われた張報道官は、次のように答えた。
「今年のAPEC議長エコノミーとして、われわれは『一つの中国』原則とAPECの関連覚書の規定・慣例に従い、『台湾地区』の会議参加に関する事項を取り扱う。あなたが言及した問題も含まれる」
国台弁、「一つの中国」原則を繰り返し強調
会見では台湾メディアから、昨年12月以降、台湾の複数の省庁から延べ300人以上が中国本土を訪れ、APECの各種会合に参加してきたことについても質問が出た。
質問では、これまでの参加が順調に進み、不測の事態も起きていないことを踏まえ、中国側が過去9カ月と同様の対応を続け、洪氏が今回の会合に問題なく参加できるようにするのか、また会議の合間などに洪氏と交流する予定があるのかが問われた。
これに対し張報道官は、「先ほどすでに回答した。APECの台湾関連問題に対するわれわれの立場は一貫しており、明確だ」とした上で、「『一つの中国』原則とAPECの関連覚書の規定・慣例に従い、『台湾地区』の会議参加に関する事項を取り扱う」と改めて述べた。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp
編集:佐藤 (関連記事: 中国軍、ウクライナ戦争から何を学んだのか ドローン・電子戦・飽和攻撃を強化、台湾国防部が分析 | 関連記事をもっと読む )













































