中国政府はこのほど、「中国公民」が規則に違反した場合、当局は出国を禁止できるとの内容を盛り込んだ「国務院関於出境入境管理的規定」(国務院の出入国管理に関する規定)を公布した。この新規定が台湾の人々にも適用されるか否かを巡り、関心が高まっている。台湾で対中政策を統括する大陸委員会(陸委会)の梁文傑・副主任委員は、「対岸(中国)から見れば台湾人も中国人」との認識を示した。一方、シンクタンク、民主文教基金会の桂宏誠・董事長は、「台胞証は単なる渡航文書であり、所持しているからといって中華人民共和国の公民になるわけではない」との見解を示した。
中国の出入国管理に関する規定の内容は?
「出境入境管理的規定」は9月15日より正式に施行される。新法では、中国公民が輸出管理規制に違反し、国家の産業の安全や技術の安全を脅かす可能性がある場合、政府は同人物の出国を禁止できると定めている。
台湾国内では、北京当局が中華民国のパスポート(旅券)を承認していないため、台湾市民が「台胞証」(台湾住民の中国渡航用身分証)を使用して中国に入境する際、「中国公民」と見なされるとの見方がある。そのため、新規定は中国大陸へ渡航する台湾人にも適用される可能性があると懸念されている。
台胞証とは
台胞証の正式名称は「台湾居民来往大陸通行証」という。これは中国大陸側が台湾住民に対して発行する、渡航および身分を証明する文書であり、主に台湾人が中国大陸に渡航する際に使用される。
陸委会「中国側は台湾人を中国人と見なす」
13日に開かれた陸委会の定例記者会見で梁・副主任委員は、同法が「出入国管理に関する規定」という名称であり、包括的な法律だと指摘。その上で、同法には中国公民や外国人に対する規定が含まれるが、中国公民の定義に台湾人が含まれるか否かについては、「(こうした事案について)中国側はたびたび恣意的に判断してきた」との認識を示した。
その上で梁氏は、「中国側の認識において、台胞証を所持する台湾人は中国人にほかならない」と強調。「したがって、中国側がこの解釈を適用する場合、当然ながら出境入境管理的規定で台湾人を拘束することが可能となる。こうした事態が起こり得ることを、我々は想定しなければならない」と述べた。
また、「過去の複数の事例から見ても、中華人民共和国の国籍の有無にかかわらず、中国側は台湾人を中国人として扱っている」と警鐘を鳴らした。

法学者「台胞証の所持は中華人民共和国公民を意味しない」
一方、法学者の桂氏は、大陸地区の住民と台湾住民はいずれも「中国人」であり、それぞれが唯一の「中国」を代表すると主張する中華人民共和国政府と中華民国政府という2つの政権によって統治されているとし、「両岸(中台)の憲法上の法理はこの点で一致している」と説明した。
桂氏はさらに、中華民国および中華人民共和国の各政府が台湾地区と大陸地区の人民に付与する国籍は、いずれも「中国籍」であると指摘。しかし、原則として取得できるのは1つのみであり、戸籍の所在地によって区分されるとした。そのため、「両岸の人民はいずれか一つの地区にのみ戸籍を設けることができる。対岸の『中国籍』を取得するには、いずれも当局の承認を得た上で戸籍を設ける必要がある」と解説した。

桂氏は、梁氏の発言は中華民国憲法および「台湾地区と大陸地区の人民関係条例」(両岸人民関係条例)に反していると批判。中華民国の国民には、金門や馬祖の「福建人」も含まれており、「台湾人」だけではないと強調した。
また、桂氏は「『台湾国人』の存在を証明する法律や文献があるのか、梁氏に説明してもらいたい」と疑問を呈した。さらに、大陸の人民が台湾を訪れる際、台湾側が『中華民国台湾地区入出境許可証』を発行していることは、前提として「中華民国大陸地区」が存在することを示していると述べた。
最後に桂氏は、「両岸人民関係条例の立法趣旨は極めて明確であり、大陸の人民もまた『中華民国の人民』だ」と指摘。台胞証の取得については、「渡航文書としての機能に加え、中華人民共和国公民へ身分を転換する『申請資格』を持つことを意味するが、自ら申請手続きを行わない限り、中華人民共和国公民になることはあり得ない」と反論した。
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編集:平松靖史

















































