台湾、2100億台湾ドルで無人機・無人艇21万機超を調達へ 「脱中国」サプライチェーン構築が焦点
台湾におけるドローン完成機の月間生産能力は現在約1万5000機。政府は2030年までに10万機へ引き上げ、輸出比率を現在の約2割から5割に拡大する目標を掲げている。(中央社記者・徐肇昌が2026年7月24日撮影)
台湾政府は2100億台湾ドル(約1兆400億円)の特別予算案の編成により、国防用に21万機を超える無人機(ドローン)を調達する予定だ。これは台湾メーカーにとって、長期的な需要創出と生産能力拡大の契機となる。一方で、基幹部品の「脱中国化」こそが、中国企業を排除した非レッド・サプライチェーン(非赤色供給網)を真に確立できるかどうかの試金石となる。
台湾企業にとって、ドローン産業は国際提携、試験生産、量産受注に向けた検証へと着実に歩みを進めている。しかし真の試練は、少量製品の開発からいかにして大規模製造へと移行するかにある。台湾経済部によれば、機体構造、ペイロード機器、動力システムなどの分野において、すでに国内企業10社以上が米防衛技術企業アンドゥリル(Anduril)から試作や量産の受注を獲得しているという。
今後の調達規模が数十機の試作から数万機の量産へと拡大した場合、各メーカーは納期、歩留まり、コスト、品質の均一性、そして情報セキュリティ要件を同時に満たす必要がある。さらに、部品のトレーサビリティ、テスト検証、そして継続的な改良能力を構築して初めて、政策的に生み出された需要を、安定した生産能力へと転換することが可能となる。
台湾行政院(内閣)はすでに「国防自主無人載具調達特別条例」の草案を承認しており、2026年8月から2031年12月にかけて段階的に予算を編成する計画で、上限額は2100億台湾ドルに設定された。調達項目には、沿岸監視用ドローン、沿岸攻撃用ドローン、および小型の自爆型無人艇(水上ドローン、USV)が含まれる。
政府が2100億台湾ドルの特別予算承認
台湾国防部の公式発表によれば、調達予定数はそれぞれ沿岸監視用が1446機、沿岸攻撃用が20万8200機、小型自爆無人艇が1320隻の計21万966機・隻に上る。うち沿岸攻撃用ドローンが全体の98.7%を占めており、大量配備、迅速な補充、および継続的な改良を前提とした小型無人機が政策の焦点となっている状況がうかがえる。2026年8月から2031年12月までの65カ月間で試算した場合、21万966機・隻を全て納入するためには、月平均で約3246機・隻の引き渡しが必要となる計算だ。
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現在、台湾のドローン完成機の月産能力は約1万5000機だが、政府はこれを2030年までに10万機へ引き上げ、輸出比率を現在の約2割から5割へと拡大する目標を掲げている。すでに2026年第1四半期(1〜3月)の輸出額は2025年の年間実績を上回っており、2026年上半期(1〜6月)の完成機輸出額は2億1200万米ドルに達した。2100億台湾ドル規模の調達計画が順調に進めば、その恩恵は完成機メーカーにとどまらず、航空宇宙関連製品向け品質管理サービス、電子製造、光学センサー、通信機器、さらに後方支援・メンテナンスといった広範なサプライチェーンに及ぶ可能性がある。
産業基盤を強化するため、行政院は別途、2025年から2030年にかけてのドローン産業発展統括計画を承認した。これには442億台湾ドル(約2190億円)を投じ、需要創出、技術開発、テスト・検証、産業クラスターの形成、管理制度の整備、および国際市場との連携を推進する予定だ。
民間では、雷虎科技(Thunder Tiger)や中強光電(Coretronic)がすでにドローンプラットフォームおよびシステム統合に参入している。また、漢翔航空工業(AIDC)などの航空宇宙関連企業は、航空機製造、品質検証、信頼性の維持、メンテナンス体制に関する経験を有している。さらに、鴻海精密工業(ホンハイ)、和碩聯合科技(ペガトロン)、佳世達科技(Qisda)といった電子機器受託製造サービス大手は、大規模調達、自動化生産、そしてグローバルな納品能力を備えている。
基幹部品の脱中国化が最大の課題
ドローンは高度に統合された電子・機電システムだ。フレーム、プロペラ、筐体だけでなく、バッテリーセル、モーター、フライトコントローラー、衛星測位システム、通信チップ、イメージセンサー、データストレージ、そしてファームウェアが含まれる。たとえ完成機の組み立てが台湾国内で行われたとしても、基幹部品に規制対象となっている中国のサプライヤーが関与していたり、ファームウェアの更新、データ転送、二次請けサプライヤーに関する情報が追跡できなければ、政府調達の入札資格、情報セキュリティ審査、さらには国際市場での認証に影響を及ぼす可能性がある。
米国が制定した「2023会計年度国防権限法(NDAA)」第5949条では、2027年12月23日以降、連邦政府機関は原則として特定の規制対象半導体製品やサービスを含む電子機器の調達が禁じられる。また、重要システムに使用される電子機器については、その規制が適用される範囲はサブティア(下請け)電子部品にまで及ぶ可能性がある。米連邦調達規則評議会(FAR Council)は2026年2月17日、施行細則の草案を公表し、元請け業者に対して規制対象半導体の出所を確認するための合理的な監査を実施し、関連する要件を対象となる下請けサプライヤーにも伝達するよう求めている。
(本記事は『先探投資週刊』第2415号より許可を得て転載。)
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