台湾で働く外国人専門人材と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは日本や米国かもしれない。台湾と日本は経済・貿易面での結びつきが強く、米国もテクノロジー人材や外資系企業人材の重要な出身国だからだ。しかし、台湾労働部の年間統計を見ると、実態は多くの人の想像とは異なる。
2025年末時点で、台湾における外国人専門人材の有効雇用許可件数は5万5396件に上る。国籍別で最多となったのはマレーシアで、ベトナム、インドネシアが2位、3位と続き、日本は4位、米国は8位となった。近年のデータを振り返ると、台湾における外国人専門人材の出身国構成が急速に変化し、東南アジア諸国が順位を大きく上げていることが分かる。
(注:本稿で扱うのは、労働部の「外国人専門人材の有効雇用許可件数」に関する統計であり、台湾に居住するすべての外国人を対象としたものではない。また、就業ゴールドカード保有者や「外国専門人材誘致・雇用法」が定めるすべての外国専門人材とも一致しない。)
台湾の外国人専門人材、最多はどの国か マレーシアが首位
労働部の『民国114年(2025年)労働統計年報』によると、2025年末時点で、台湾における外国人専門人材の有効雇用許可件数は5万5396件だった。
このうちマレーシア籍が8729件で首位となり、2位はベトナムの7260件、3位はインドネシアの6932件だった。日本籍は6138件で4位、米国は2778件で8位となった。2025年末時点の主要国籍別ランキングは以下の通り。
| 順位 | 国籍 | 有効雇用許可件数 |
|---|
| 1 | マレーシア | 8,729 |
| 2 | ベトナム | 7,260 |
| 3 | インドネシア | 6,932 |
| 4 | 日本 | 6,138 |
| 5 | インド | 3,275 |
| 6 | 香港 | 3,107 |
| 7 | フィリピン | 3,019 |
| 8 | 米国 | 2,778 |
| 9 | 韓国 | 2,332 |
| 10 | タイ | 1,411 |
日本と米国はいずれもトップ3に入らず、上位3カ国を東南アジア諸国が占めた。マレーシアは全体の約15.8%を占める。
ただし、ここでいう「件数」を、実際に台湾に居住している外国人の人数と同一視することはできない。労働部の統計説明によると、「有効雇用許可件数」とは、雇用許可を取得した後、許可期間が満了した人、中途解約して出国した人、主管機関によって雇用許可を取り消された人などを差し引いた、雇用許可に関する統計である。
また、2018年2月から学校教員の雇用許可および管理業務が教育部(文部科学省に相当)へ移管されたため、それ以降はこの労働部統計には含まれていない。
かつては日本が首位 2023年にマレーシアが逆転
現在マレーシアが首位となっていることに意外感を抱く人も少なくないだろう。しかし、過去にさかのぼれば、「日本が最多」という印象は決して根拠のないものではない。
労働部の過去のデータによると、2018年末時点では、日本籍の外国人専門人材が7754件だったのに対し、マレーシアは3627件で、日本はマレーシアの2倍を超えていた。
転換点となったのは2023年だった。同年末、マレーシアは7980件に増えた一方、日本は6092件となり、マレーシアが日本を上回って台湾の外国人専門人材で最大の出身国となった。
その後、両者の差はさらに広がり、2024年末にはマレーシア8336件、日本6078件、2025年末には8729件対6138件となった。台湾における外国人専門人材の国籍構成が、ここ数年で明確に変化していることが分かる。
ベトナムが急増 数年で2位に浮上
マレーシアに加え、ベトナムも近年、増加が目立つ国の一つだ。
2018年末時点で、ベトナム籍の外国人専門人材の有効雇用許可は747件にすぎず、2021年末でも1499件だった。しかし2022年末には2826件に増え、2023年は4534件、2024年は5593件、2025年末にはさらに7260件に達した。インドネシアと日本を上回り、2位に浮上した。
インドネシアの増加も顕著だ。2018年末には1033件だったが、2021年末には2246件、2022年末には4798件となり、2025年末には6932件に達して3位となった。
一方、日本は近年、比較的横ばい、あるいは減少傾向にある。2015年末には日本籍の外国人専門人材が8663件だったが、2025年末には6138件となった。米国も2016年末の5251件から、2025年末には2778件へと減少している。
なぜマレーシア、ベトナム、インドネシアが増えたのか 卒業後の台湾就職が一因
東南アジア諸国が順位を大きく上げている背景の一つに、華僑・外国人留学生が卒業後も台湾に残り、就職していることが挙げられる。
台湾で学ぶ優秀な華僑・外国人留学生の卒業後の就職を促すため、台湾政府は2014年から「華僑・外国人留学生の台湾就労ポイント制」を導入した。学歴、給与、実務経験、中国語能力などの条件をポイント化し、一定の基準に達すれば、専門的または技術的な業務に従事することができる制度だ。
その後、政府はポイント制による許可枠を段階的に拡大した。2021年には年間枠を従来の2500人から4500人へ引き上げ、2022年、2023年にはさらに6000人へ拡大し、条件を満たすより多くの卒業した華僑・外国人留学生が台湾で働けるようにした。
労働部による2023年末時点の外国人専門人材に関する分析では、当時、専門的または技術的業務に従事する卒業した華僑・外国人留学生は約1万7000件に達し、5年間で約1万2000件増加していた。
このことは、「外国人専門人材」を海外企業から台湾へ派遣された日本人管理職や米国人エンジニアだと捉えた場合、東南アジア籍の専門人材の規模を過小評価する可能性があることも示している。現在では、外国人専門人材の相当部分が、まず台湾へ留学し、卒業後にそのまま台湾の労働市場へ入るという経路をたどっている。
外国人専門人材はテクノロジー業界ばかりではない 最多は製造業
外国人専門人材が実際に従事する産業も、多岐にわたる。
労働部の統計によると、2025年末の外国人専門人材の有効雇用許可件数では、製造業が1万5646件で最多だった。次いで卸売・小売業が6692件、専門・科学・技術サービス業が5859件、教育業が5519件、宿泊・飲食業が5185件となり、情報通信業は2141件だった。
労働部の関連規定でいう専門的または技術的業務そのものが、幅広い分野を対象としている。建設工事・建築技術、交通、財務・税務・金融、不動産仲介、弁護士・弁理士、技師、医療・保健、環境保護、文化・スポーツ・レジャーサービス、学術研究のほか、製造業、卸売業なども含まれる。
そのため、「外国人専門人材」を単純にテクノロジー業界のエンジニアや外資系企業の上級管理職と捉えることはできない。
さらに長期的に見ると、台湾における外国人専門人材の出身国構成は明確に変化している。2016年末には日本が1位、米国が2位、マレーシアが3位だったが、2025年末には上位3カ国がマレーシア、ベトナム、インドネシアへと変わった。
卒業した華僑・外国人留学生の台湾就職や東南アジア人材の増加といった流れを背景に、台湾の外国人専門人材の出身国構成は徐々に変わりつつある。
- 労働部『民国114年労働統計年報』「外国人専門人材有効雇用許可件数-国籍別」
- 労働部『民国114年労働統計年報』「外国人専門人材-教育水準および産業別」
- 労働部『民国112年末外国人専門人材概況』
- 労働部労働統計月報「卒業した華僑・外国人留学生のポイント制関連統計」
- 労働部労働法令検索システム「外国人が従事する就業サービス法第46条第1項第1号から第6号までの業務資格および審査基準」
本稿の内容は、労働部が公開している統計データに基づいて整理したものであり、関連する人数、順位、政策内容は、公式データの更新に伴って変更される可能性がある。実際の認定基準、申請資格、最新の規定については、労働部および関連主管機関の最新の公表内容を確認する必要がある。