一般社団法人日本新聞協会は2日、2026年度の新聞協会賞の受賞作を発表した。今年度は加盟社から108作品の応募があり、選考の結果、調査報道や写真報道、大型ドキュメンタリーなど計6作品が選出された。
調査報道や写真報道など6件を表彰
政治、紛争、地域、環境、人権、選挙といった多岐にわたるテーマを通じ、社会の見えにくい課題や変化を浮き彫りにした優れた報道が評価を受けた。
選ばれたのは、西日本新聞社福岡県政取材班の調査報道「歪んだ関係―福岡県政を追う」、共同通信社イスラエル・パレスチナビジュアル報道班の写真報道「『終わらぬ悲しみの連鎖』 ガザ戦闘から2年の一連の写真報道」。
このほか、山陽新聞社島を渡る瀬戸内シーカヤック紀行取材班の写真企画「島を渡る 瀬戸内シーカヤック紀行」、日本放送協会NHKスペシャル「ヒグマ」取材班のNHKスペシャル「ヒグマ 異変の海に生きる」も選出された。
さらに、京都新聞社「隠れた刃 黒塗り記録」取材班の情報公開訴訟の開示文書に基づく企画「隠れた刃 黒塗り記録」、神戸新聞社「あの熱狂の中で」取材班の連載「あの熱狂の中で」などSNS選挙を検証する一連の報道の6件が受賞した。
地方政治とガザ紛争を追った報道を評価
西日本新聞社は、福岡県議会の高額な海外視察をめぐる特報を皮切りに、県職員による政治資金パーティー券購入や正副議長ポストをめぐる現金授受疑惑をスクープした。
さらに議会棟の取材規制の動きも明らかにして撤回へ追い込み、議会と県の過剰な忖度という構造問題を突いて正副議長の辞任やパーティー券購入禁止などを引き出した。地方政治を監視する役割を全うした調査報道として高く評価された。
共同通信社は、ガザ戦闘から2年が経過したイスラエルとパレスチナ双方の市民の悲しみを捉えた11枚の写真報道を展開した。取材が制限される現地で、イスラエル軍に自宅を破壊されたパレスチナ人や人質解放を訴えるイスラエル側市民などを偏りなく記録し、長期化する紛争の喪失と分断を伝えて写真の力を示した。
地域と環境を独自の視点で記録
山陽新聞社は、記者とカメラマンがシーカヤックで瀬戸内海の121島を巡り、離島の自然や歴史、島民の暮らしを記録した。
美しい写真にとどまらず、人口減少や産業廃棄物不法投棄事件の爪痕といった課題も報じ、デジタル版での動画や漫画展開を含めた独創的な発想と行動力で地域ジャーナリズムの新境地を開いた。
日本放送協会は、世界自然遺産・知床のヒグマの生態にオホーツク海の温暖化が及ぼす影響を記録した。2024年からの取材でドローンや水中撮影を駆使し、食料減少に伴い岩山に登ってカモメの卵やヒナを捕食する様子などを圧倒的な映像美で描き出し、環境異変に警鐘を鳴らした。
人権問題とSNS選挙に迫る調査報道
京都新聞社は、旧優生保護法下の強制不妊手術をめぐり、7年に及ぶ情報公開請求と訴訟を展開した。開示された行政文書から過酷な人権侵害の実相を掘り起こし、最高裁まで争って開示を確定させたことで、非開示方針だった24都道府県を方針転換へと導いた一連の粘り強い活動が認められた。
神戸新聞社は、SNS選挙の端緒となった2024年の兵庫県知事選を起点に、2025年2月から1年4か月にわたり連載を掲載した。
再選された知事への熱狂と既存メディアへの不信が広がった背景を有権者取材から掘り下げ、自社報道の検証やSNS分析を通じて現代の民主主義と選挙報道のあり方に鋭い問いを投げかけた。
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編集:小田菜々香














































