台湾の「憲政危機」に打開策 民進党元主席が仏モデル提案「総統と立法院で大法官指名を分担」

2026-09-14 15:30
民進党元主席の許信良氏、1990年代のように憲法改正で問題を解決することは、難易度が高く代償も大きいため不可能だと指摘した。(柯承恵撮影)
民進党元主席の許信良氏、1990年代のように憲法改正で問題を解決することは、難易度が高く代償も大きいため不可能だと指摘した。(柯承恵撮影)

台湾では今年、行政院(内閣)と野党が多数を占める立法院(国会)との間で、立法院で可決された法案に対する行政院長(首相に相当)の副署(署名)拒否を巡り、たびたび対立が生じている。さらに、こうした対立の調停役となるべき憲法法廷(憲法裁判所)も、審理を担当する大法官(裁判官)の定員割れにより機能不全に陥っており、立憲政治のかつてない膠着(こうちゃく)状態、引いては憲政の危機を招いている。

現在の憲政危機の打開策を巡り、最大野党、国民党所属の元行政院長、江宜樺氏と、与党・民進党の元主席(党首)、許信良氏が、各政党は和解すべきとの意見で一致した。

総統指名の大法官候補が立法院で2度否決、憲法法廷が機能停止に

これまで総統が指名した大法官の候補者が立法院で2度にわたり否決されたことで、新任の大法官が選出できず、憲法法廷が機能停止に陥るという膠着状態が続いている。こうした中、氏と許氏は、総統と立法院がそれぞれ大法官の候補者を分担して指名することで、事態を打開できるとの見方を示した。

台湾の民間シンクタンク、台北政経学院基金会(TSEF)は今週、2日間にわたり「総統直接選挙30年の回顧と展望」と題するシンポジウムを開催した。12日に行われたフォーラムには、江氏と呉氏のほか、元国家安全会議(国安会)秘書長の蘇起氏、中央研究院院士の呉玉山氏、国立清華大学・台北政経学院講座教授の葉俊栄氏らが招かれ、議論を交わした。

議論の中で江氏は、行政院が立法院の決議に異議を唱える場合、通常であれば司法院の大法官で構成される憲法法廷に裁定を委ねることが可能だと指摘した。しかし、現在は大法官の定員割れにより、憲法解釈を下すことができない状態にあると指摘。

憲法法廷は本来15人の大法官で構成されるが、現在は8人しか在任していない。他の7人の任期満了に伴い、頼清徳総統はこれまで2度にわたり、計14人の候補者を指名したが、全員が立法院で否決された。この結果、頼総統が新たな候補者の指名を見送る意向を示しており、憲法法廷の機能停止が長引く見通しとなっている。

許氏「与野党は1990年の「国是会議」に倣え」

一方で許氏は、現在、1990年代のように憲法改正を通じて問題を解決することは、難易度が高く多大なコストを伴うため、不可能だと指摘した上で、「私が提起したいのは、現在は『マキャベリの時』ではなく『大和解の時』であるべきだということだ」と述べた。

許氏は具体例として、与野党は1990年の「国是会議」を参考にすべきと提案。当時は李登輝総統が主導する国民党政権下で、宋楚瑜氏が国民党秘書長(幹事長に相当)を務めていた時期だ。当時、国民党と民進党は協力して国是会議を推進しており、その重要性は米国の憲法制定会議に匹敵するものだったと振り返った。 (関連記事: 論評:「違法判決」か「機能回復」か 台湾・大法官5人が憲訴法改正を違憲、反対意見は「当初から無効」 関連記事をもっと読む

1990年、総統・李登輝氏が国是会議の開幕式で演説。(国史館提供)
1990年、国是会議の開幕式で演説する李登輝氏。(国史館提供)

さらに、1996年の憲法改正をもう一つの例として挙げ、この時も国民党と民進党の協力があってはじめて、憲法に基づく台湾の民主体制が確立され始めたと説明した。

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