中国の習近平国家主席は24日、ドナルド・トランプ米大統領とホワイトハウスで首脳会談を行った。習氏は、米中両国首脳が半年足らずの間に相互訪問を実現したことは「前例がない」と強調。両氏がこれまで米中関係という大きな船の舵取りを担ってきたとし、「建設的で戦略的に安定した関係」は両国関係の現実を反映するとともに、未来への期待を示すものだと述べた。双方は引き続き、「協力を基調とし、節度ある競争を行い、相違を適切に管理し、平和を展望できる」方向に向けて努力していくとしている。
米紙『ワシントン・ポスト』によると、習氏がホワイトハウスに到着した後、両首脳は贈り物を交換し、B-2ステルス爆撃機の飛行展示と、4機のF-22戦闘機による随伴飛行を見学した。ホワイトハウスのローズガーデンでは、米陸軍の軍楽隊が演奏を披露した。
両首脳は互いを称賛し、協力していく姿勢を強調した。トランプ氏は「美しいホワイトハウスにお迎えできて大変うれしく思う。習主席もご覧の通り、前回の訪問時からここは大きく変わった」と述べた。
習氏は、自身とトランプ氏の双方が両国間の健全な競争を望んでいると強調し、両国軍に対し、危機回避に向けた措置を強化するよう呼びかけた。その上で、「米中協力によって世界のすべての問題を解決できるわけではないかもしれないが、我々の協力なしには、多くの世界的な問題を解決することは難しい」「『中華民族の偉大な復興』の実現と『アメリカを再び偉大にする(Make America Great Again)』ことは両立できる」と述べた。
中国国営新華社通信によると、習氏は、米中は実務的な協力を通じて互恵関係を築き、健全な競争の中で互いを高め合い、共通点を求めながら相違を適切に処理し、相互信頼を積み重ねることで平和を築くべきであり、それは十分可能だとの考えを示した。平等、尊重、互恵を堅持すれば、問題を解決する道筋を見いだせるとした上で、米中の経済・貿易関係が今後さらに好転していくことへの期待を示した。
米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』がまとめた米中首脳会談の5つの要点:
一、盛大な歓迎式典は実質的な回答をもたらさなかった。
二、一部の共和党員はこの「茶番」に不満を抱いている。
三、習氏は、台湾への支援が今後の両国関係を複雑にすると警告した。
四、習氏は、中国にはAIを「人間の管理下」に置く能力があると主張した。
五、米中は貿易分野で徐々に進展している。
AIと台湾独立を巡り議論
習氏は、米中はいずれも人工知能(AI)大国であり、双方の間には当然競争があるものの、協力も可能だと指摘。「互いに警戒し合うのではなく、それぞれの強みを生かすべきだ」と述べた。
習氏は台湾問題にも明確に言及し、「国家統一と領土の一体性を守る中国の立場は明確だ」と強調した。その上で、米国側が台湾独立に反対する立場を堅持し、台湾問題を慎重に扱うことで、米中の戦略的協力と両国関係の発展に向けた強固な基盤を築くよう求めた。
一方、トランプ氏は同日、AI規制には否定的な姿勢を示した。同氏は「今日は習主席と過ごす重要な一日だ。スーパーインテリジェンス(Super Intelligence、トランプ氏によるAIの新たな呼称)というテーマが議論の焦点になるが、私はこれを現状のままにしておきたい。中国も同じ立場だ。そして我々のセーフガードは司法省だ」と述べた。
『ワシントン・ポスト』は、AIに対する習氏の懸念は現在のテクノロジー業界幹部の見方と一致する一方、トランプ氏はこうした悲観的な見方を否定していると分析した。
米中貿易戦争、休戦期間を2カ月延長
注目される米中貿易戦争と関税問題を巡っては、スコット・ベッセント米財務長官が23日、11月10日に期限を迎える予定だった貿易休戦合意を2カ月延長することで双方が合意したと明らかにした。
ベッセント氏は米FOXニュースに対し、中国側から「より良い条件」が提示されたと説明。今年中に両国首脳が再び会談する可能性があることから、双方は期限を2カ月延長し、昨年釜山で成立した休戦合意を引き続き適用することで一致したという。
一方、米シンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」のクレイグ・シングルトン氏は、今回の延長は、米国側が中国にさらなる譲歩を求め、その見返りとして休戦期間を本格的に延長しようとしていることを意味すると指摘した。
『ワシントン・ポスト』によると、習氏がホワイトハウスを訪れるのは、バラク・オバマ氏が大統領だった11年前以来となる。
同紙は、今回の訪問はトランプ氏の対中姿勢が大きく変化したことを示しており、両国関係は「対立」から「良好な関係構築を模索する」方向へ移りつつあると指摘した。
トランプ氏は1期目、歴代米政権が採ってきた対中経済関与政策から転換した。中国が豊かになれば民主化が進むとの期待を捨て、中国からの輸入品に高い関税を課し、中国に移転した製造業の米国内回帰を促した。
しかし同紙によると、中国がレアアースを交渉の切り札として使うようになると、トランプ氏は関税措置を断念した。
今後の主な日程
トランプ氏は現在、習氏との会談に積極的な姿勢を見せており、両氏は数カ月ごとに顔を合わせている。
今回の訪問に向け、トランプ氏はホワイトハウスの改修を指示し、南庭には新たなヘリコプターの離着陸場も建設された。
24日の首脳会談終了後、トランプ氏は習氏を新しい離着陸場へ案内し、大統領専用ヘリコプター「マリーン・ワン」にも搭乗させた。
トランプ氏は「習主席はほかにも多くの才能を持っているが、石材にも詳しく、最高級の花崗岩を非常に好んでいる」と述べた。
24日にホワイトハウスのイーストルームで開かれた晩餐会についても、トランプ氏は米側の招待客について、「誰もが参加したがっていた。テクノロジー業界、銀行業界、そのほか多くの分野の人々が参加を望んでいた」と語った。
トランプ、習両氏は今年すでに北京とワシントンで2回会談しており、11月には深圳、12月にはマイアミで再び会う可能性が高いと『ワシントン・ポスト』は報じている。
同紙はまた、トランプ氏が23日に自らアンドルーズ統合基地へ赴いて習氏を出迎えたことについて、通常はローマ教皇に対して行われる特別な待遇だと指摘した。
ホワイトハウスのアンナ・ケリー(Anna Kelly)報道官によると、24日の国賓晩餐会に加え、トランプ氏は、習氏が北京でトランプ氏をもてなした時と同じように、習氏とともにお茶を楽しむ予定を組んでいるという。
さらに習氏は米国立公文書館を訪れ、トランプ氏とともに「米国建国250周年を祝う上で重要な意味を持つ歴史的文書」を見る予定だ。習氏は25日にワシントンを離れ、3日間の訪米日程を終える見通しとなっている。
一方、トランプ氏が異例の厚遇で習氏を迎え、極めて友好的な姿勢を示していることについて、一部の共和党員からは「独裁者をこのように手厚くもてなすべきではない」との批判も出ている。
米議会の共和・民主両党の議員も、中国市場の開放や最先端半導体の対中流出阻止を巡り、習氏に圧力をかけるようトランプ氏に求めている。
上院共和党トップのジョン・スーン(John Thune)多数党院内総務は、中国側による市場開放を求め、「彼らは言葉では約束しているが、実際には完全には履行していない」と指摘。「さらに、AI分野でも具体策を示してほしい」と述べた。
一方、上院民主党トップのチャック・シューマー(Chuck Schumer)少数党院内総務は、「トランプ大統領は明確な一線を引かなければならない。米国の輸出規制を弱めてはならず、中国が米国との差を縮めることにつながる先端半導体や半導体製造装置を入手できるようにしてはならない」と訴えた。