東京都立大学大学院理学研究科の延優子特任研究員や田岡万悟准教授らを中心とする国際共同研究グループは、高温環境に生息する微生物である古細菌のリボソームRNA(rRNA)と転移RNA(tRNA)において、隣り合うヌクレオシド同士をつなぐリン酸リンカー部分に硫黄を含むチオリン酸修飾が存在することを突き止めた。
これまで塩基やリボース部分における天然化学修飾は多数知られていたものの、リン酸骨格部分における修飾の存在は否定的な見解が支配的であり、天然RNAにおけるチオリン酸修飾リンカーの存在を世界で初めて実証した成果となる。
古細菌RNAで世界初の発見 チオリン酸修飾リンカーの存在を実証
研究グループは、イスラエルのワイツマン研究所やテルアビブ大学、米国のコロラド州立大学、バージニア工科大学、国立がん研究所、ドイツのクリスティアン・アルブレヒト大学、レーゲンスブルク大学、フランスのストラスブール大学、ポーランドのヤギェウォ大学、オーストリアのウィーン獣医科大学、ウィーン医科大学などと共同で解析を進めた。
その結果、古細菌のrRNAにおけるチオリン酸修飾リンカーは、メッセンジャーRNA(mRNA)の暗号解読部位やタンパク質合成の鍵を握るペプチド転移反応活性中心付近に集中しており、生育温度の上昇や培地中の硫黄の存在に伴って修飾量が変動することを確認した。
また、tRNAにおける同修飾は分子自体の安定性維持に不可欠であることも判明した。
新規酵素「Esti-A」「Esti-B」を特定 RNA医薬への応用に期待
さらに研究チームは、この立体選択的なチオリン酸修飾を担う新規酵素として「Esti-A」と「Esti-B」の2種類を同定した。
見出された天然のチオリン酸修飾リンカーはすべて特定の立体配置であるR体を有しており、これらの合成酵素が欠損した古細菌では、生存不能に陥ったり高温環境下での増殖速度が著しく低下したりするなど重大な影響が生じることが確認された。
チオリン酸修飾はRNA医薬の生体内安定性を高めるための人工的な改変手法として広く利用されているが、標的とする立体構造のみを作り分ける立体選択的合成の難しさが実用化に向けた課題となっていた。
今回特定された酵素メカニズムの解明は、今後のRNA医薬における効率的かつ精密な合成技術の開発につながるものと期待されている。
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編集:小田菜々香












































