民間の政策協議グループである三極委員会のアジア太平洋委員会(委員長:新浪剛史氏、事務局:公益財団法人国際文化会館)は2026年9月29日、「AI、ヒューマンコントロール、戦略的安定性に関するスタディグループ」を発足させたと発表した。
防衛・安全保障分野において人工知能(AI)の導入が急速に進展する中、武力行使や事態のエスカレーション(拡大)に関わる意思決定において、人間による意味のある制御(ヒューマンコントロール)、説明責任、危機における安定性をいかに担保するかを、日米欧を中心とする有識者が分野横断的に検証する。
2026年後半の各地域会合での議論を経て、2027年に最終提言を取りまとめる予定である。
日米欧から共同座長を選出 安全保障やテクノロジーの専門家が参画
本スタディグループは、三極委員会の三地域(アジア太平洋、欧州、北米)からそれぞれ1名ずつの共同座長を選出した。
アジア太平洋からは慶應義塾大学教授で国際文化会館常務理事・新領域戦略研究所共同代表の神保謙氏、欧州からは防衛大手レオナルド社前CEOで元イタリア環境移行大臣のロベルト・チンゴラーニ氏、北米からは新アメリカ安全保障センター(CNAS)理事で前米国防イノベーション・ユニット(DIU)長のダグ・ベック氏が就任した。
さらにアドバイザーとして、アジア太平洋からはソウル国際法アカデミー会長で元韓国外相の尹炳世氏、アイアン・ピラー・ファンド特別顧問のアーキッシュ・ミッタル氏が参画する。
欧州からは元欧州議会議員でスタンフォード大学フェローのマリーチェ・スハーケ氏、J.P.モルガン・チェースのエグゼクティブ・ディレクターであるハコボ・ロア・ビセンス氏が加わる。
北米からはオープンテキスト社の会長であるトム・ジェンキンス氏、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)ディレクターで元米財務省のマイケル・グリーンワルド氏が名を連ねる。
軍事AIの拡大で高まるリスク 人間による制御のあり方を検証
設立の背景として、軍事・安全保障分野におけるAIの導入は、単なる個別兵器の自律化にとどまらず、国家の意思決定プロセス全般に浸透しつつある現状がある。
情報収集(監視・サイバー防衛)、選択肢提示(早期警戒・標的支援・危機評価)、行動実行(指揮統制・重要インフラ防護)といった各段階において、AIの処理速度や適応的支援が判断時間を極度に圧縮し、責任の所在を曖昧にし、意図せざるエスカレーションを引き起こすリスクが指摘されている。
国連総会第一委員会の決議(79/239、80/58)や特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)政府専門家会合、責任ある軍事AI利用に関する首脳会議(REAIM)、米国主導の政治宣言など多国間対話が重ねられてきたが、国家権力の行使や基盤インフラにAIが組み込まれることによる戦略的影響は十分に掘り下げられていない。 (関連記事: 【米中首脳会談】国賓晩餐会の主賓席にフアン氏・スー氏・クック氏・マスク氏 中国側は企業トップ不在 | 関連記事をもっと読む )
本グループは「無制限の開発競争」と「非現実的な開発凍結」のいずれでもない、責任ある実務的な道筋を示すことを目指す。
















































