米中閣僚級協議、AI安全通知メカニズムを米側が提案 関税・レアアースは首脳会談に持ち越し
ニューヨークで何立峰・中国国務院副総理と8時間に及ぶ会談を行ったベッセント米財務長官は会談が「非常に成功した」と述べた。(ベッセント氏のXより)
トランプ米大統領と習近平・中国国家主席が24日、ホワイトハウスで首脳会談を行う予定だ。これに先立ち米中の経済・通商部門の閣僚級会談が20日、ニューヨークで8時間に及び行われた。ベッセント米財務長官は協議終了後、その成果を「非常に成功した」と評価し、両国が「米中人工知能(AI)対話」の創設に合意したと発表したほか、米側からAIの国家安全保障に関する通知メカニズムの構築も提案したことを明らかにした。関税問題の休戦延長やレアアース(希土類)を巡る対立解決については結論に至らなかったものの、ベッセント氏の姿勢は今週の首脳会談に向けた緊張緩和の土台を築いたと言える。ただ、米中関係の改善がどこまで進展するかは、両首脳自らが示す結果を待つ必要がある。
ベッセント氏は20日、ニューヨークのJPモルガン・チェース本社で中国の何立峰国務院副総理と会談した。同席者には、グリア米通商代表および中国の李成鋼・商務省国際貿易交渉代表兼副部長が名を連ねた。李氏は協議後、良好な雰囲気の中で意見が交わされたと述べ、実務者協議を21日も継続する方針を示した。
フランス通信社(AFP)およびブルームバーグ報道によると、ベッセント氏は協議後、貿易とAIが主要議題になったと説明。また国家安全保障レベルに発展し得るAIの脅威に対し、米側は両国間の通知メカニズム構築と透明性向上を提案しており、この取り決めは新設される「米中AI対話」の枠組みに組み込まれる見通しだ。ベッセント氏は、米中は世界を二分するAI大国だと強調し、国境を越えるリスクに直面する中で「より高い透明性の確保が極めて重要だ」と指摘した。また米側は、先端半導体および製造装置に対する米国の輸出規制措置が、今回のAI対話枠組みの協議対象に含まれていないことも明らかにした。
今年5月に北京で行われた米中首脳会談以降、AI分野において両国間の競争が急速に高まっている。トランプ氏と習氏は当時もAI問題について議論したが、関連する枠組みが正式に構築されることはなかった。今回のニューヨーク協議は制度的対話へ向けた第一歩を踏み出すものであり、米国の最も敏感な半導体輸出規制には触れず、両国が直面し得る共通の安全保障リスクへと焦点を絞った。ベッセント氏はAI分野における中国の台頭に対して強硬な姿勢を崩していないが、同時に「共通のリスク」については両国で意思疎通を図るべきだと主張している。ロイター通信は、米中間にAI競争や経済的利益、軍事応用を巡る深刻な対立が存在する一方で、AIの安全性に関しては、一部の米政府高官や専門家が「数少ない協力可能な領域」と見なしていると指摘している。
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もう一つの具体的な進展として、以前から合意されていた「貿易委員会(Board of Trade)」構想の実行に着手したことが挙げられる。グリア氏は、米中が規模を限定し、かつ国家安全保障とは直接的に関連しない品目を選別することで、比較的安定した双方向の貿易ブロックを構築し、極度の緊張状態にある経済・通商関係に「バラスト(重し)」としての役割を持たせたい狙いがあると述べた。米側の構想によれば、中国からの輸出品は消費財やローテク製品、米国からの輸出品はエネルギーや農産物、医療機器などが含まれる可能性がある。この枠組みは米中間の関税を全面撤廃するものではなく、一部の「非敏感品目」を切り離して扱うことで、将来的に両国が新たな貿易措置を発動した際にも、これらの品目が巻き添えになるのを極力回避する狙いがある。
グリア氏は、米中が世界で最も強大な2つの大国であるとし、貿易やAI分野において「協力できることは極めて重要だ」とする一方、それは両国関係に重大な課題が存在しないことを意味するものではないと強調した。同氏は今回のニューヨーク協議の目的を、トランプ氏と習氏による首脳会談に向けた「地固め」であると形容した。ロイター通信によると、米中が昨年10月に合意した関税問題の休戦措置は今年11月10日に期限を迎えるため、市場では、これが再延長されるかどうかに強い注目を集めている。しかし、20日の協議終了後に米側から延長に関する発表はなく、中国に対して米国企業へのレアアースや重要鉱物の供給改善を求めた件についても、記者会見で状況の打開が公表されることはなかった。
さらに、中国が以前約束していた米国産農産物やボーイング製旅客機の調達拡大に関しても、現時点で新たな進展は見られていない。ロイター通信は、これらが24日にトランプ氏が習氏と交渉する際の重要な外交カードになる可能性が高いと指摘している。とりわけトランプ氏は、11月の中間選挙を前に、有権者にアピールできる経済・通商面での成果を得ることを望んでいる。現在確実視されているのは、米中AI安全対話の開設向けた作業、非敏感品目の貿易メカニズムが動き出すことだ。関税問題の休戦やレアアースの供給、農産物および大型調達など、より政治的ウェイトの大きい課題については、引き続きトランプ氏と習氏の直接的な決断に委ねられることとなる。
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