鎮静・麻酔導入薬「エトミデート」を含む液体約2.7キロをベトナムから関西空港に密輸したとして、台湾籍で住所不定の蔡艾伶(サイ・アイリン)被告(48)が逮捕、起訴された。液体は中国の高級酒「茅台酒(マオタイ)」の瓶に入れられていた。エトミデートを含む電子たばこ用リキッドなどは日本で「ゾンビたばこ」とも呼ばれる。専門家は「すぐにまた吸ってしまう」と依存の危険性に警鐘を鳴らしている。
瓶のふたにひび割れ 税関が不審に思い発見
FNNプライムオンラインなどによると、蔡被告は他の人物と共謀し、10月8日にエトミデートを含む液体をベトナムから関西空港に密輸した罪に問われている。大阪税関によると、押収された液体は2675.99グラムだった。大阪府警は蔡被告の認否を明らかにしておらず、密輸ルートや他の関係者について捜査を続けている。
警察などによると、液体は酒瓶に入れられ、その酒瓶を木箱に収めた上でスーツケースに入れていたという。税関の検査で発覚した。蔡被告は当時、「日本で知り合った人にプレゼントするために持ってきた」と説明していたという。
時事通信などによると、酒瓶は中国の高級酒「茅台酒」の瓶で、木箱に収められ、衣類や菓子と一緒にスーツケースに入っていた。税関職員が瓶のふたにひびが入っているのに気付き、不審に思って調べたところ、エトミデートが検出された。
共同通信によると、酒瓶には開栓された形跡があり、異臭もしたため税関が鑑定した。大阪府警は組織的な犯行の可能性もあるとみて、本来の受け取り先や他の関係者について調べている。
大阪地検は10月29日、蔡被告を医薬品医療機器法違反の罪で起訴した。大阪税関も関税法違反として大阪地検に告発している。
電子たばこ用リキッドに混入 乱用で呼吸抑制の恐れ
エトミデートは海外で鎮静剤や麻酔導入薬として使われている。乱用すると異常行動を引き起こす恐れがあり、エトミデートを含む電子たばこ用リキッドなどは日本で「ゾンビたばこ」とも呼ばれている。台湾では「喪屍煙弾」と呼ばれる。厚生労働省が2025年5月に注意喚起を行った時点で、沖縄県ではすでにこの成分を含む製品の乱用が確認されていた。
兵庫県の薬物に関する注意喚起資料によると、エトミデートを含む電子たばこ用リキッドがすでに出回っている。乱用すると意識障害や呼吸抑制など深刻な健康被害を招く恐れがあり、他人を巻き込む傷害事件や交通事故の事例も報告されている。
こうした製品は「笑気ガス」という隠語で呼ばれることもあるが、医療用の笑気は亜酸化窒素で、エトミデートとはまったく別の成分だ。 (関連記事: 電子たばこ感覚で吸った「ゾンビたばこ」が薬物運転に 台湾で摘発を難しくする検査の壁とは | 関連記事をもっと読む )
電子たばこで警戒心が薄れやすく、リキッドの成分も一定せず
国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部の富山健一室長は、電子たばこは手軽なため、使用へのハードルも下がると指摘する。覚醒剤を例に挙げ、加熱して吸引したり、注射したりするには専用の器具が必要で、初めて使う人は経験のある仲間から教わることが多いが、電子たばこは喫煙の延長と受け止められやすく、使用者はそれほど深刻に考えないという。













































