台湾と日本による外交や安全保障面での連携は、双方の経済的利益とも関係しているのだろうか。
台湾・国立政治大学国際事務学院副院長兼「安倍晋三研究センター」主任の李世暉氏によれば、この3つは密接に関連しているという。日本がグローバルなサプライチェーンにおける自国の位置付けを再構築するなか、台湾は最も有力な協力相手であり、「ほかに代わる存在はない」と李氏は指摘する。
さらに、台湾積体電路製造(TSMC)など台湾のハイテク大手による対日投資に続き、日本企業による台湾への投資が拡大すれば、台湾の安全保障にもプラスになる可能性があるという。李氏は「各国が台湾に戦略的利益を持つようになれば、台湾の安全保障に対する各国の関心も高まる」との見方を示した。

「各国が台湾に戦略的利益を持てば、安全保障への関心も高まる」
李氏は10月29日に開催された『財訊』トレンドフォーラムで、「サナエノミクスとその波及効果」と題して講演した。
李氏は、日本が世界のサプライチェーンにおける自国の役割を再構築しているなかで、台湾は日本にとって不可欠なパートナーだと指摘した。日台のサプライチェーンは競争関係よりも補完関係にある分野が多い一方、日本と韓国では補完より競争の側面が強いとの見方を示した。
また、台湾と日本は企業文化も比較的近いため、サプライチェーンを巡る日台協力への期待は大きいという。九州から本州まで、日本各地で台湾のハイテク大手による投資への期待が高まっているとした。
李氏はさらに、近年、台湾から日本への投資額が日本から台湾への投資額を大きく上回っていることに触れ、「双方にニーズがある状況では、日本企業による台湾への投資をもっと促すべきだ。日本企業の台湾への投資が増えれば、台湾はより安全になる。各国が台湾に戦略的利益を持つようになれば、台湾の安全保障に対する各国の関心も高まる」と強調した。
李世暉氏「日台の経済安保協力、実質関係をさらに深化させる可能性」
李氏はまた、安倍晋三元首相が語った「台湾有事は日本有事」との考え方は、高市早苗首相にも引き継がれているとの見方を示した。
高市氏は国会で、台湾有事を巡り、戦艦を使った武力行使を伴うケースなどについて、日本の安全保障法制上の「存立危機事態になり得る」と答弁している。一方で、実際に存立危機事態に該当するかどうかは、個別具体的な状況に応じて総合的に判断するとの立場も示している。
李氏は、高市首相が安倍氏の「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想を継承し、いわば「2.0版」へ発展させていると分析。その中核にあるのがサプライチェーンであり、自由で開かれたインド太平洋における台湾の役割を一段と強めるものだとの見方を示した。 (関連記事: TSMC、米テキサス州シャーマンを新拠点候補に サムスンとの人材・インフラ競争激化も | 関連記事をもっと読む )
「だからこそ我々は、台湾が特に経済安全保障の分野で、自ら日本に働きかけ、積極的に協力すべきだと一貫して呼びかけている。日本は中国からの圧力を受け、現在、多くの政策の立案や実行で一定の制約を抱えている。台湾から主体的に日本に接触し、協力を持ちかけることは双方にとって有益であり、経済的利益にもつながる」















































