台湾有事への備えか 中国で進む「経済の要塞化」、専門家は毛沢東時代の「三線建設」を想起

2026-10-21 18:22
米国の専門家は、新型コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻以降、中国政府が極端な事態に備え、重要産業を南東部から内陸部へ移転するなど、多方面で準備を進めていると指摘する。こうした動きは、1960年代半ばに毛沢東が進めた「三線建設」を想起させるという。写真は2026年5月20日、北京で会談する習近平国家主席(右)とロシアのプーチン大統領。(AP通信)
米国の専門家は、新型コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻以降、中国政府が極端な事態に備え、重要産業を南東部から内陸部へ移転するなど、多方面で準備を進めていると指摘する。こうした動きは、1960年代半ばに毛沢東が進めた「三線建設」を想起させるという。写真は2026年5月20日、北京で会談する習近平国家主席(右)とロシアのプーチン大統領。(AP通信)

中国の経済・科学技術体制を長年研究してきた米国の専門家は、新型コロナウイルスのパンデミックや2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、中国がいわゆる「極限状況」や極端な事態に備え、自らを「要塞経済(フォートレス・エコノミー)」へと作り変えつつあると指摘している。

軍事、経済、社会の各分野で備えを進め、極端な状況下でも一定水準の国家機能や経済活動を維持できる体制を整える狙いがあるという。

中国政府による経済面の備えの一つとして、重要産業や工場を南東部から内陸部へ移転する構想も進められているとされる。こうした動きは、1960年代半ばに当時の中国共産党最高指導者、毛沢東が推進した「三線建設」を想起させる。

こうした分析が正しければ、中国政府が将来起こり得る不測の事態を念頭に、多方面から事前の備えを進めている可能性を示すもので、台湾にとっても継続的な注視が必要となる。

2026年10月20日、カリフォルニア大学サンディエゴ校の世界紛争・協調研究所(IGCC)上級研究員であるジミー・グッドリッチ氏(右から2人目)が、国防安全研究院主催の国際シンポジウム「国際政治経済の変動下における中国大陸の発展傾向と影響」に出席した。(劉煥彦撮影)
2026年10月20日、国防安全研究院(INDSR)が開催した国際シンポジウム「国際政治経済の変動下における中国大陸の発展動向と影響」に出席した、米カリフォルニア大学世界紛争・協力研究所(IGCC)のシニアフェロー、ジェームズ・グッドリッチ氏(右から2人目)。(劉煥彥撮影)

グッドリッチ氏「習近平氏は『極限状況』への備えに繰り返し言及」

米カリフォルニア大学世界紛争・協力研究所(IGCC)のシニアフェロー、ジミー・グッドリッチ(Jimmy Goodrich)氏は20日、台湾の国防安全研究院(INDSR)、国家科学及技術委員会(国科会)、大陸委員会(陸委会)が共同開催した国際シンポジウム「国際政治経済の変動下における中国大陸の発展動向と影響」に出席した。

グッドリッチ氏はセッションの一つで「中国におけるビッグサイエンスの夜明け(The Dawn of Big Science in China)」と題する研究論文を発表し、ラウンドテーブル・フォーラムではパネリストを務めた。

同氏は流暢な中国語で、新型コロナウイルスのパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻以降、中国共産党指導部が「要塞経済」の構築を重視するようになったと指摘した。

「実際、第20回党大会以降、中国共産党指導部は、いわゆる極限状況や極端な事態への備えを繰り返し強調している。習近平氏自身も『我々はいくつかの極限状況に直面することになる』と何度も言及している」と述べた。

さらに「いわゆる極限状況について明確な定義はないが、中国側の研究者の中には戦争状態を指すとの見方もある」と説明した。

その上で、「こうした枠組みの中で、習氏や李強首相をはじめとする中国共産党の指導者は、極端な状況下でも一定水準の経済活動を維持する必要があると述べている。エネルギーや食糧などの国家備蓄も拡充し、経済安全保障や要塞経済の戦略を構築しようとしている」と語った。

中国、第15次5カ年計画で「極限状況」への備え

グッドリッチ氏によると、中国政府が現在進める第15次5カ年計画(中華人民共和国国民経済・社会発展第15次5カ年計画)には、極端な事態への備えに関連する政策が盛り込まれているという。 (関連記事: トランプ氏、習近平氏に「日本と対話を」と促したか 中国は「撤回」から「是正」へ | 関連記事をもっと読む )

その中には、「強国を支える大規模な備蓄体系」の構築や、重要産業や工場を南東部から内陸部へ移転させる「重要産業の内陸部移転計画」が含まれているとし、「実のところ、毛沢東時代の三線建設の政策にやや似ている」と指摘した。

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