「チャイナショック2.0」に直面するドイツ産業界 台湾の「非レッドサプライチェーン」に注目 ベルリンで取材に応じたBDI国際市場本部長のフリードリン・シュトラック氏。ドイツ産業界は「チャイナショック2.0」に直面しており、台湾の「非レッドサプライチェーン」構想は参考に値すると述べた。(中央社提供)
ドイツ産業連盟(BDI)の国際市場本部長 、フリードリン・シュトラック(Friedolin Strack) 氏は、ドイツの産業界が「チャイナ・ショック2.0」に直面していると指摘し、台湾が提唱する「非レッドサプライチェーン(中国企業を排除した供給網)」構想はドイツにとって参考にする価値があると述べた。シュトラック氏はベルリンで台湾の中央通信社の単独取材に応じ、中国の機械メーカーがドイツ企業の生産コストの約30〜40%に相当する価格で、同等の品質の製品を欧州市場で販売している実態を明らかにした。
ドイツのフリードリヒ・ナウマン自由財団は10月15日、ベルリンで「台湾の安全、ドイツの繁栄」をテーマとした「台湾フォーラム」を開催した。同フォーラムにはシュトラック氏が招かれ、基調講演を行った。
BDI国際市場本部長のシュトラック氏は講演の中で、「チャイナショック2.0」がドイツ産業界に与える影響について説明した。(中央通信社記者・林尚縈がベルリンで10月20日撮影)
ドイツ産業界で何が起きているのか シュトラック氏は、過去30年にわたり、ドイツの自動車、機械、化学、電機産業は中国の工業化に伴い巨大なビジネスチャンスを得てきたが、「現在はすべてが逆転している」と指摘。ドイツ企業にとって中国市場でのビジネスチャンスと利益空間が縮小する一方で、中国の余剰生産能力が欧州市場を圧迫しているとし、「(ドイツ製品と)同等の高い品質を備える中国製品が極めて低価格で欧州に流入しており、我々は太刀打ちできない状態に陥っている」と懸念を示した。
シュトラック 氏は、中国が国家の産業政策、国有企業、そして国有銀行システムを通じて製造業を支援し、巨大な生産能力を構築した上で海外へ輸出していると分析している。これにより、市場経済の原則に従って運営される欧州企業は、構造的に不公正な競争に直面している。特にドイツが受ける打撃は深刻だ。なぜなら、中国が急速に競争力を高めている分野が、まさにドイツの中核産業と重なっているためだ。
ドイツの対応策は? シュトラック氏は、ドイツがまず生産性の向上、イノベーションの加速、そしてエネルギーコストの削減を図る必要があると率直に認めた上で、企業単独の努力では不十分であり、欧州連合(EU)が同時並行で貿易上の防衛措置を講じるべきだと訴えた。中央通信社の報道によると、ドイツとフランスは10月にEUに対して共同提案を行い、貿易防衛策の強化と、経済的威圧に対するより迅速な対応メカニズムの構築訴えた。また、海外メディアの報道によると、欧州委員会(EC)が12月に新たな関連措置を提案する見通しだという。
(関連記事:
「小さな部品一つでも中国由来は不可」 台湾・和大工業、米顧客が求める「非レッド」供給網に対応
|
関連記事をもっと読む
)
シュトラック氏は、ドイツが全面的な中国との デカップリング(切り離し)を求めているわけではなく、重要産業における依存度を引き下げ、信頼できるパートナーとともに、より強靭なサプライチェーンを構築することを目指していると強調した。同氏は、先日台湾で「非レッドサプライチェーン(Non-Red Supply Chains)」という概念に触れたと述べ、中国のサプライチェーンへの依存を減らすというこのアプローチが、とりわけ国防や基幹技術の分野に適しているとの考えを示した。
さらに同氏は、半導体を例に挙げ、台湾が先進半導体の製造に長けている一方、オランダのASMLが露光装置技術を握り、ドイツのカール・ツァイス(ZEISS)が精密光学分野で優位性を持っていると指摘。この三者が互いに依存し合う、ポジティブな国際分業体制が形成されていると説明した。
台湾にとっての意義 台湾にとって、ドイツで最も影響力のある経済団体の一つが、台湾を公に「信頼できるパートナー」と位置づけたことの意義は大きい。シュトラック氏によると、双方はサプライチェーンのレジリエンス(強靱性)向上、重要な原材料の備蓄、経済安全保障、新興テクノロジーなどの分野で協力を深めることが可能だという。同氏は同時に、重要産業における全面的な自立を追求する中国とは異なり、ドイツは台湾、日本、カナダなどのパートナーと国際的な分業を行う道を選択すると明言した。
「非レッドサプライチェーン」は既に台湾の産業界でも話題となっている。風傳媒の10月10日付け報道によると、自動車部品大手、和大工業(HOTA)グループの沈国栄総裁 は、一部の米国顧客からの非レッドサプライチェーンの要求が、材料や微細な部品にまで及んでいると明かし、同社が米国に工場を建設した際、顧客から「小さな部品一つたりとも中国製であってはならない」という厳しい要求が提示されたと述べた。
更多新聞請搜尋🔍風傳媒日文版
最新ニュース
台北市長選挙、沈伯洋氏と蒋万安氏が描く「20年後の台北」 全発言 11月の台北市長選に向けた動きが活発化する中、台湾のジャーナリスト、尚毅夫氏は「20年後の台北はどのような姿をしているか」という問いを、2人の市長候補に投げかけた。民進党公認の沈伯洋氏は、インターネット番組「狠狠斗内幕(徹底的に内幕を暴く)」に出演した際、自身の娘の成長を手がかりに、世代ごとに就職、子育て、退職までの都市の青写真を描いた。一方、国民党公認で現......
台北・松山空港移転構想、北部の救難体制に影響 内政部長「代替案なし」 蒋万安・台北市長が台北松山空港の移転構想を提起したことを受け、同空港を重要拠点とする内政部空中勤務総隊の台湾北部における災害救助機能への影響に懸念が広がっている。劉世芳内政部長は20日、立法院(国会)での答弁前に取材に応じ、空港移転は同総隊に確実に影響を及ぼすため、慎重に検討する必要があると指摘した。さらに、北部各県市において同総隊の救助・救援機能を補う代替......
キリンビールが「一番搾り」新TVCMを順次放映 堤真一や有村架純ら4人がビールの幸福感を表現 キリンビールは、主力ブランド「キリン一番搾り生ビール」の中味およびパッケージを刷新したことに伴い、堤真一、有村架純、賀来賢人、小芝風花が出演する新テレビCMを全国で順次放映開始する。10月19日からは堤が出演する「そのビール俺のじゃない?」篇と有村が出演する「鰻屋での葛藤」篇を放映し、10月26日からは賀来が出演する「番頭さんは離席中」篇と小芝が出演する「常......
第27回東京フィルメックスのラインナップ発表 台湾の名優リー・カンションが審査員就任へ 特定非営利活動法人東京フィルメックスは、2026年11月20日から29日まで有楽町エリアを中心に開催する国際映画祭「第27回東京フィルメックス(TOKYO FILMEX 2026)」の主要部門ラインナップ25作品を発表した。あわせて、コンペティション部門の国際審査員の一人として、台湾映画界を代表する俳優のリー・カンション(李康生)の来日と就任が決定した。すで......
台風30号(チャンパー)、台湾上陸の可能性低下 東方沖を通過後、日本方面へ 台風30号(チャンパー)の最新動向が明らかになった。台湾の中央気象署(CWA)は予想進路を修正し、台風30号は23日(金)から24日(土)にかけて台湾に最接近する際、台湾東部沖を通過し、その後は石垣島付近を経て北東へ進み、日本方面へ向かうと予想している。中心が台湾に上陸する可能性は低下しているものの、中央気象署が公表する今後120時間以内に風速15メートル以......
【インタビュー】沈伯洋氏、対中姿勢に変化か 台北市長選で広がる「洋流」、逆転勝利の2条件 台湾・台北市長選に出馬した民進党の沈伯洋(しん・はくよう)氏は、中台関係をめぐる姿勢を変えつつあるのか。これまで沈氏は、国家安全保障や認知戦を専門とする政治家というイメージが強かった。一方、最近では、すべての中台交流を中国側の「統一戦線工作」とみなす考えを否定し、台北市と上海市の交流事業「台北・上海都市フォーラム(双城論壇)」についても、政治的な前提がなく、......
ドル覇権を揺るがすのは人民元ではなく「米国自身」 UCバークレー教授が指摘する3つのリスク ドル覇権に対する最大の脅威は、人民元ではなく米国自身なのか――。カリフォルニア大学バークレー校のバリー・アイケングリーン経済学・政治学特別教授は、「アジア太平洋千里フォーラム04:ドル覇権とアジア太平洋の攻防」と題した講演で、ドルが長期にわたって世界の金融市場を主導してきた背景には、米国の経済力だけでなく、各国の米国の金融制度に対する信認があると指摘した。し......
【レアアース争奪戦】日本は16年で中国依存9割から6割へ それでも「脱中国」が難しい理由 2010年、尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件をきっかけに日中関係は急速に悪化し、中国から日本へのレアアース(希土類)輸出が一時停滞した。当時、日本のレアアース供給の約9割は中国に依存していた。自動車、電子機器、精密機器などの製造業は、工場が日本国内にあっても、重要原料の供給を中国に握られているという現実に直面した。その後、日本は中国以外の鉱山開発に資金を投......
フランスで大規模暴動、パリなどで夜間外出規制 欧州各地に広がる抗議の波 フランスで先週末、コロナ禍以降で最大規模の暴動が発生した。反政府デモが暴力行為や略奪、警察との衝突へと発展し、国内の複数の都市が混乱に陥っている。フランス政府は19日夜、パリ中心部の一部および複数都市で夜間外出禁止令を発出したが、デモの波はすでにイタリア、ベルギー、ドイツなど欧州各国へと波及している。台湾外交部(外務省)の陳明祺政務次長は20日、メディアの取......
【寄稿】中国空母「遼寧」が西太平洋へ 日中台の情報戦、「認知戦」で先手を取ったのは誰か 7月末、中国の政府系シンクタンクや大学の研究者の見方がメディアで盛んに報じられた。中国が台湾を取り囲む大規模な「包囲演習」を前回実施してから半年がたつなか、下半期に再び大規模演習が行われる可能性は高くないというものだった。大規模演習はすでに効果が薄れ、コストも高いため、むしろコストが低く効果の大きい複合的な圧力を強める可能性があるとの見方だ。加えて、習近平国......
日本のサイバー被害607件、9カ月で前年通年超え トレンドマイクロが100億円相当支援 日本企業がサイバー攻撃の被害に遭うケースが増加の一途をたどっている。トレンドマイクロ(東証:4704)の指摘によると、日本で2026年1〜9月に公表された事件発生数は607件に上り、2025年通年の594件を上回った。9月単月でも86件発生しており、8月比で約18%増加した。攻撃頻度の高まりや、大企業からサプライチェーンへとリスクが波及する現状を受け、同社は......
異常気象が日本の仕事現場を直撃、8割超がリスク増を実感 働き方や人材確保にも影響 パナソニック コネクトグループが実施した実態調査により、建設や物流、インフラ、製造などの現場で働く担当者や管理者の8割以上が気象リスクの増加を実感していることが明らかになった。猛暑やゲリラ豪雨などの異常気象は、作業スケジュールの見直しや新たな業務負担を生むだけでなく、人材確保や業務用端末の運用にも深刻な影響を及ぼしている。現場従事者の82.2%が気象リスクの......
FPCJ創立50周年、外国メディアの日本取材を写真で振り返る 東京で記念展、30日まで 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)は、創立50周年を記念した写真展を10月15日から30日まで、東京都内の日本プレスセンタービル1階玄関ホールで開催している。入場は無料で、事前申し込みも不要。誰でも自由に観覧できる。外国メディアの日本取材を支えて50年 写真でたどるFPCJの歩みFPCJは1976年の創立以来、外国メディアによる日本取材を支援......
国家資格の「中国」表記を「台湾」に変更可能に 日本政府が制度見直し、医師免許など 日本政府は、各省庁が所管する国家資格をめぐる制度の見直しを終え、10月1日から、台湾出身者が国家資格の申請や登録事項の変更を行う際、「台湾」と記載できるようにした。超党派の国会議員でつくる「日本台湾友好議員連盟」は19日、プロジェクトチーム(PT)の会合を開き、新制度の実施状況を確認した。これまで一部の国家資格では、登録項目が「国籍」に限られていたため、台湾......
ヒルトン、東南アジア初の「キャノピーbyヒルトン」をタイ・バンコクに開業 ヒルトンは2026年10月20日、タイ・バンコクのアソーク地区に「キャノピー・バンコク・スクンビット」を開業したと発表した。ヒルトンのライフスタイルブランドである「キャノピーby ヒルトン」にとって、東南アジア初進出となる。アソーク駅から徒歩6分、映画文化を取り入れたデザイン本ホテルは、バンコク・スカイトレイン(BTS)のアソーク駅およびバンコク・メトロ(M......
観光庁・木村長官、訪日客6000万人目標「十分に達成可能」 地方誘客と混雑対策を強調 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)は10月13日、観光庁の木村典央長官を招き、オンラインでプレス・ブリーフィングを開催した。木村長官は「持続可能な観光立国への挑戦―オーバーツーリズム対策と地方誘客―」をテーマに講演し、日本の観光の現状や、2026年3月に閣議決定された「第5次観光立国推進基本計画」、住宅宿泊事業(民泊)や統合型リゾート(IR)......
蔡英文氏と頼清徳氏、エネルギー展で際立つ「温度差」 台湾再エネ産業に広がる停滞感 「台湾国際スマートエネルギーウィーク(Energy Taiwan)」が10月14日に開幕した。主催者側は出展企業数の増加や国際化の進展を強調している一方、太陽光発電など一部の従来型再生可能エネルギー分野では、展示面積の縮小が続いている。昨年、太陽光発電の展示エリアは従来より約4分の1縮小し、今年はさらにブースが減った。かつての活況から変化が生じている。洋上風......
仲里依紗、渋谷・文化村通りの路上ランウェイに登場 「渋谷ファッションウィーク2026秋」開催 渋谷ファッションウィーク実行委員会は10月18日、東京・渋谷の文化村通りで、都市型ファッションイベント「渋谷ファッションウィーク2026秋」を渋谷音楽祭と連携して開催した。2014年3月の初開催から数えて26回目となる今回は、「渋谷的ENKAN -THE SHIBUYA ENKAN-」をコンセプトに掲げ、交通規制された文化村通りを舞台に、メイン企画「SHIB......
台湾陸軍「陸勝2号」演習、攻撃側が3日で高雄から苗栗へ北上 防御側は後龍渓以北へ後退 台湾陸軍司令部の年次演習「陸勝2号」が10月14日から23日にかけて実施されており、16日で3日目を迎えた。演習では、「赤軍」の第564連合兵種旅団が南部地域から急速に北上し、すでに一部の部隊が苗栗地区へと進入した。これにより、「青軍」の第269連合兵種旅団は現在、後龍渓(河川)以北一帯へと退避、防衛ラインの再構築を余儀なくされている。陸勝2号演習で北上する......
台北市長選、蒋万安氏が盧秀燕・台中市長を選対トップに 沈伯洋氏の「洋流」に対抗へ 10月26日に選挙対策本部を開設する台北市長選挙の国民党候補で現職の蒋万安氏は19日に記者会見を開き、盧秀燕台中市長を選対本部主任委員(委員長)に起用すると発表した。盧氏の起用により、「洋流」と称される民進党候補の沈伯洋氏の勢いに押され気味の選挙情勢を立て直したい考えとみられる。蒋氏は18日、無所属の台北市議会議員候補、陳怡潔氏の選対本部設立イベントに出席し......
【舞台裏】台北市長選、蒋万安氏と沈伯洋氏が狙う「民衆党票」 柯文哲氏は蒋氏との共演を保留 2026年末の統一地方選挙が近づくなか、民進党は台北市長候補の沈伯洋氏を押し上げる「洋流」(沈氏の名の一字「洋」にかけ、支持の広がりを海流にたとえた言葉)をつくり出し、再選を目指す国民党の蒋万安市長にじりじりと迫っている。蒋氏は、薬物対策をめぐる発言の応酬や学校給食、警察によるLGBTQ向けバーの捜索といった問題で、若い世代の支持を落としている。沈氏が出演し......