台湾高鉄の新型車両「N700ST」、高雄港に到着 高雄市長「台日の関係深化を象徴」
陳其邁高雄市長、陳世凱交通部長、台湾高鉄の史哲董事長のほか、立法委員の許智傑氏、徐富癸氏らが出席し、N700ST第1陣となる12両の陸揚げを見守った。(写真/高雄市政府提供)
台湾高速鉄道(台湾高鉄)の次世代車両「N700ST」の第1弾編成が15日、日本から高雄港に到着し、同港の74号埠頭で到着式典が開催された。これは台湾高鉄が新たな時代に入ったことを象徴するとともに、高雄港が陸海輸送を結びつけ、国家の重要交通インフラを支援する重要な役割を担っていることを示している。式典には陳其邁高雄市長、陳世凱交通部長(交通相に相当)、台湾高鉄の史哲董事長(会長)のほか、立法委員(国会議員)許智傑氏、徐富癸氏らが来賓として出席し、12両の車両が荷揚げされる歴史的瞬間を見守った。
式典会場では、真新しいN700STの車両が貨物船の船倉からゆっくりと吊り上げられ、埠頭のトレーラー上に無事下ろされ、2日間にわたる荷揚げ作業が開始された。車両は今後、深夜の時間帯を利用し、数回に分けて燕巣総機廠(車両基地、高雄市燕巣区)へと運ばれ、組み立てやテスト、各種安全検査が行われる。2027年7月の運用開始を予定しており、2028年末までに全12編成が導入される見通しだ。
陳市長はあいさつの中で、高雄市政府を代表してN700STの台湾到着を歓迎するとともに、台湾高鉄が長期にわたり高雄の都市発展を支援してきたことに謝意を表明した。市長は「高鉄は単なる交通手段にとどまらず、人の流れや産業、都市発展に変化をもたらしてきた。沿線の主要都市の発展を見れば、高鉄が都市のトランスフォーメーションをけん引したことは明らかだ」と指摘した。
さらに陳市長は、高雄市が近年「コンサート経済」の振興に注力する中、台湾高鉄が大型イベントに合わせて臨時列車を運行し、観客輸送に協力するなど、都市観光やイベントを支える重要な交通インフラとなっていると説明した。N700STの到着を歓迎するため、高雄市は都市を挙げての支援企画を始動させ、高雄流行音楽中心(高雄ミュージックセンター)や愛河、中央公園、高雄都市交通システム(MRT)・美麗島駅、中国鋼鉄(中鋼)本社ビルなどで、14日間連続して高鉄のシンボルカラーであるオレンジ色のライトアップを実施し、次世代車両を熱烈に歓迎する姿勢を示している。
台湾高鉄の歩みを見守り続ける高雄港
今回、N700STの荷揚げ拠点として高雄港の74号埠頭が選ばれたことは、台湾高鉄の発展の歴史とも深く結びついている。港湾運営会社の台湾港務公司(TIPC)によると、同埠頭は2004年5月に初代車両である「700T」型の第1陣も受け入れており、車両の荷揚げからその後の輸送までを支援し、台湾高鉄敷設の基礎を築いた実績がある。
長年の時を経て、同じ埠頭で再び次世代車両N700STを迎え入れたことは、高雄港が国家の重要交通インフラを継続的に支援していることを象徴するだけでなく、台湾高鉄が建設から運営、そして次世代車両へのアップグレードへと歩みを進めてきた歴史を見守り続けてきたことを意味する。
台湾港務公司によると、高雄港74号埠頭は全長314メートル、水深12.5メートルの大水深の重量貨物用埠頭だ。背後地の面積は約1万2600平方メートル、1平方メートル当たりの耐荷重は3トンに達し、大型の重量物や特殊貨物の荷役に適した条件を備えている。充実した港湾設備と豊富な重量物荷役の経験を活かし、高雄港はこれまでにも高鉄車両を含む大型貨物の荷揚げ任務を幾度も完遂し、国の重要プロジェクトに貢献してきた。
また陳市長は台日交流について言及し、台湾と日本が1999年の台湾921大地震、2009年の台湾八八水害、そして日本で2011年に起きた東日本大震災(311地震)やその後の熊本地震といった大規模災害において互いに支援し合い、長年にわたり深い絆を築いてきたと語った。その上で、今回のN700ST次世代車両の日本からの到着は、単なる交通設備のアップグレードにとどまらず、日台間の産業協力や交流がさらに深まっていることを示していると強調した。
陳市長は、日本の文豪、川端康成の小説『雪国』の有名な一節「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」を引用し、N700STは長い航路を経て南国の台湾にやってきたと語った。その上で、次世代車両が将来的に順調に運行され、台湾の交通にさらなる利便性をもたらすことへの期待を示した。
一方、陳交通部長は、「高鉄が運営されてきた20年余りで、台湾の都市や産業の発展は大きく変化した。私自身も高鉄のヘビーユーザーであり、安全で時刻表通りに運行される質の高いサービスを長期にわたって維持してきた高鉄のチームに感謝している」と述べた。陳氏は新車両の導入後も安全を最優先とする方針を継続するとともに、保守要員の専門性向上や人材育成を強化し、全体的な輸送能力を高め、駅の設備や発券システム、旅客サービスの質を継続的に改善していくよう求めた。
高鉄の史董事長は、地震や台風、悪天候による荒波などの試練を乗り越え、安全第一の原則の下、新型車両の台湾への輸送任務が無事に完了したと強調。「高鉄は単なる『移動』手段ではなく、人々のライフスタイルを徐々に変え、『移動』から『移住』を促し、さらには『住みよさ』の追求へと進化している」と説明した。また、新旧2つの車両形式が同時に運行されることによるメンテナンスや後方支援の課題に対し、台湾高鉄は引き続き「高鉄2.0」プログラムを推進し、車両や駅舎、サービス品質を向上させ、「持続可能な経営」を目指して邁進していくとした。
台湾港務公司は、港湾が単なる貨物の輸出入や物流の拠点にとどまらず、国の交通インフラや産業発展、民生の輸送を支える重要な基盤だと指摘。今後は港湾のインフラ設備や重量物の荷役能力を継続的に強化し、鉄道、道路、航空などの輸送システムと連携することで、より安全で効率的、かつレジリエンス(強靱性)の高い海陸空の輸送ネットワークを構築し、国家の玄関口および交通インフラの重要拠点としての高雄港の価値を発揮し続ける方針だ。
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