澎湖観光といえば、跨海大橋や玄武岩の景観、海鮮料理を思い浮かべる人も多い。しかし、澎湖本島東部には、潮が引くと海上に道が現れる「モーゼの海割り」、伝統的な農漁村の暮らしを残す集落、地下に広がる軍事坑道など、異なる魅力を持つスポットが点在している。
こうした澎湖東部の見どころを、レンタカーを使わずに半日で巡ることができるのが、台湾の観光バス「台湾好行」の「媽宮湖西線(マコン・フーシー線)」だ。
媽宮湖西線は馬公港を出発し、澎湖空港を経て、北寮奎壁山、南寮社区、龍門閉鎖陣地などを巡った後、再び澎湖空港や澎湖生活博物館などを経由して馬公港へ戻る。専門ガイドが同乗し、車内や各観光スポットで案内を行う。現在は毎週火曜、木曜、土曜に1日1便運行されている。

干潮時に現れる「モーゼの海割り」 北寮奎壁山
最初の主要観光スポットは、湖西郷北寮村の海岸に位置する北寮奎壁山だ。
遠くから見ると、山の姿が海辺に横たわる巨大な亀のように見えることから、かつて「亀壁山」と呼ばれ、後に現在の「奎壁山」という名称になったとされる。
奎壁山と沖合の赤嶼の間は、満潮時には海水に覆われているが、潮が引くと海中からS字型の礫石の道が徐々に姿を現す。その光景が旧約聖書の「モーゼの海割り」を思わせることから、澎湖を代表する自然景観の一つとして知られている。
開放されている時間帯には、潮汐や現地スタッフの指示に従いながら海上に現れた道を歩き、潮間帯の風景を間近で楽しむことができる。
ただし、ここで注意したいのが潮の時間だ。媽宮湖西線の運行時間と干潮のタイミングが必ずしも一致するわけではなく、バスを利用すれば必ず「モーゼの海割り」を見られるというわけではない。台湾好行も、当日の潮汐状況によっては分海を見ることができない場合があると案内しており、条件が合う場合はガイドが実際の状況に応じて行程を調整する。

南寮集落 伝統的な農漁村とカラフルな「浮球秘境」
続いて訪れる南寮社区は、澎湖の伝統的な農漁村の暮らしを今に伝える集落だ。
集落内には「咾咕石」と呼ばれるサンゴ石を利用した伝統家屋や「菜宅」と呼ばれる防風用の石垣に囲まれた畑、かつて魚の加工に使われた「魚灶」などが残る。強い季節風が吹く澎湖の自然環境に適応してきた住民の暮らしや知恵を垣間見ることができる。

近年、南寮を代表するスポットとなっているのが、漁業で使われた浮き球を再利用した「浮球秘境」だ。色鮮やかに装飾された多数の浮き球が咾咕石の建物や路地と組み合わされ、集落ならではの景観をつくり出している。
南寮は持続可能な観光の取り組みでも注目され、過去には2年連続で世界の「グリーン・デスティネーションズ TOP100」に選ばれた。現在も住民による集落案内や地域文化を生かした体験などを通じ、昔ながらの景観を残しながら地域の魅力を発信している。
写真を撮るだけでなく、石造りの建物や路地を歩きながら、澎湖の人々が島の自然とどのように暮らしてきたのかを知ることができる場所だ。















































