米ハワイ大学マノア校アジア研究学科で中台関係と中国の「法律戦」を研究するジュリア・ファミュラロ(Julia Famularo)博士は、中国人民解放軍の研究機関や研究者が、1982年に英国とアルゼンチンが74日間戦ったフォークランド紛争や、1998年2月末から1年余り続いたコソボ紛争から、将来の台湾への武力行使に向けた手がかりや示唆を得ようとしていると指摘する。
研究対象は、海上兵站、制空権の重要性、島嶼封鎖と対封鎖作戦から、科学技術や訓練の重要性にまで及ぶという。
ファミュラロ氏によると、中国共産党の体制下では、学界や研究機関が解放軍の過去の作戦実績を客観的に批判・検証することは難しい。そのため、こうした専門家が公開文献で発表する20世紀の外国戦史に関する研究成果は、解放軍が台湾への武力行使についてどのような手法を検討しているのかを外部から読み解くための重要な手がかりとなっている。

ファミュラロ氏「解放軍は20世紀の外国戦争から教訓」
台湾の国防安全研究院は今月9日、毎年恒例の主要な対外行事である「2026年台北安全対話」を開催した。
ファミュラロ博士は同日午前の「ウクライナ・中東戦争が示す戦略的教訓」セッションに5人の登壇者の一人として参加し、解放軍の研究機関が20世紀の外国戦争から教訓をくみ取り、将来の台湾への武力行使に活用できる点を探っていると述べた。
1982年前半のフォークランド紛争について、ファミュラロ氏は、中国がアルゼンチンによるフォークランド諸島の領有権主張を支持していたにもかかわらず、解放軍の研究機関は、英国が戦術、作戦、戦略の各レベルで示した能力や、英軍の航空戦力と遠征部隊の強さを高く評価していると説明した。
特に、海空戦力を効果的に統合し、一時アルゼンチンに占領されていたフォークランド諸島を実質的に封鎖した点が評価されているという。
ファミュラロ博士は、解放軍の研究機関がフォークランド紛争から得た教訓として、次の点を挙げた。
第一に、英国は強力な海上兵站能力を備えており、それは自国の戦力投射だけでなく、周辺海域の防衛にも寄与した。
第二に、フォークランド紛争は解放軍の航空戦力に関する作戦ドクトリンだけでなく、指揮統制、戦力投射、外部勢力の介入阻止や拒否戦略のドクトリンにも影響を与えた。
第三に、軍事的に勝利するには明確な戦略方針が必要だという点だ。将来の海上作戦について、北京は陸海空三軍、さらには宇宙部隊まで統合してこそ、水上、水中、上空の環境を効果的に制御できると考えている。

北京がコソボ紛争を研究する政治的背景
1990年代末に欧州バルカン半島で起きたコソボ紛争(Kosovo War)も、解放軍の研究機関が注目する重要な外国戦争の一つだ。 (関連記事: 台湾への「一国二制度」案、中国の専門家らが12項目 解放軍駐留、非平和統一なら3~5年の「準軍事統治」 | 関連記事をもっと読む )
北京から見れば、コソボ紛争の発端の一つは、1990年代にコソボがセルビアの支配から離れて独立しようとしたことにあり、中国側は、それが自国にとって望ましくない先例を生みかねないと懸念していた。


















































