台湾海峡に現れた中国「藍鯨」 30日超潜伏する無人艇、グレーゾーン運用に警戒

2026-08-19 12:15
無人艇「藍鯨」。(X(旧Twitter)より)
無人艇「藍鯨」。(X(旧Twitter)より)

昨年4月に広東省珠海市で進水し、今年から本格的な全システム試験を開始した中国の新型高速無人潜水艇(SUV)「藍鯨(Blue Whale)」。表面上、中国政府は「透明な海洋」国家戦略を推進するための民生用海洋気象観測機材と位置づけている。

しかし、水上での36ノットの高速航行、水深60メートルへの潜航、そして30日以上に及ぶ静粛なホバリング潜伏能力を兼ね備えていることから、米台の安全保障専門家の間では、人民解放軍が水中情報網の構築とグレーゾーン浸透工作に用いる新型の奇襲プラットフォームだと警戒されている。

珠海雲洲智能科技(Oceanalpha)の無人潜水艇プロジェクト総技師である呉国松氏や、南方海洋科学・工程広東省実験室が学術誌『海洋・陸地・大気研究(OLAR)』で発表した論文によると、全長11メートル、重量12トンの同艇は、広範な底面と極小の揚力角を組み合わせた新型の単胴船(モノハル)設計を採用しているという。水上航行時には、双発のプロペラとウォータージェット推進システムにより最高速度36ノット(時速約66キロ)に達し、米台の主力水上艦艇の大部分に追従できる性能を持つ。

悪天候に直面した場合や隠密行動が必要な際、「藍鯨」はバラストタンクに急速注水し、水深60メートルまで潜航する。この際、水上推進システムは直ちに停止し、船体に配置された4基の可変アングル・ベクトル推進器に切り替わり、水中を約4ノットの速度で移動しながら、三軸の姿勢制御と精緻な航行調整を行う。

学術論文に記載された当初の設計データと比較すると、実際に進水したプロトタイプのスペックは大幅に向上している。論文では水上最高速度23ノット、水中3ノット、水中待機時間72時間以上と設定されていた。しかし、珠海で建造された実機は、水上最高速度36ノット、水中4ノットへと引き上げられ、水中での静的ホバリング待機時間に至っては30日以上へと飛躍的に延びている。

低消費電力でのホバリングによる1カ月以上の長期潜伏

​伝統的な造船工学において、高速水上艇と潜水艦の流体力学的設計は相反するものとされてきた。水上艇は高速航行時に揚力を得るため平坦な船底が求められる一方、潜水艦は深海の圧力に耐える流線型の耐圧円筒構造を必要とし、低速状態での三次元的な姿勢制御に依存するからだ。「藍鯨」は、ハイブリッド船型とベクトル推進器を採用することで、この技術的ハードルを乗り越えた。

「藍鯨」の1カ月にも及ぶ潜伏能力は、低消費電力管理アーキテクチャ、高エネルギー密度のバッテリーパック、そして自動アンカリングシステムに支えられている。同艇は海流に逆らって継続的にエネルギーを消費することなく、特定の水深で静止、あるいは海底に着底してパッシブソナーによる音響傍受が可能だ。 (関連記事: 台湾で「キャビン付き三輪バイク」解禁 ヘルメット不要も普通免許必須、二輪免許では罰金 関連記事をもっと読む

さらに、ギアレスの磁気流体推進と電波・音波吸収塗料の採用により、敵のアクティブソナーによる探知確率を大幅に低減させている。中国科学院の院士(アカデミー会員)である陳大可氏はこれを「海洋科学技術における自主的突破」だと公言しているが、防衛専門家らは「藍鯨」が気象・水文調査の建前から、いつでも水中戦場の情報ノードへと転用可能だと分析している。

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