温以勤選手が目指す高みと成長の道
高校卒業後に日本の大学に進学し、学生時代から海外での生活を始めた温以勤選手は、2024年から初のプロシーズンを迎えている。現在はVリーグの信州ブリリアントアリーズに所属し、以前『風傳媒』の取材を受けた福岡KANOA所属の廖苡任選手と同じリーグでプレーしている。温以勤選手は『風傳媒』のインタビューで、大学選択時に日本での発展を選んだ理由について、坂口憲政コーチの存在が重要な要因であったことに加え、長い熟考の末、バレーボールは台湾だけに限定せず、他国での競技の仕方を見て、異なる技術を学ぶべきだと考えたと語った。
温以勤選手は主にミドルブロッカーを務め、台湾の東山高校時代から頭角を現していた。台湾と深い縁のある日本人コーチ坂口憲政の縁で、大学は日本の金城大学に進学してバレーボールを続け、大学4年間で多くの経験を積んだ。2024年、温選手はVリーグの信州ブリリアントアリーズに加入した。同チームは過去のV2リーグ(現在は改制)時代に優勝経験があり、台湾の女子バレーボール選手張瓈文も所属していた。最近Vリーグの新シーズンが開幕し、これが彼女のプロ初年度となる。
日本のバレーボール実力はアジアトップクラス 大学時代から海外挑戦を決意
2020年2月に日本の大学への進学を選んだ理由について、温以勤選手は、日本のバレーボール実力がアジアでトップクラスであることが主な考慮点の一つだったと語った。高校時代に金城大学との交流があり、大学の坂口憲政コーチから日本でプレーする意思があるかと問われ、長い熟考の末、バレーボールは台湾に限定せず、他国での競技方法を見て、異なる技術を学ぶべきだと考え、日本行きを決意したという。
台湾と日本でのバレーボール経験の違いについて、温選手は「現在の目標は日本のプレースタイルを習得すること」と述べ、日本と台湾では異なり、日本は速攻重視のスタイルで、当初は適応が難しかったと語った。しかし、最大の違いは、日本のチームが選手間の交流を重視し、コート上での自主性をより尊重している点だという。台湾では監督からの指示が多く、選手はそれを実行するのに対し、日本ではチームメイト同士の連携とコミュニケーションを重視し、選手の自由な発揮を促すため、コミュニケーションが特に重要になると説明した。
言語力不足 日本での生活開始時はコミュニケーションに苦労
バレーボール選手としての日本での発展を選択した際、最初に直面した最大の課題は言語だったと温選手は語る。当初は言語力が不足していたため、チームでも授業でも、コーチや選手、教師とのコミュニケーションが困難だった。最初は身振り手振りやスマートフォンの翻訳アプリに頼らざるを得ず、意思疎通の難しさを痛感したという。しかし、時間の経過とともに日本語能力が向上し、「言語の壁」を徐々に乗り越え、日本での生活にも慣れていったと語った。
異国での奮闘 避けられない孤独感
温選手は、見知らぬ環境と言語の壁により、一人きりになったような孤独感を感じたと回想する。「最初はある程度適応できていたものの、時間とともに孤独感が強まっていった」と語る。長期的には抑圧的な環境にいるような感覚があったが、そのような環境の中でも徐々に日本の生活リズムに適応していった。しかし、これらの孤独感は海外生活では避けられない部分だと温選手は述べ、「一人で海外にいる以上、この距離感は変えられないことなので、自分でゆっくりと調整していくしかない」と語った。
日本でのキャリア継続を選択 「プロリーグに挑戦」
日本に残ることを選んだ理由について温選手は「大学で4年間プレーしたものの、日本のプロリーグへの挑戦という思いが心の中にあった。このチャンスがあるなら、必ず残って頑張り続けたいと思った」と補足した。現在は先輩の高野夏輝選手と同じチームで切磋琢磨し、共にチームの目標に向かって奮闘している。
台湾選手として温選手は、日本選手との違いを敢えて見せることはしないと語る。「普段は特別なことを意識的に見せようとはせず、自分の得意な部分を表現するだけ」で、それが自然と日本選手にない技術として周囲の目に映るという。違いを見せようと意識しすぎると、かえって望む効果が得られない可能性があるため、練習や試合では平常心を保つことが大切だと考えている。「普段から一生懸命練習しているが、最も重要なのは試合で平常心を保つこと。それが意識的なアピールよりも効果的」と説明した。
プロ初シーズンの開幕 チーム優勝への願い
プロ初のシーズンを迎えるにあたり、開幕前に『風傳媒』のインタビューに応じた温選手は、今シーズンは新しい大会方式になるものの、所属チームは過去数シーズン2位や3位と惜しい結果が続いていたことに触れ、「今年の目標はチームの優勝に貢献すること」と語った。目標は明確だが、結果にこだわりすぎてもうまくいかないため、一試合一試合に集中し、全力を尽くすことで自然とチームに貢献できると考えている。
台湾の快適な環境を離れ 成長の機会を得る
温以勤選手は、海外挑戦を目指す選手たちに向けて、日本であれ他国であれ、そうした経験は台湾に留まるのとは全く異なる成長の機会をもたらすと励ましている。台湾のバレーボール実力は海外と比べてまだ差があり、海外でプレーすることは自己への挑戦だけでなく、高強度の練習環境での後退を防ぐためでもあるという。「台湾のバレーボール実力は海外と比べてやや弱く、高強度の環境で練習した後に台湾に戻ると、むしろ徐々に後退する可能性がある」と温選手は説明する。海外でプレーできる機会があれば、より多くの異なることを学べる。
台湾のファンや支援者について語る際、温選手は自身に限らず、日本や他国でプレーする海外組選手たちにも関心を持ってほしいと語った。「台湾を離れることを選択すること自体が素晴らしい決断だと思う。多くの勇気と忍耐が必要だから」と述べた。また、海外組選手が台湾のファンからの支援を感じることで、さらなる継続の力になると強調し、自身を支え続けてくれる台湾のファンへの感謝も述べ、その支援が継続の原動力になっているそうだ。
日本生活5年目 当初の決断に感謝
海外でプレーする選手が増える中、大学から職業リーグまで日本で過ごす5年目を迎えた温選手は、海外組選手は自身も含め、先輩たちも非常に強い信念を持っていると語る。「台湾を出て、そして継続できていること自体が素晴らしいことだと思う」と述べた。海外での挑戦は容易ではないが、これらの選手たちは強い意志を持っているからこそ、異国の地で奮闘し続けられると強調し、その堅固な信念こそが、各海外組選手が評価され、尊重される理由だと信じている。
日本での5年間を振り返り、温選手は多くの感慨を語った。この5年は長いようで短く、短いようで長いが、学んだことは非常に多いという。しかし、この期間中の挫折も少なくなく、諦めたいと思ったこともあった。「途中で確かに諦めたいと思ったことがあるが、冷静に考えるたびに自問した。ここまで来て諦めることは本当に自分の望むことなのか?後悔したくないから、頑張り続けることを選んだ」と率直に語り、ここまで継続できたことは本当に容易ではなく、最後に当初の決断に感謝の意を示した。
編集:佐野華美
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