【独占インタビュー】石破新首相「長期政権は困難」東大教授が ー 政権基盤の脆弱性と課題を徹底分析

自民党総裁の石破茂が日本の第102代首相に就任。《風傳媒》が学者の松田康博氏に独占インタビューを行い、石破茂新政権について探る。(資料写真、AP通信)
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自民党新総裁の石破茂が5回の選挙戦を経て、ついに総裁の座を勝ち取り、10月1日の臨時国会で指名を受け、日本の第102代首相となった。東京大学東洋文化研究所教授で「両岸関係研究小組」(日本語で「日台関係研究グループ」に相当)の召集人を務める松田康博氏が、自民党総裁選の結果発表後、東京で《風傳媒》の独占インタビューに応じ、石破当選の理由、今後の政権運営の展望、そして安全保障政策と日台関係などの課題について語った。松田康博氏は、石破氏が実際には「過去の政治家」であると指摘し、さらに「石破茂が組織する政権は、長期政権を維持するのが難しい」と率直に述べた。

松田康博氏は防衛省防衛研究所主任研究官を務めた経歴があり、専門分野にはアジア政治外交史、東アジア国際政治研究、中国と台湾の政治、対外関係、安全保障、両岸関係、そして日本の外交と安全保障政策が含まれる。彼はこの分野の重鎮的な学者であり、現在は東京大学「両岸関係研究小組」の召集人を務め、しばしば研究グループのメンバーを率いて台湾を訪問し、研究と現地観察を行っている。過去には、前総統の蔡英文氏や当時の副総統だった賴清徳氏と面会し、また台湾日本関係協会会長の蘇嘉全氏や前会長の邱義仁氏とも交流がある。

石破当選の理由 松田康博:麻生が大きな間違いを犯した、この2人が支持に転じた

石破茂の自民党総裁当選と首相就任について、松田康博氏は、石破茂が「過去の政治家」であると指摘する。今回の自民党総裁選では、多くの人が彼の当選を「予想外の出来事」と考えていた。実際、高市早苗や小泉進次郎を含む3人の主要候補は、いずれも党内で第一候補ではなかった。

松田康博氏は、石破当選の決定的要因の一つとして、総裁選投票の前日に麻生太郎が自派の議員に高市早苗支持を指示したことが極めて大きな間違いだったと指摘する。高市の外交政策や財政政策は麻生とは大きく異なっており、元々麻生が推していた河野太郎が従うはずがあるだろうか。理念の異なる候補者を支持するよう下の議員に求めること自体、理解に苦しむ。

松田康博氏は続けて、麻生と石破は以前から敵対関係にあり、共存できない間柄だったと指摘する。そのため、麻生は石破が首相になれば自分が疎外される可能性を十分に認識していた。そこで、麻生は第一回投票で自派の議員に高市支持を要求したが、これは個人的な政治的利益に基づく選択だった。安倍晋三前首相が政権を握って以来、麻生は常に自民党内の主流派の地位を維持してきた。今や麻生は84歳になっているにもかかわらず、依然として影響力を維持しようとしている。この私心の強すぎる行動が党内の反感を買い、多くの人の不服を招いた結果、最終的に彼の決定は効力を失った。 (関連記事: 日本のインパクト投資大爆発が台湾に示唆するものとは 関連記事をもっと読む

松田康博氏はさらに分析を加え、前首相の岸田文雄が決選投票で石破を支持したことが、石破が勝利できた重要な力となったと指摘する。これにより、今後岸田の勢力は拡大するだろう。さらに、自民党副総裁のポストは菅義偉が麻生に代わって就任することが決まっており、菅義偉も決選投票で石破に投票したという。つまり、石破が自民党総裁に当選できたのは、実質的に決選投票で岸田と菅の支持を得たからだが、この勢力構造は実際には非常に不安定なものだ。