台湾文化部は22日、東京・COREDO室町テラスにて「We TAIWAN 台湾文化 in 大阪・関西万博」メディア説明会を開催し、2025年大阪・関西万博への台湾の文化出展内容を正式に発表した。文化部の王時思次官は、「1970年以来となる日本での万博開催は、アジアにとって重要な節目となる」と述べ、台湾は「未来を応援する、奇跡の島」をテーマに、災害や試練を乗り越えながら創造と前進を続けてきた台湾のレジリエンス(しなやかな強さ)を物語として伝えると語った。
会見には、文化部次官の王時思氏、クリエイティブディレクターの林昆穎氏、そして中華文化総会の李厚慶秘書長が登壇。8月から開始される一連の展示・パフォーマンスおよび都市連動プロジェクトについて紹介した。これは「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のテーマに呼応するものだ。
王氏は、「未来は予測できないが、“いま”を全力で生きることで、未来はまるで奇跡のように訪れる」と強調。コロナ後の不確実な世界において、人々は希望と信頼を必要としており、文化的なアクションを通じて未来に活力を与えたいと語った。
今回の企画は、LuxuryLogicoの林昆穎クリエイティブディレクターが統括。「多彩性」「越境性」「遊び心」の3つを軸に構成されている。林氏は、「台湾社会は長年、差異の中で共存を学んできた。それゆえに文化の融合と革新に優れている」と述べ、「差異をなくすのではなく、受け入れることこそが台湾文化の魅力」と強調した。
イベントでは、台湾独自のキャラクター「a-We(ア・ウィー)」も発表。泡をモチーフにした未来生命体で、台湾文化の柔軟さと変化の力を象徴する存在として設計された。「a-We」は会場に登場するほか、インタラクティブ体験やデジタルゲームを通じて大阪の街を巡り、来場者の文化的旅路をつなぐ役割を担う。
中華文化総会の李厚慶秘書長によれば、「We TAIWAN」は万博の中核2会場に出展する。新たに完成するニューメディア館では、台湾の信仰や絵画など伝統文化を展示し、100年の歴史を持つ中央公会堂では台湾の映像、テクノロジー、文学の越境的エネルギーを紹介。さらに、大阪市内10カ所の展示拠点をデジタルプラットフォーム「LINE公式アカウント」と「a-We」を活用してつなぎ、「都市そのものを展示会場にする」という行動的コンセプトを実現する。
さらに年間注目イベント「TAIWAN PLUS」も初めて8月に大阪・中之島で開催され、2週にわたる週末で100組以上の台湾ブランドが集結。台湾ビール、滷味(煮込み料理)、サステナブルデザイン、夜市カルチャーなどが紹介される。ビジュアルはBlob Clubと方序中が手がけ、「台日新風」を表現。MIT(Made in Taiwan)カルチャーの創造性を披露する。
公式グッズも複数展開予定で、RhinoShieldとのコラボスマホケース、ガラス製ペーパーウェイト、MITソックス、「a-We」関連アイテムなどがラインナップ。6月から予約販売を開始し、イベント当日も販売される予定で、日常生活へと文化を浸透させていく狙いがある。
記者会見後の取材にて、王氏は「台湾はこの展示と演出を通じて、世界に“楽観的でたくましい島国”としての姿を届けたい」と語った。「a-We」のインスピレーションは、海底プレートの衝突から台湾島が誕生したという地質学的背景に由来し、「平行宇宙から来た異世界の生命体」として寓話的な意味も持たせたという。
「a-We」は短期的なキャラクターではなく、今後も文化的活動の中で継続的に登場し、観客との長期的な関係性を築く存在となることを目指している。 (関連記事: 2025大阪万博》台湾の“未来”と“感性”を体感!大阪万博・TECH WORLD館の見どころ解説 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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