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黃信維

安倍に2度敗れ、5度目の挑戦でついに当選!「鉄道オタク」石破茂が初の鳥取県出身首相に


自民党の元幹事長である石破茂氏が本日(27日)、自民党総裁に選出された。5度目の挑戦で、ついに日本の首相になる道が開かれた。石破氏は第1回投票では経済安全保障担当大臣の高市早苗氏にわずかな差で後れを取ったが、決選投票で逆転に成功。「最後の挑戦」で当選を果たしただけでなく、鳥取県出身者として初めて首相になる。

石破氏は自民党の第28代総裁となる。自民党が現在、参議院と衆議院で過半数を握っているため、10月1日の臨時国会で国会の指名を受けて第102代首相になる見込みで、新内閣も同日に発足する予定だ。


自民党内の「非主流派」 石破氏は「旧安倍派」に完全に受け入れられていない

石破氏は自民党の「党三役」などを歴任したが、当初は父親に及ばないと考え、政界入りせずに三井銀行に就職した。祖父の石破市造氏は鳥取県八頭郡の大御門村長を務め、父の石破二朗氏は建設省事務次官を経て、4度にわたり鳥取県知事や参議院議員を務めた。父親と日本の元首相田中角栄氏との深い交流が、一度は銀行員だった石破茂氏を政界入りさせることになった。父親は最初、自身の派閥で秘書として彼を育成し、石破茂氏が初めて地元で立候補した際には田中角栄氏の強力な支援を受け、29歳で全国最年少の衆議院議員となり、現在12期目を迎えている。


常に自民党内の「非主流派」と見なされてきた石破氏は、憲法改正に関する見解の相違から一度自民党を離党。党内での派閥間の移動や率直な発言は、必ずしも党内の政治的生態系に適合するものではなかった。さらに、石破氏と安倍晋三元首相の不和は周知の事実であり、多くの点で意見が異なり、過去には安倍氏が率いる自民党内で抑制されてきた。現在でも「旧安倍派」は彼を完全には受け入れていない。


石破氏は自民党内で日本国民に比較的好まれる政治家の一人で、鉄道オタクなど「オタク」的な親しみやすいイメージがある。自民党の総裁選挙の度に世論調査で上位に名を連ね、今回の選挙でも日本国民の調査で一貫してリードしていた。過去4回の総裁選挙挑戦では、2回安倍晋三氏に敗れ、その後一時期、水月会という派閥を自ら立ち上げた。


石破氏は閣僚としての豊富な経験を持ち、農林水産政務次官、防衛総括政務次官、防衛庁副長官、防衛庁長官、防衛大臣、農林水産大臣、自民党政調会長、自民党幹事長、地方創生大臣などを歴任している。同時に、長年日本の安全保障問題を研究し、「安保通」と呼ばれているが、その姿勢は常に安倍晋三氏とは異なるものだった。

海兵隊の設置を主張 石破氏:米国と対等な外交関係を持つべき

自衛隊に関しては、石破氏は法律改正を行い、自衛隊がより機動的に運用できるようにすべきだと度々主張している。例えば、朝鮮半島有事の際に日本国民を救出する必要性など、自衛隊の制約を緩和し、海外での日本人緊急救援時の武器使用基準を緩和すべきだと主張している。日本にまだ海兵隊に相当する「水陸機動団」が設立される前から、日本は海兵隊を持つべきだと主張し、米国海兵隊との共同活動の可能性も指摘していた。日本は2018年4月7日に正式に水陸機動団を創設した。


また、外交問題に関する考え方として、石破氏は「ソフトとハードの両面」からのアプローチを提唱し、さらには米国と対等な外交関係を持つべきだと直接的に提案している。これは国内に米軍が駐留している状況下で、軍事面での相互協力の可能性まで言及するものだ。この考え方は、2022年の石破氏の台湾訪問時の発言にも反映されている。当時彼は、台日関係は「共感」のレベルにとどまるべきではなく、具体的な政策の策定や法制化が急務だと述べた。台日間には台米間のような「台湾関係法」や六つの保証がなく、安全保障同盟や外交関係がない前提で、非公式チャネルを最大限活用するしかないと語った。


石破氏は憲法第9条に関して、戦力不保持を規定する第9条第2項を削除し、軍隊の保持を明確に規定すべきだと何度も主張している。また、軍隊に最高の名誉と規律を与え、文民統制を徹底すべきだとしており、これは必ずしも自民党の主流的見解とは一致していない。彼は、憲法改正について、支持者同士、反対者同士でのみ議論が行われており、これでは議論が活性化しないと指摘し、双方が向き合って議論することが必要だと述べている。「実際に軍隊としての実力を持つ自衛隊を憲法に明文化すべきだ」と主張している。

島根県出身で地方創生に精通している石破氏は、19日に自民党の「聖地」である秋葉原での演説で、「東京一極集中」の現象について、これは東京と地方の二元対立の問題ではなく、東京も地方も幸せに暮らせる日本を作ることだと述べた。他の候補者よりも強く、地方創生が日本経済再生の鍵だと強調している。


現在の「最優先事項」について、石破氏は「最も緊急なのは能登の復興。これは皆が待てない問題だ。」と述べている。個人消費を高めるためには、社会が安全で安心できる環境を整える必要がある。医療・年金・介護などの面で、どのように安心感を持たせるかを示す必要がある。


高市早苗氏の立場とは異なり、政治と金銭の問題について石破氏は「言うまでもなく、国民はまだ受け入れていない」と述べている。彼は「政治不信の状況下では、国民に対して説明責任を果たし、国民が納得するまで全力を尽くさなければならない」と約束している。同時に、国民を守るために防災庁を設置すると明言し、被災者の救助は市町村だけでなく国の責任であり、これは政治の重要な使命だと述べている。

台湾との関係については、石破氏は2022年7月に超党派国会議員で構成される「日本の安全保障を考える議員の会」の一員として台湾を訪問し、蔡英文前総統や呉釗燮国家安全会議秘書長らとも面会。

当時の蔡英文総統と会談し、中国の脅威について議論し、台日間で緊急事態における法的・部隊運用面での合意が必要だと述べた。2024年8月には石破氏らの議員団が再び台湾を訪問し、頼清德総統と会見し、東北アジアが「明日のウクライナ」になることを避けるべきだと述べた。当時、蕭美琴副総統との会談では、「台湾有事」についても議論が行われた。


編集:佐野華美


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