「護国の神山」TSMCの独占は揺るぐか?日本の潜在力に注目集まる
台湾の半導体大手TSMC(台湾積体電路製造)は、世界の半導体ファウンドリー市場で62%という圧倒的なシェアを誇り、「護国の神山」と呼ばれるほど台湾経済の重要な柱となっている。多くのアナリストがTSMCの株価が将来的に1000台湾ドルを突破すると予測する中、米国のカークランド・キャピタルのCEO、ヤン・インチャオ(楊応超)氏は異なる見解を示し、注目を集めている。
TSMCの真の脅威は日本?アメリカでもドイツでもない理由
ヤン氏によると、TSMCは日本、アメリカ、ドイツに工場を設立しているものの、最先端の技術は台湾に残すという戦略を取っている。台湾の労働者の勤勉さと充実した産業エコシステムが、この戦略を支えているという。
TSMCの創業者である張忠謀氏も、アメリカでTSMCの成功を再現することは「相対的に困難」と述べている。一方、ドイツは労働組合制度と法的制約のため、発展が遅れているとヤン氏は分析する。
日本の半導体産業、なぜTSMCを追い抜く可能性があるのか
ヤン氏が日本を最大の脅威と見る理由は以下の通りだ:
深い技術基盤: 日本は世界の半導体産業のパイオニアの一つであり、長年培ってきた技術力がある。
上流サプライチェーンの優位性: 特に化学材料分野で、日本は強力なサプライチェーンを持っている。
類似した職場文化: 日本と台湾の職場文化には類似点が多く、技術移転や協力がしやすい環境にある。
ヤン氏は、日本が十分な技術力を培えば、「遅かれ早かれTSMCに追いつく」と予測。さらに10年以内にTSMCを追い抜く可能性さえあると指摘している。
TSMCの未来戦略は?日本との協力か競争か
TSMCは現在、世界各地に生産拠点を展開する戦略を取っているが、最先端技術の流出を防ぐため、核心技術は台湾に残す方針だ。しかし、日本の半導体産業の復活が現実のものとなれば、この戦略の見直しを迫られる可能性もある。
ヤン・インチャオ(楊応超)氏は、「最もTSMCを理解している証券アナリスト」として知られる米国カークランド・キャピタルの会長。台湾出身で、半導体産業に関する深い知見と独自の分析で注目を集めている証券アナリスト。
編集:高畷祐子
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