台湾半導体にも圧力 「日本の二の舞」になる恐れ?専門家「今回は1980年代とは異なる」

アメリカのトランプ大統領は半導体製造業のアメリカ回帰を誓い、新たな半導体関税を発表すると表明した。(資料写真、AP通信)

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、半導体製造業をアメリカ本土に取り戻すと再三強調しており、今月13日には「近く半導体に対する新たな関税を発表する」と述べた。これを受けて、メディア評論家の陳鳳馨氏は番組《東南西北龍鳳配》の中で分析を行い、「今回の半導体戦争の様相は、1980年代の日米半導体戦争とは全く異なるだろう」と指摘。トランプ氏が過去の「日米半導体協定」をなぞるような方法は取らないとの見方を示した。

陳氏は、日本がかつて半導体産業で世界をリードしていたことを例に挙げ、「当時最大手だった東芝のような企業が、まさにその理由でアメリカの圧力を受けた」と説明。「日本はその経験から、もはや半導体に本腰を入れることに恐怖を抱いているように見える。あまりに強い地位を築くとアメリカに叩かれるという恐れがある」と語った。

その結果、日本はパーソナルコンピューター、DRAM、半導体設計およびファウンドリ分業といった次の半導体産業のトレンドを逃し、全てのチャンスを失ったという。「日本が敗北したのは、外圧だけでなく、自らの制限にもよるものだ」と述べた。

陳氏はまた、著書『チップ戦争(Chip War)』に言及し、アメリカがこの問題から学んだ教訓として、「単に特定国の半導体産業を攻撃するだけでは、アメリカへの回帰は実現しない。相手国が他国に移転する余地を断ち切り、アメリカに戻るしかない状況を作る必要がある」と強調。よって、トランプ氏の戦略は1980年代の「日米半導体協定」の再現ではなく、まったく異なる手法になると指摘した。

さらに陳氏は、トランプ氏が内部関税政策を用い、世界中の半導体とその下流産業をアメリカに戻るよう強制すると予測。これは彼が求めている「ハイエンド製造業」だからだとし、生活必需品である繊維製品や靴などは見捨てる可能性が高いと述べた。「それらにまでこだわれば、トランプ自身も大きな打撃を受ける。しかし、半導体分野においては、彼は必ず手に入れるつもりのように見える」と語った。

陳氏はまた、NVIDIA(輝達)はアメリカ国内での製造に戻る必要があり、同時に鴻海(ホンハイ)、TSMC(台積電)、ASE(日月光)などもアメリカへの工場建設に加わっていると指摘。AMDもすでにTSMCのアメリカ工場との協力を開始していることに言及した。

さらに最近では、Intelの18Aプロセスの良率が「許容可能」な水準に達したとの報道もあり、トランプ氏が半導体に対して高関税を課すことで、下流メーカーにIntelやTSMCアメリカ工場で製造されたチップの購入を強いる可能性が高まっていると見られている。

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