西アフリカのナイジェリアに到着した際の最初の印象は、真新しい空港ターミナルだった。現代的な設備と搭乗ゲートは、アフリカの第三世界国家に対する従来のイメージを払拭するものだった。これは、ムルタラ・ムハンマド国際空港の第2ターミナルであり、中国の援助で建設され2023年に正式に供用開始された。これはアフリカ全体の縮図と言える。至る所に中国の影が見られるのだ。
中国の「一帯一路」がアフリカを変える
アフリカ各国では、中国の建設の痕跡を見ることができる。ナイジェリアの新空港ターミナル、ケニアの鉄道、エジプトの新首都など、すべて中国の一帯一路構想下での建設成果だ。これらのプロジェクトはアフリカ諸国のインフラを急速に整備する一方で、アフリカ諸国の債務問題や、他のアジア諸国のアフリカでのビジネス展開に影響を及ぼしている。
中国が一帯一路を強力に推進しアフリカに進出
ナイジェリアで事業を展開する台湾企業関係者は、「アフリカには多くの資源がありますが、各国のインフラは非常に乏しい状況です。そのため、中国が援助を申し出ると、ほとんどの国が喜んで受け入れます」と語る。これは中国にとって大きな門戸を開くようなものだ。中国は現地の重要な港湾や生活インフラを押さえ、経済貿易の機会をもたらす一方で、将来的な巨額債務のリスクも埋め込んでいる。
一帯一路:中国は2013年に「一帯一路」構想を提唱し、約70カ国と国際組織への投資を行っている。これには過去の歴史で提唱されたシルクロードと海上シルクロードが含まれ、中央アジア、北アジア、西アジア、インド洋沿岸、地中海沿岸、南米、アフリカ、大西洋地域での大規模な開発計画が含まれる。中国は現地のインフラ整備を支援する一方で、高額の債務がアフリカ各国に危機をもたらしている。
アフリカへの巨額投資
中国商務部、国家統計局、国家外貨管理局が共同で発表した「2023年度中国対外直接投資統計公報」によると、2023年の中国の対外直接投資の約80%がアジア向けで、前年比13.9%増加。そのうちASEANへの投資は251.2億ドルで34.7%増。アフリカへの投資は39.6億ドルで、前年の2.2倍に達した。
「一省一国」方式でアフリカ各国と緊密に
中国は「一帯一路」構想に加えて、「一省一国」方式を採用している。中央政府から地方省政府まで、現地の国々と協力関係を築いている。これは責任区域を分担するようなもので、アフリカ各国との交流を強化し、中国の現地での影響力を確保するためだ。
中国式問題解決法が引き起こす新たな課題
エジプトで働く台湾人は、「中国人はお金で問題を解決する習慣があります。しかし、これが現地の人々に悪い習慣を植え付けてしまった」と指摘する。アジア人を見かけるとすぐに金銭を要求するような事態が発生し、国家レベルの施設や機関でさえも同様の問題が起きているという。これは現地政府の清廉性に影響を与え、外国企業の事業展開にも支障をきたしている。
台湾外交の「最も暗い日」、ナイジェリアでの代表処追放
2017年、ナイジェリアで台湾代表処が首都アブジャから追放される事件が発生した。これは中国の圧力によるものとされ、台湾の外交史上重大な打撃となった。現地の台湾人は、「新大統領が選挙中に台湾との協力を約束したので、今後の関係修復に期待している」と語る。
中国の影響力から脱却を目指す 台湾、日本企業と連携
厳しい状況に直面する台湾は、新たな活路を求めて日本企業との連携を模索している。台湾貿易センターは、アフリカでの長い歴史を持つトヨタ通商と協力し、現地市場の開拓を目指している。
トヨタ通商(ケニア)の和田明総経理は、「当社はアフリカで100年以上の歴史があり、現在は54カ国で事業を展開しています。モビリティ、インフラ、ヘルスケア、消費者向け流通の4つの分野で深く経営に関わっています」と語る。
台湾製品の強みを活かしたアフリカ市場戦略
ケニアやナイジェリアでは中古車市場が非常に活況を呈している。台湾企業関係者は、「台湾製の自動車部品は中国や東南アジア製よりも高価ですが、品質が優れており、長期的にはコスト面でも優位性があります」と指摘する。
日本と台湾、アジアの絆を活かした協力関係
日本企業とのパートナーシップについて、台湾企業関係者は「日本はアフリカでの経験が豊富で、台湾とも良好な関係にあります。両国ともアジア出身で互いをよく知っています。ビジネスをする上で親和性が高いのは大きな利点です」と語る。
編集:高畷祐子
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