日本の半導体復興計画、資金不足はどれほどか?日経:4兆円に上り、問題は金だけではない
2024年2月5日、雪の中で東京の浅草寺を訪れる観光客。(AP通信)
日本はかつて世界の半導体産業をリードしていたが、近年は国際競争の中で優位性を失いつつある。かつての栄光を取り戻すため、日本政府と企業は積極的に協力し、半導体強国の地位への返り咲きを目指している。この野心的な計画には巨額の資金不足があり、日本経済新聞の分析によると、約4兆円に上る可能性があるという。「半導体・デジタル産業戦略」の実現は、日本の経済成長の原動力にも関わっている。
2021年5月、自民党の甘利明前幹事長と安倍晋三前首相・麻生太郎副総裁が共同で「自民党半導体戦略推進議員連盟」を設立した。甘利氏は、経済安全保障の観点から半導体復興を国家戦略として位置づけるべきだと強調。経済産業省は2021年6月に「半導体・デジタル産業戦略」を策定し、半導体復興の号砲を正式に鳴らした。
岸田文雄政権は2021年10月の発足後、半導体産業の発展をさらに積極的に推進している。台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県での工場建設を促進したほか、2022年11月にはRapidus社への支援を決定し、2027年に2ナノメートルプロセスの最先端チップの量産を目指している。これら一連の取り組みは、日本政府の半導体産業復興への決意を示すものである。
Rapidusの困難な資金調達
Rapidus社は日本政府が大きな期待を寄せる半導体新興企業で、現在北海道千歳市に新工場を建設中であり、2025年4月の稼働を予定している。設備購入などに約1兆円の資金が必要であり、Rapidusは早ければ今年、出資企業から約1000億円を調達する予定である。残りの資金は銀行融資と政府支援で補う計画だが、この計画が順調に進むかどうかは不確実性が高い。
ある出資企業の幹部は日経に対し、「試作品の性能や顧客開拓の見通しが不明確な段階で、数百億円の出資はできない」と述べている。別の出資企業の取締役は、「工場稼働前の資金支援は国の責任だ」と訴えている。一方、経済産業省の幹部は「民間資金の参加がなければ支援は難しい」と考える。日経は、Rapidusの資金調達の行き詰まりが、民間と官の協力を推進できるリーダーの不在を反映しており、日本の半導体産業復興の構造的課題を示していると指摘。
政府支援の課題
しかし、支援規模については政府部門間で意見の相違がある。経済産業省は産業競争力向上のために支援拡大を主張しているのに対し、財務省は財政規律を重視し、日本の半導体支援のGDP比が米国やドイツを明らかに上回っていると指摘。この相違は、日本が産業政策を推進する際の内部バランスの問題を反映している。経済産業省は日本の支援は「欧米と同程度」だと主張している。部門間の駆け引きは、日本が半導体復興を推進する際の政策調整の課題も浮き彫りにしている。
長期投資と政策の持続性
半導体産業を真に振興するには、持続的な長期投資が必要である。日経は、台湾と韓国が特定企業に政策支援と民間資金を集中させることで世界一流の半導体企業を育成したと指摘。これに比べ、日本の政策支援は十分な強度と持続性に欠けているように見える。東京大学公共政策研究所の鈴木一人教授は、「現政権の求心力が低下し、Rapidus支援に疑問を持つ声も増えている。次期政権が半導体へのコミットメントを改めて表明することが、Rapidusの成功には不可欠だ」と指摘。この見解は、半導体産業の長期的発展における政策の持続性の重要性を強調している。
2023年9月、岸田文雄首相はRapidusの起工式で「日本政府として、予算、税制、規制など様々な面から、世界と戦える投資支援パッケージを作り上げる」と述べた。日経は、半導体製造に加えて応用産業の育成も同様に重要だと考えている。AIや量子コンピューターは非常に有望な応用分野であり、いずれも超高速・低消費電力の先端半導体を大量に必要とする。しかし、日本にはデジタルサービスの需要を創出する関連政策が不足しており、将来の半導体製品の市場需要に影響を与える可能性がある。
Rapidusは米国西海岸に営業拠点を設け、GAFAM(Google・Amazon・Facebook・Apple・Microsoftの総称)のような技術巨大企業を顧客として獲得することを目指している。しかし日本国内では、過去の産業政策が製造業に偏重していたため、半導体需要をリードするデジタルサービスやソフトウェア産業の発展が不十分である。日経は、この状況が日本に5兆円もの「デジタル赤字」(2023年度)をもたらし、海外のクラウドサービスなど技術大手企業に多額の費用を支払わざるを得なくなっていると指摘している。
日経によると、米国政府は対中半導体輸出規制を強化しており、中国は華為技術(ファーウェイ)や傘下の半導体設計会社である海思半導体(HiSilicon)、ファウンドリー企業の中芯国際(SMIC)を通じて国内完結型の半導体サプライチェーンの構築を目指している。日本が持続可能な経済成長を実現するには、先端半導体と情報通信インフラを基盤に、デジタル技術を活用して製品やサービスを創出する好循環を構築する必要がある。これは「半導体・デジタル産業戦略」の構想力と政策実行力が試されることになる。
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