トップ ニュース 【張瀞文コラム】富の鍵は「つながり」、AIがもたらすデジタル・ルネサンス
【張瀞文コラム】富の鍵は「つながり」、AIがもたらすデジタル・ルネサンス 李飛飛氏の「ImageNet」がデータラベリング課題を解決し、NVIDIAの並列計算アーキテクチャと結合したことで、人類の計算能力は短期間で1億倍に増大した。(資料写真、フェイフェイ・リ氏のXより)
人類の長い歴史において、真の富の波は常に「つながり」とともに到来してきた。産業革命以降の260年余りを振り返った際、巨万の富と強大な権力を定義するキーワードを一つ挙げるとすれば、それは間違いなく「つながり」である。
大航海時代の帆船から、現在の米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)の画像処理半導体(GPU)に至るまで、人類文明の飛躍は本質的に「境界を越えた再接続」を巡る革命であった。昨今頻繁に議論される人工知能の波は、2000年のITバブルとは論理が全く異なる。それは投機というよりも、むしろテクノロジー版の「ルネサンス」と呼ぶべきものである。
歴史の教訓、巨富の源泉は「つながり」 19世紀を振り返ると、産業革命が大航海時代を促した。イギリスやスペインは強大な艦隊を擁し、海という障壁を越えてヨーロッパ、アジア、アメリカ大陸を結びつけた。この「世界的なつながり」がイギリスを「太陽の沈まない帝国」へと押し上げた。なぜなら、同国は世界の資源を自国の富へと転換する能力を手に入れたからである。
19世紀後半に入ると、つながりの媒介は海から陸へと移行した。道路や鉄道の敷設が地理的な境界を根底から打ち破り、鉄鋼王であるアンドリュー・カーネギー氏や、鉄道王であるコーネリアス・ヴァンダービルト氏の台頭を後押しした。一方、米起業家イーロン・マスク氏が主導する衛星通信網「スターリンク(Starlink)」計画は、このつながりを地上から宇宙空間へと拡張するものである。
境界を突破し、効率的なつながりを実現するものこそが、富の究極の鍵であることは歴史が証明している。2000年以降に台頭した米GoogleやMeta、Amazonから、動画投稿アプリTikTokに至るインターネット企業は、本質的に国境を越えたコミュニティやデータの結びつきである。そして、これこそがAI爆発の前哨戦であった。なぜなら、つながりがビッグデータを生み出し、ビッグデータがAIの血肉となるからだ。
CPUからGPUへ、人間の脳を模倣する「並列計算」革命 過去40年以上にわたり、私たちは「ムーアの法則」に依存して中央演算処理装置(CPU)の発展を推進してきた。しかし、CPUの処理は線形的であり、まるで一方通行の道を順番に並んで進むようなものである。これに対し、人間の脳は860億個のニューロン(神経細胞)で構成されており、無数の情報が同時に「つながり」、処理されている。「AIのゴッドファーザー」と呼ばれる英カナダ出身のコンピューター科学者、ジェフリー・ヒントン氏が指摘するように、機械に知能を持たせるには、人間の脳の働きを模倣する必要がある。
AIの「ゴッドファーザー」と呼ばれるコンピューター科学者のジェフリー・ヒントン氏。(資料写真、トロント大学提供) 米スタンフォード大学教授のフェイフェイ・リー氏が主導した画像データベース「ImageNet」がデータラベリングの問題を解決し、これにエヌビディアが開発した並列計算アーキテクチャが組み合わさったことで、人類の計算能力は短期間で驚異的な1億倍の成長を遂げた。これが質的変化の幕開けである。
創発性、モデルが人間の脳の閾値を超える時 AIの発展において最も衝撃的なのは、「創発性(Emergent Ability)」に他ならない。
米OpenAIが大規模言語モデル(LLM)を開発する過程で、ある狂気とも言える仮説が存在した。それは「機械に論理を教えず、計算能力とモデルの規模(スケーリング則)を無制限に拡大させた場合、何が起こるのか」というものだ。結果として、パラメーター数が15億から「GPT-3」の1500億へと増加した際、機械は突如として「人間が何を言っているか」を理解し、さらには多様な知識を引用し、連想や類推を行う能力を獲得したことが明らかになった。
これは「リンゴ」という言葉から、アイザック・ニュートン氏や米アップル共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏、あるいは日常的な果物を連想するようなものである。この「創発」はあらかじめ記述されたプログラムコードによるものではなく、つながりの複雑さが人間の脳の860億ニューロンを超えた際に、コンピューターが示した疑似的な思考能力なのだ。
AIの進化は本質的に「つながり」の革命である。インターネットプラットフォームが収集したビッグデータは、エヌビディアのGPUによる推論と学習の加速を経て、有用な知能へと変換される。学習(Training)段階においてはエヌビディアが市場を主導し、世界時価総額首位という覇業を成し遂げた。一方、次の段階である推論(Inference)段階は、医療、国防、ビジネス、社会分析などの分野に広く応用可能であり、今後の覇権争いの主戦場となる。モデルが人間の言語を「理解」できるようになれば、次のステップを予測し、複雑な推論を行うことが可能となり、真の意味で人類の知能の拡張となる。
AIはバブルではない、それはルネサンスである AIがITバブルの二の舞になるのではと懸念する声もあるが、両者は本質的に異なる。ITバブルはインフラストラクチャー投資の過熱に伴う調整であったのに対し、AIは持続的かつ爆発的に成長する計算能力、成熟したモデルアーキテクチャ、そして膨大なデータの上に成り立っているからだ。
計算能力は数カ月ごとに倍増し続けており、「トランスフォーマー」モデルと並列計算の技術的突破により、AIの進化はもはや線形的ではなく、指数関数的な飛躍を見せている。これにより、「いかにして機械に脳と同じように『同時』に学習と思考を行わせるか」という人類が長年追求してきた課題が解決された。
この革命はむしろルネサンスに近い。それは単なる技術的突破にとどまらず、人類の知識、創造力、そしてつながりのあり方の全面的な再構築である。言語、国境、知識の境界を打ち破り、知能の民主化を実現することで、個人や企業が「巨人の肩の上」に立てるようになる。当然ながら、倫理問題、雇用の移行、エネルギー消費といった課題は依然として残されている。しかし、歴史が示す通り、つながりはトレンドを生み、富をもたらす。AIこそが現代において最も強力な「つなぎ手」なのである。
この時代において、「つながり」の側に立つことは、富と未来の側に立つことを意味する。AIはバブルとして弾けることなく、静かに人類文明を再形成している。それはまるで新たなルネサンスのごとく、我々が共に参加するのを待っているのである。
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