台湾の食用油業界で、近年最大規模となる食品安全問題が発生した。中聯油脂が製造した大豆サラダ油から、発がん性物質「ベンゾ[a]ピレン」が基準値の最大4倍検出された。対象となる油は約1300トンに上り、台湾全域の食品供給網に影響が広がっている。
台湾の衛生福利部食品薬物管理署(食薬署)は7月7日、中聯油脂に対し、行政処分として計1億6000万台湾ドルの制裁金を科した。
台中地方検察署は9日、中聯油脂のほか、川上・川下企業に当たる福寿、福懋油脂、泰山など4社の関係先を一斉に捜索した。食品安全衛生管理法違反などの疑いで、中聯油脂の総経理、余凌冲氏の勾留も裁判所に請求した。
台中地方法院は10日深夜に勾留審問を行い、保証金2000万台湾ドルの納付を条件に余氏の釈放を命じた。余氏は11日午前1時過ぎ、手続きを終えて勾留先を出た。
台中地裁は決定理由について、過失により有毒または人体に有害な物質を含む食品を製造・加工した疑いのほか、業務上作成した文書に虚偽を記載し、これを行使した疑いがあり、容疑は濃厚で勾留の理由も認められると説明した。一方、関連する証拠はすでに保全されているとして、保証金を条件とする釈放を認めた。
今回の問題では、事業者による「自主管理」の限界と、行政機関の初動対応が改めて問われている。
南僑と泰山で計3度の基準超過 中聯の自主検査と食い違い
問題の焦点の一つは、製造元である中聯油脂と、川下企業による検査結果の食い違いだ。
5月には川下企業の南僑が自主検査を行い、油からベンゾ[a]ピレンの基準値超過を確認した。7月初めには泰山でも同様の問題が見つかり、直近では南僑が再び、中聯油脂から仕入れた油に異常があることを自主検査で確認した。
川下企業による検査では、これまでに計3度、中聯油脂の製品からベンゾ[a]ピレンの基準値超過が確認されたことになる。
泰山は、5月12日付のロットを改めて検査した結果、問題を発見した。一方、中聯油脂は、同じ日に自社で行った抜き取り検査では「異常はなかった」と主張していた。
その後、食薬署が職員を現地に派遣して実地調査と検体採取を行い、その結果を踏まえて、中聯油脂の製品が基準に適合していないことを確認した。

問われるのは検査技術よりサンプリング方法
中聯油脂はこれまで、自社の抜き取り検査では基準に適合していたと繰り返し説明している。
しかし、いつ、製造ラインのどの場所から、どのような方法で検体を採取したのか、また採取した検体がロット全体を適切に代表するものだったのかは、外部から確認できない。
同じロットであっても、採取する時点や場所、検体数によって結果が変わる可能性がある。今回の検査結果の食い違いは、検査技術そのものだけでなく、サンプリング方法や検体管理のあり方に問題がなかったかという疑問を浮かび上がらせた。 (関連記事: 【舞台裏】台湾の食用油から発がん性物質 問題油はなぜ流通したのか、企業・中央・地方の責任を追う | 関連記事をもっと読む )
裁判所の決定理由には、余氏について、業務上作成した文書への虚偽記載と、その文書を行使した疑いも記されている。
![中聯油脂が製造した約1300トンの大豆サラダ油から、グループ1の発がん性物質「ベンゾ[a]ピレン」が基準値の最大4倍検出され、台湾全域の食品供給網に影響が広がっている。写真はイメージ。(資料写真/中央通信社)](https://images.storm.mg/cloud/8f32f49414b1efddaf48b9d96f500d7356989d66.webp?url=s3%3A%2F%2Fnew-storm-public-resource%2Fgallery%2F2179047%2F20260704-091626_U13925_M1062550_1cc6.jpeg&g=sm&h=675&resize=fill&w=1200&format=webp)



















































