TSMC、魏CEO「ファウンドリーに近道なし」 インテルを強敵視、増産には年単位

TSMC 2026年第1四半期決算説明会=16日(写真/柯承恵撮影)
TSMC 2026年第1四半期決算説明会=16日(写真/柯承恵撮影)

台湾積体電路製造(TSMC)は16日に開催した決算説明会にて、第1四半期の好決算や通期見通しの上方修正に加え、技術競争と生産能力の拡大についても言及した。

機関投資家からインテル(Intel)やテラファブ(テスラ/Tesla)といった競合他社との関係について問われた魏哲家会長 兼 CEOは、これらについて「TSMCの顧客であると同時に、競合相手でもある」と正面から回答。特にインテルを「強力なライバル」と位置づけ、決して過小評価はしないとの姿勢を示した。その一方で、ファウンドリ(半導体受託製造)というビジネスにおいて「近道はない」と断言した。

魏氏は、ファウンドリ産業の根本的なルールは不変であり、競争の核心は依然として「技術のリーダーシップ」「卓越した製造能力」「顧客からの信頼」、そして「サービス能力」にあると指摘。

さらに、エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアンCEOが語った「サービス」の価値を引き合いに出し、ファウンドリ企業にとっての真の障壁はプロセス技術そのものだけではないと強調。技術、量産、品質、そして顧客との協力関係をいかに統合し、長期的な競争力へと昇華させられるかが重要であると語った。

「供給は一晩では補えない」競合への注文流出を懸念する声に回答

​先端プロセスおよび先端パッケージングの供給不足が続く中、一部の注文が競合他社へ流出する可能性について、魏氏の回答は再び「時間」という核心に立ち返った。

「新工場の建設には2〜3年を要し、その後の生産立ち上げ(ランプアップ)にはさらに1〜2年かかる。これが『近道はない』と繰り返す理由だ」。魏氏は、この産業において需要は瞬時に爆発する可能性がある一方で、供給側が一夜にしてそれに対応することは不可能であるという現実を指摘した。

設備投資をレンジ上限へ 焦点は「いかに計画を前倒しするか」

​TSMCが現在直面している課題は、増産の是非ではなく「いかに既存の増産計画を前倒しできるか」にある。今回の説明会において、同社は今年の設備投資額の見通しを520億ドル〜560億ドルのレンジ上限へと押し上げた。これは、今後数年にわたるAIの構造的需要に対する極めて強い自信の表れといえる。魏氏は、AI需要の凄まじい勢いを受け、当初の計画を可能な限り前倒ししようと尽力しているものの、供給のタイトな状況は相当期間にわたって続くとの見通しを示した。

競争の再定義、単なる奪い合いではなく「顧客と共に成長する」

​注目すべきは、魏氏が競争という問題を単なる「顧客の奪い合い」として捉えるのではなく、「いかに顧客と共に成長するか」と再定義した点だ。

魏氏は機関投資家からの質問に対し、TSMCの最優先事項は「顧客がそれぞれの市場で成功を収めることを確実にすることだ」と強調した。顧客の成功を支えて共に成長し、適正なリターンを得る。そしてそのリソースを次なる増産へと継続的に投入し、次世代の需要を支える。このサイクルこそが同社の強みとなっている。

長期的なパートナーシップが勝敗を分ける

​TSMCの経営ロジックにおいて、顧客は短期的な取引相手ではなく、長期的なパートナーである。ファウンドリビジネスにおいて、スローガンや一度の発表、あるいは単発の投資だけで、技術開発と量産化の間に横たわる距離を縮めることはできない。最終的な勝負を決めるのは、時間、歩留まり、製造能力、そして顧客からの信頼において、一歩ずつ着実に実力を積み上げ、示し続けられるかどうかなのである。

台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp

編集:梅木奈実

最新ニュース
【寄稿】戦争はもはや破壊ではない 中東紛争が映す文明再編の時代
TSMC、3ナノを日米台で増産へ 次世代A14は28年量産
インド人労働者受け入れ巡り署名1万人超 台湾労働部が3項目の対応方針
TSMC、1Q純利益58%増で過去最高 通期売上高見通しを30%超に上方修正
【プロ野球】オリックスが西武に連勝 エスピノーザが開幕3連勝、椋木はプロ初セーブ
台湾で失踪の外国人労働者9万人超 インド人受け入れ巡り野党が追及
【オリックス】椋木蓮がプロ初セーブ!右肘の手術を乗り越え、救援陣の新たな「盾」へ
高市首相、アジアのエネルギー安保強化に向け「POWERR Asia」を表明 1.5兆円規模の支援で「AZEC 2.0」への進化を目指す
西日本初の「台湾華語学習センター」が大阪に誕生 言語を通じた日台交流の新たな拠点へ
揺らぐ「核の傘」 日独韓で核保有論が再燃、台湾はどう向き合うか
【調査】通商交渉官の死が映す台湾CPTPP加盟の混迷 顔慧欣氏の告発とその舞台裏
横浜赤レンガ倉庫「ヨコハマフリューリングスフェスト 2026」開催決定!テーマは親子で楽しむ『Fun & Fam』
TAKANAWA GATEWAY CITY、開業後初のGWイベント開催へ 次世代カルチャーと国際交流が交差する新たな都市体験を提供
政府、アジア各国に100億ドル支援へ 原油調達後押しで供給網維持
台湾、訪日消費額で初の首位 中国は大幅減 2026年1-3月期
韓国、エネルギー危機回避へ 大統領特使が4か国歴訪、原油2.73億バレルの確保を発表
【西武】林安可、京セラ初出場でマルチ安打 オリックス戦で2安打
台湾・新北MRT三鶯線、6月にも開業へ 三峡老街や美術館を結ぶ新路線
【オリックス】西武を下し連敗ストップ!3回一挙4得点の猛攻、曽谷龍平が今季初勝利
PayPay、4月末より台湾で「海外支払いモード」を提供開始 40万店舗で利用可能に
台湾の林佳龍外相、リトアニア新駐台代表と面会 半導体・AIなど戦略産業で協力深化へ
都心最大級の再開発「内幸町一丁目街区」、名称は『HIBIYA CROSSPARK』に決定 2037年度以降の完成目指す
櫻坂46、初の国立競技場公演で14万人動員 5周年の集大成と次なる挑戦を発表
櫻坂46、国立競技場で5周年を祝福!14万人動員、坂道初の両A面シングル&2027年アジアツアー開催を電撃発表
韓国、「CHINA(TAIWAN)」表記を削除 台湾は居留証の「南韓」表記維持、外交部「調整なし」
【独自】 国民党・李乾龍副主席の車両にGPS追跡器 監視疑惑で党内に警戒広がる
味の素「SIIDA」が銘酒居酒屋「件」とコラボ 六本木の祭典で「だし」の新たな可能性を披露
ホルムズ海峡巡り情報錯綜 米軍「通過ゼロ」も一部報道は航行確認
【舞台裏】台湾民進党、ネット戦略を見直し 頼総統風刺「ライアー校長」に対抗
【独占】習氏は「求同存異」を容認するのか 非公開会談の舞台裏を張栄恭氏が明かす
【舞台裏】頼総統、26年台湾統一地方選の候補調整に苦慮 鄭麗君氏は出馬要請に難色
ローマ教皇の対イラン軍事行動批判にトランプ氏が強く反発 異例の対立深まる
【新新聞】量子計算を主導するIBM・Google・エヌビディア、台湾勢の参入戦略
【独占】味の素「SIIDA」担当者に独占取材 だしを「味わう」体験と「だしがら」活用が拓く新たな食文化
NBA公式直筆サイン入りジャージが必ず届く「Under Wraps」第1弾、NBA Store Japanで販売開始
SR渋谷、ホーム青山学院記念館に別れ 4月26日の千葉戦で「メモリアルフォト」企画を実施
三菱地所と清水建設、シンガポール最大級の食品産業向け分譲物流施設「Gourmet Xchange」の開発に参画
サンリオピューロランド「POMPOMPURIN 30th Anniversary」開幕 30周年記念の特別展示や3Dデジタルフィギュアを公開
【2026 GW】スカイツリーの「台湾祭」からお台場の「肉フェス」まで、首都圏で楽しむ「4大フードフェス」完全ガイド
CRAFT SAKE WEEK 10周年が六本木で開幕 中目黒「若狭」が提案する日本酒と韓国料理のペアリング
訪台日本人150万人の大台へ 台湾観光署、東京・秋葉原でGW向け大規模イベント開催
台北・微風信義にてentakuの「わかってないなぁ展」と「うれしいすぎるよ展」が開催中
【寄稿】台湾はなぜインド人労働者を受け入れるのか その必要性と制度の意義
【李忠謙のコラム】トランプ氏、「AI画像」投稿で波紋 ホルムズ海峡めぐる強硬策のリスク
矢田稚子前首相補佐官、「女性参画と地方経済」をテーマに講演 男女賃金格差の是正を訴える
自民大勝と「高市現象」が刻む歴史的転換点 中北浩爾教授が分析するSNS動員と多極化する連立システムの行方
【人物】頼清徳総統指名の検事総長候補に異議 公然と批判した陳宏達主任検事とは
ネット動画と新たな対立軸が浮き彫りにする「高市現象」の背景 成蹊大学・伊藤昌亮教授が分析