台湾積体電路製造(TSMC)は16日に開催した決算説明会にて、第1四半期の好決算や通期見通しの上方修正に加え、技術競争と生産能力の拡大についても言及した。
機関投資家からインテル(Intel)やテラファブ(テスラ/Tesla)といった競合他社との関係について問われた魏哲家会長 兼 CEOは、これらについて「TSMCの顧客であると同時に、競合相手でもある」と正面から回答。特にインテルを「強力なライバル」と位置づけ、決して過小評価はしないとの姿勢を示した。その一方で、ファウンドリ(半導体受託製造)というビジネスにおいて「近道はない」と断言した。
魏氏は、ファウンドリ産業の根本的なルールは不変であり、競争の核心は依然として「技術のリーダーシップ」「卓越した製造能力」「顧客からの信頼」、そして「サービス能力」にあると指摘。
さらに、エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアンCEOが語った「サービス」の価値を引き合いに出し、ファウンドリ企業にとっての真の障壁はプロセス技術そのものだけではないと強調。技術、量産、品質、そして顧客との協力関係をいかに統合し、長期的な競争力へと昇華させられるかが重要であると語った。
「供給は一晩では補えない」競合への注文流出を懸念する声に回答
先端プロセスおよび先端パッケージングの供給不足が続く中、一部の注文が競合他社へ流出する可能性について、魏氏の回答は再び「時間」という核心に立ち返った。
「新工場の建設には2〜3年を要し、その後の生産立ち上げ(ランプアップ)にはさらに1〜2年かかる。これが『近道はない』と繰り返す理由だ」。魏氏は、この産業において需要は瞬時に爆発する可能性がある一方で、供給側が一夜にしてそれに対応することは不可能であるという現実を指摘した。
設備投資をレンジ上限へ 焦点は「いかに計画を前倒しするか」
TSMCが現在直面している課題は、増産の是非ではなく「いかに既存の増産計画を前倒しできるか」にある。今回の説明会において、同社は今年の設備投資額の見通しを520億ドル〜560億ドルのレンジ上限へと押し上げた。これは、今後数年にわたるAIの構造的需要に対する極めて強い自信の表れといえる。魏氏は、AI需要の凄まじい勢いを受け、当初の計画を可能な限り前倒ししようと尽力しているものの、供給のタイトな状況は相当期間にわたって続くとの見通しを示した。
競争の再定義、単なる奪い合いではなく「顧客と共に成長する」
注目すべきは、魏氏が競争という問題を単なる「顧客の奪い合い」として捉えるのではなく、「いかに顧客と共に成長するか」と再定義した点だ。
魏氏は機関投資家からの質問に対し、TSMCの最優先事項は「顧客がそれぞれの市場で成功を収めることを確実にすることだ」と強調した。顧客の成功を支えて共に成長し、適正なリターンを得る。そしてそのリソースを次なる増産へと継続的に投入し、次世代の需要を支える。このサイクルこそが同社の強みとなっている。
長期的なパートナーシップが勝敗を分ける
TSMCの経営ロジックにおいて、顧客は短期的な取引相手ではなく、長期的なパートナーである。ファウンドリビジネスにおいて、スローガンや一度の発表、あるいは単発の投資だけで、技術開発と量産化の間に横たわる距離を縮めることはできない。最終的な勝負を決めるのは、時間、歩留まり、製造能力、そして顧客からの信頼において、一歩ずつ着実に実力を積み上げ、示し続けられるかどうかなのである。
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編集:梅木奈実
















































