【寄稿】台湾はなぜインド人労働者を受け入れるのか その必要性と制度の意義

2026-04-14 10:17
洪申翰(ホン・シェンハン)労働部長は先日、早ければ年内にも初となるインド人労働者の導入が始まる見通しであることを明らかにし、大きな注目を集めている。(資料写真、陳品佑撮影)
洪申翰(ホン・シェンハン)労働部長は先日、早ければ年内にも初となるインド人労働者の導入が始まる見通しであることを明らかにし、大きな注目を集めている。(資料写真、陳品佑撮影)

台湾の労働部長(労働相に相当)は先日、立法院(国会)での質疑に対し、インド人労働者の導入が今年末にも実現する見通しであることを明らかにした。現在は最終段階の体制構築と行政手続きが進められているという。メディアの報道を受け、社会では再び議論が巻き起こっているが、かつての激しい反対運動に比べれば、今回の反応は相対的に落ち着きを見せている。政府の公共政策プラットフォーム上でも、条件付きの導入を求める声は上がっているものの、全面的な反対意見は影を潜めている。台湾の経済発展において、インド人労働者の導入は不可欠であり、今回は初めて「直接雇用」と「仲介業者」の併用制が採用される点に、大きな意義がある。

導入の背景、1990年代から続く深刻な人手不足

​台湾とインドは2024年に「労働協力覚書(MOU)」を締結した。第一弾として製造業に従事するインド人労働者1000人の受け入れを予定しているが、現時点では導入に至っていない。どの国においても、外国人労働者の導入背景には深刻な労働力不足がある。今回のインド人労働者の導入も、1990年代に始まった東南アジアからの労働者受け入れと同様、切実な人手不足が発端となっている。

労働力不足の要因と対策については、これまで多くの専門家によって研究や提言がなされてきた。かつての議論では、少子化が現在ほど深刻ではなかったこともあり、主な原因は「低賃金」「過酷な労働環境」「不十分な福利厚生」にあるとされていた。また、産業構造の高度化に対応するための教育政策の転換により、技術教育体系の発展が阻害され、技能職の社会的意義が損なわれたことも一因とされている。

少子化と労働力不足、供給源の多角化が急務

現在、台湾が直面している深刻な労働力不足は、国家安全保障に関わる重大な課題、すなわち「少子化」と密接に関連している。メディアがインド人労働者の年内導入の見通しを報じる一方で、出生率向上のための補助金が十分な効果を上げられず、人口減少が加速している現状も浮き彫りになっている。これら二つの課題に対処するため、労働力供給源の多角化は火急の的であり、インド人労働者の導入決定は、供給国を拡大するという観点からも極めて重要である。

現在、台湾の主な労働力供給国はタイ、ベトナム、フィリピン、インドネシアの4カ国であるが、これらの国々は主要な労働力輸出国であり、台湾は他国との激しい人材獲得競争にさらされている。インド人労働者の獲得において、主な競合相手はアラブ首長国連邦(UAE)などのペルシャ湾岸諸国や、東南アジアのシンガポールである。深刻化する労働力不足への主要な対応策として、供給国の拡充は避けられない選択となっている。
(関連記事: 台湾、インド人労働者の受け入れへ 労働部長「第1陣は年内の可能性」 関連記事をもっと読む

なお、台湾における外国人労働者は主に「産業分野」と「家事・介護分野」に分類される。統計データによると、インドネシア人は主に一般家庭の家事や介護に従事し、他の3カ国からの労働者は、建設現場、工場、公共事業などの産業分野を支える主力となっている。

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