中国軍上将40人中36人が公の場に姿見せず 習近平氏の粛清が台海情勢に影落とすか

2026-04-10 19:39
2023年3月12日、中国国家主席・習近平氏は人民大会堂で全国人民代表大会に出席し、当時の中央軍事委員会副主席・張又侠氏と同・何衛東氏の席の前を通り過ぎた。(AP通信)
2023年3月12日、中国国家主席・習近平氏は人民大会堂で全国人民代表大会に出席し、当時の中央軍事委員会副主席・張又侠氏と同・何衛東氏の席の前を通り過ぎた。(AP通信)

1月の張又俠(ちょう・ゆうきょう)中央軍事委員会副主席および劉振立(りゅう・しんりつ)軍事委員の失脚に続き、3月に開催された中国の「両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)」では、公に姿を現した人民解放軍の上将(大将に相当)はわずか4人にとどまった。これは、約40人とされる上将の定員を大きく下回る異例の事態である。

さらに、両会に参加した解放軍代表団も大幅に欠員が出ており、定員281人のうち出席者は243人、つまり38人が欠席した。また、解放軍代表団において「副団長」のポストが初めて廃止されたことも注目されている。

国内外の専門家やシンクタンクの分析を総合すると、これは習近平指導部下において、中央軍事委員会や軍内部で「政治的忠誠」が何よりも優先されていることを示している。つまり、解放軍内部のさらなる「政治化」が一段と進んだ格好だ。

台湾海峡情勢への影響、短期的なリスク低下と長期的な懸念

今回の事態が台湾海峡の防衛に与える影響について、専門家は以下のように分析している。

  • 短期的リスク:戦争発生の懸念は一時的に低下する。軍内部が粛清や思想調査、人事の穴埋めに追われており、指揮体系も人員不足の状態にあるためだ。
  • 長期的リスク:懸念はむしろ深まっている。軍事委員会内に「直言」できる将領が排除されたことで、中国高層部が意思決定の過程で誤認(ミスカルキュレーション)を犯す可能性が高まっており、台海情勢および東アジア情勢全体にとって不利な状況となっている。

中国軍高層部の人事における次の節目は、今秋にも開催が予想される「第20期中央委員会第5回全体会議(五中全会)」だ。ここで張升民(ちょう・しょうみん)軍事委員会副主席が政治局委員に昇格するか、あるいは軍事委員会の欠員が補充されるかどうかが焦点となる。

2025年12月22日、中国・北京にて、上将昇進式の後に東部戦区司令官・楊志斌氏(後列左)および中部戦区司令官・韓勝延氏ら軍幹部と記念撮影を行う中国国家主席兼党中央軍事委員会主席・習近平氏(前列左から2人目)。(新華社/AP通信)
2025年12月22日、中国・北京にて、上将昇進式の後に東部戦区司令官・楊志斌氏(後列左)および中部戦区司令官・韓勝延氏ら軍幹部と記念撮影を行う中国国家主席兼党中央軍事委員会主席・習近平氏(前列左から2人目)。(新華社/AP通信)

張五岳氏の指摘「露見した『4名のみ』の公開活動」

淡江大学両岸関係研究センターの張五岳(ちょう・ごがく)主任は、解放軍の上将約40人のうち、両会期間中に正常な公開活動が確認されたのは以下の4名のみであると指摘した。

  • 張升民(中央軍事委員会副主席)
  • 董軍(国防相)
  • 韓勝延(中部戦区司令官:北京の警備を担当)
  • 楊志斌(東部戦区司令官:台湾正面を担当)

張氏によれば、今年の両会は主に「第15次5ヵ年計画(十五五計画)」を扱う場であり、もともと政治局や軍事委員会の高層人事に深く踏み込む場ではない。 (関連記事: 【10年ぶりの国共トップ会談】習近平氏は「統一」に直接言及せず、鄭麗文氏は「運命共同体」提唱 関連記事をもっと読む

真に注視すべきは今秋の「第20期中央委員会第5回全体会議(五中全会)」である。張氏は「2027年には、秋の第21回党大会と解放軍建軍100周年という二つの大きな節目が控えている」とした上で、「張升民氏の政治局委員への昇格や軍事委副主席の補充、さらに4名の軍事委員の補充が行われるかどうか。これらは五中全会の権限であり、そこで軍の今後の方向性が明確になるだろう」と分析している。

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