米国とイランの対立は一時停戦となったものの、経済に残る後遺症のリスクに市場は警戒を解いていない。米国の3月消費者物価指数(CPI)が台湾時間10日午後8時30分に発表される。
これは米イラン紛争発生後、原油価格急騰の影響が初めて反映されるCPI報告であり、前月比の伸び率が過去4年で最高を記録する可能性がある。31兆ドル規模に上る米国債市場は事前に防衛姿勢に入っており、トレーダーは利回りが再び上昇するとの見方を強めている。
トレーダー、米国債利回りの上昇を見込む
9日、トレーダーは5年物および10年物の米国債利回り上昇に備えたオプションのヘッジを強化した。これは、先月の原油価格急騰がもたらし得るインフレの再燃圧力に対応するため、市場が資産配分を再調整していることを反映している。
米金融大手JPモルガン・チェースがこのほど発表した調査結果によると、現物市場のネットロング(買い越し)ポジションは過去3週間で最も悲観的な水準に低下しており、市場心理が保守的になっていることが示された。
堅調な雇用が景気後退懸念を払拭、市場の焦点は再びインフレへ
先週発表された非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想を上回ったことで、景気減速に対する市場の懸念は一時的に和らいだ。これにより、投資家の焦点はエネルギー価格上昇がもたらす今後の影響に再び移っている。今年に入り、北海ブレント原油価格は累計で約60%上昇している。
米ブルームバーグの調査によると、エコノミストらは今回発表されるCPIが2022年6月以来最大の前月比伸び率を記録すると予想しており、インフレ圧力が再び強まる可能性を示唆している。
米資産運用会社ブランディワイン・グローバルのポートフォリオ・マネージャー、ジャック・マッキンタイア氏は、市場の関心は通常「インフレと雇用」の間で揺れ動くと指摘。「最新の雇用指標が堅調であることを踏まえれば、インフレが今後の焦点となるのは当然だ」と述べた。
乱高下する利回り、市場の強弱見通しの分断が加速
直近の米国債利回りの変動は明らかに激しさを増しており、市場がインフレと経済成長の見通しの間で一進一退を繰り返していることを反映している。10年物国債利回りは9日に4.28%前後で推移し、2月末の3.94%から顕著な上昇を見せた。
それにもかかわらず、市場には依然として利回り低下を見込む取引も存在している。例えば8日には、オプション市場で大量の買いポジションが観測され、4月17日までに10年物利回りが約4.15%に低下するとの予測が示された。
投資家は現在、年内の利上げを見込んではいないものの、利下げに対する期待も大幅に後退している。現状では0.25%の利下げ確率を約30%と織り込むにとどまっており、年初に予想されていた年2回の利下げ見通しを大きく下回っている。
米証券会社アメリベット・セキュリティーズの米国金利責任者、グレゴリー・ファラネロ氏は、雇用データが堅調で、今後数カ月にインフレが上昇する可能性がある状況下では、金利が継続的に低下する条件に欠けていると分析。「金曜日に発表されるCPIの数値は中東紛争の影響を反映し始めるだろう。この報告が発表されるまで、我々は短期的に防衛的なスタンスを取る」と語った。
FRB高官が警鐘、紛争がインフレ圧力を押し上げる恐れ
市場のトレーダーが警戒を強める中、米連邦準備制度理事会(FRB)の一部高官もインフレの先行きに対して懸念を表明している。8日に公表された最新の会合議事要旨によると、3月17日~18日に開催された政策決定会議において、中東情勢がインフレ圧力を押し上げることを懸念する声が強まっていることが明らかになった。
一部の高官はさらに、インフレがすでに5年連続で政策目標を上回っている背景においては、長期的なインフレ期待がエネルギー価格の変動に対してより敏感になる可能性があると警告。これは、今後の原油価格の変動が政策に与える影響力が一段と拡大することを意味している。
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編集:平松靖史

















































