米イラン交渉、60日で妥結は困難か NRIチーフエコノミストが指摘する2015年との決定的な違い

2026-07-07 07:23
野村総合研究所(NRI)のチーフエコノミスト、辜朝明氏は、米イラン交渉が60日以内に妥結する可能性は低く、長期化は避けられないとの見方を示している。写真は2024年11月、第40回アジア銀行協会総会に出席した辜氏。(写真/顔麟宇撮影)
野村総合研究所(NRI)のチーフエコノミスト、辜朝明氏は、米イラン交渉が60日以内に妥結する可能性は低く、長期化は避けられないとの見方を示している。写真は2024年11月、第40回アジア銀行協会総会に出席した辜氏。(写真/顔麟宇撮影)

野村総合研究所(NRI)のチーフエコノミスト、辜朝明氏は、トランプ米大統領が今年、軍事的手段でイラン問題に介入したことについて、イランの核問題を解決するどころか、ホルムズ海峡を再び地政学的リスクの焦点に押し上げ、世界の石油輸出における脆弱性を浮き彫りにしたと分析した。

辜氏は、新たなエネルギー危機を招いた火種をつくったのは、トランプ氏自身だと指摘している。

辜氏が例に挙げたのは、オバマ米政権時代の2015年に結ばれたイラン核合意(包括的共同行動計画、JCPOA)である。同合意は、中国やロシアを含む国連安全保障理事会の5常任理事国に加え、欧州連合(EU)とドイツの支持を得て成立した。

各国は20カ月をかけて交渉を続け、この画期的な核合意にこぎ着けた。当時のイラン国会では穏健派が主導権を握っており、合意は賛成多数で承認された。

しかし、2017年初めにトランプ氏が大統領に就任すると、状況は一変した。トランプ氏は2018年5月、米国のJCPOA離脱を表明し、イランに対する経済制裁を再開した。これによりイラン国内では強い反発が広がり、米国は信頼できない交渉相手だとの見方が強まった。

2026年7月2日、「財訊影響力フォーラム」で講演する野村総合研究所チーフエコノミストの辜朝明氏。(劉煥彦撮影)
野村総合研究所(NRI)のチーフエコノミスト、辜朝明氏は2026年7月2日、財訊影響力フォーラムで講演した。(写真/劉煥彦撮影)

​2026年現在、米国とイランは60日間の和平交渉を行うことで合意している。主な焦点は、双方の恒久的な停戦、イラン核施設の取り扱い、西側諸国による対イラン経済制裁の解除である。​

しかし、今回のイラン危機はトランプ氏の対応によって引き起こされた側面が大きい。さらに、同盟国の支持も十分に得られておらず、イラン国内では強硬派が権力を握っている。2015年当時とは状況が大きく異なっている。

辜氏によれば、11年前は米国が国連安保理の5常任理事国やEUの支持を得ていたにもかかわらず、JCPOAの妥結までには20カ月を要した。米国とイランの相互不信が根強い現在、トランプ氏がわずか60日で交渉をまとめるのは極めて難しい。

トランプ氏がオバマ政権時代に合意された条件を改めて受け入れない限り、短期間での妥結は困難だが、その可能性も低いとみられる。

このため、米イラン交渉は60日を超えて長期化する可能性が高く、具体的な成果が得られるかどうかも依然として不透明である。

2015年は妥結に20カ月、今回は60日で合意できるのか

​辜氏は先週木曜日(7月2日)、財訊影響力フォーラムで「岐路に立つ世界経済と、米国主導のグローバル秩序の終焉」と題して講演した。同氏は、米イラン問題が早期に解決されなければ、世界はエネルギー危機と地政学的危機を避けられないと警鐘を鳴らした。

辜氏は、2015年に成立したイラン核合意を振り返った。当時、米国は国連安保理の他の4常任理事国に加え、ドイツ、EUと協力し、20カ月に及ぶ交渉の末、2015年7月に合意に達した。
(関連記事: 米軍はなぜイラン政権を倒せなかったのか 1万3000回超の空爆が示した「技術優位」の限界 関連記事をもっと読む

JCPOAでは、イランがすべての中濃縮ウラン、98%の低濃縮ウラン、さらにガス遠心分離機の約3分の2を引き渡すことが明記された。

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