【単独インタビュー】ロシア後方を狙うウクライナのドローン戦略 エネルギーと兵站を攻撃し交渉圧力に

2026-06-22 15:43
2026年6月20日、パリで開催された欧州の国際防衛見本市で、軍用ドローンを操作するフランス軍兵士。(写真/中央社提供)
2026年6月20日、パリで開催された欧州の国際防衛見本市で、軍用ドローンを操作するフランス軍兵士。(写真/中央社提供)

ウクライナは今週、ロシアの首都モスクワに対し、複数回にわたるドローン攻撃を行った。モスクワ南東部郊外のカポトニャ(Kapotnya)製油所には多数のドローンが飛来したとされる。同製油所はモスクワのガソリン需要の相当部分を支えており、ロシア国営天然ガス企業ガスプロム(Gazprom)が運営する施設にも被害が出た。黒煙が上がり、周辺空港では一時的に発着が停止されたほか、現地ではその後、黒い雨が降ったとの情報もあり、市民生活にも影響が広がった。

モスクワはウクライナの首都キーウから700キロ以上離れている。これまで攻撃を受けたロシアの港湾都市サンクトペテルブルクは、キーウから1000キロ以上離れている。こうした攻撃は、ロシアが安全圏と見なしてきた後方地域も、ウクライナの攻撃範囲に入りつつあることを示している。

元駐米ウクライナ大使館武官で、現在はウクライナ自由基金(Ukrainian Freedom Fund)の戦略開発ディレクターを務めるアンドリー・オルディノビッチ(Andrii Ordynovych)氏は、ウクライナが過去1年間、中距離・長距離ドローンを用いたロシア領内の後方地域への攻撃を本格化させてきたと指摘する。

標的は海軍・空軍基地などの軍事施設にとどまらない。製油所、石油化学関連施設、重要な補給拠点、装備修理工場、軍需産業施設などにも広がっている。

オルディノビッチ氏によれば、ウクライナはドローンを、敵国の後方地域を攻撃する戦略兵器として位置づけている。その狙いは、ロシア経済に負荷をかけ、石油輸出を通じた外貨獲得の仕組みを揺さぶり、戦争継続を困難にすることだけではない。ロシア上層部に政治的圧力をかけ、プーチン政権を交渉の席に着かせ、戦争終結を早めることにもあるという。

2026年6月中旬、ウクライナがドローンによる空爆を行い、ロシアの首都モスクワ近郊で黒煙と炎が立ち上り、製油所が甚大な被害を受けた。(ウクライナ大統領・ゼレンスキー氏のXより)
2026年6月中旬、ウクライナによるドローン攻撃で、ロシアの首都モスクワ近郊では激しい黒煙と炎が上がり、製油所が大きな被害を受けた。(画像/ゼレンスキー氏のXより)

ドローンは「戦略目標を実現する手段」

​オルディノビッチ氏はこのほど、台湾の国家科学技術委員会(国科会)のシンクタンク「テクノロジー・民主主義・社会研究センター(DSET)」が主催する年次フォーラムに出席するため来台した。同氏は会議に先立ち、『風傳媒』の単独インタビューに応じ、ウクライナが短距離から長距離までの軍用ドローンをどのように活用してきたのかを、軍事、経済、政治の各側面から語った。

同氏が強調したのは、ドローンを単なる兵器としてではなく、より高いレベルの戦略目標を達成する手段として見る視点だ。

FPVドローンが前線を「キルゾーン」に変えた

戦術面で大きな変化をもたらしたのが、FPV(First Person View、一人称視点)ドローンだ。操縦者が機体搭載カメラの映像を見ながら操作するこのドローンは、前線の戦い方を大きく変えた。
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オルディノビッチ氏によれば、ウクライナ軍はFPVドローンを活用し、双方が交戦する前線周辺を、ロシア軍にとってのキルゾーン、すなわち殺傷地帯に変えた。特に前線からおおむね10〜20キロ程度の範囲でその効果が大きく、ロシア軍は大規模な装甲部隊を投入して地上部隊を前進させることが難しくなったという。

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