成年後見制度はどう変わるのか 「補助」一元化で本人の意思尊重へ

成年後見制度は「補助」へ一元化され、本人の意思を尊重し必要に応じて終了できる制度へ転換するが、特定補助の運用や終了後の支援体制などに課題を残す。(写真/日本記者クラブ提供)
成年後見制度は「補助」へ一元化され、本人の意思を尊重し必要に応じて終了できる制度へ転換するが、特定補助の運用や終了後の支援体制などに課題を残す。(写真/日本記者クラブ提供)

2026年6月16日、弁護士の赤沼康弘氏が「どうなる成年後見」と題した記者会見を行い、現在国会で審議中の成年後見制度に関する民法改正案の背景と今後の課題について解説した。長年、家事事件や被後見人の財産管理実務に携わってきた赤沼氏は、今回の法改正によって、利用者の意思をより尊重し、必要な期間のみ利用できる制度への転換が図られると展望を語った。

成年後見を本人の意思を尊重する「オーダーメイド型」へ

赤沼弁護士はまず、2000年に施行された現行の成年後見制度について、かつての禁治産・準禁治産制度から理念上は前進したものの、運用面では依然として本人の自己決定よりも「保護」が重視されてきたと指摘した。

その結果、本人の権限が大きく制約される「後見」類型に利用が偏り、一度利用を開始すると判断能力が回復しない限り死ぬまで制度が継続し、後見人への報酬等の費用負担が続くといった問題が生じていた。さらに、国連の障害者権利条約から本人の状況に応じた支援が求められたことも、制度見直しの大きな原動力となったと説明した。

間もなく成立し、約2年半後の施行が見込まれる改正案では、従来の画一的な保護から、本人の個別状況に応じた「オーダーメイド型」の支援へと移行する。具体的には、法定の制度を原則として「補助」に一元化し、本人の同意を前提として必要な範囲でのみ権限を付与する仕組みとなる。これにより、他の支援で対応可能になれば、制度の利用を終了させることも可能になる。また、任意後見制度と補助の併用も認められ、より柔軟な権利擁護が期待される。

「特定補助」の権限運用に懸念 制度改正後も課題残る

一方で赤沼弁護士は、判断能力を欠く状況にある人を対象とする「特定補助」について懸念を示した。特定補助人には従来の「後見」に近い強力な権限が付与される可能性があるため、現場の保護主義的な意識から実質的にかつての後見類型と同じ運用に陥らないよう、厳格な運用が不可欠だと警鐘を鳴らした。このほか、制度終了後の金融機関の対応や地域の支援体制の構築、家庭裁判所の体制強化なども今後の課題として挙げられた。

編集:小田菜々香

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