タイのシーハサック・プアンゲートゲーオ副首相兼外相は2026年6月10日、日本記者クラブで記者会見を行い、日タイ両国間のパートナーシップ強化や複雑化する国際情勢への対応、特にミャンマーやカンボジアなどメコン地域情勢について語った。
日タイ修好140周年へ、新たな協力分野の開拓に意欲
同氏は1957年生まれで、チュラロンコン大学や米ジョンズ・ホプキンス大学で学び、2011年に外務事務次官、2015年から2016年まで駐日大使、2016年から2018年まで駐フランス大使を務めるなど40年以上にわたり外交の最前線で活躍してきた。2023年から外務副大臣、2025年に外相に就任し、今年4月からは副首相も兼務している。
駐日大使時代の2015年9月以来、約11年ぶりとなる同クラブでの会見では、かつて楽しんだ屋形船の思い出にも触れつつ、翌年に控える日タイ修好140周年に向けて、滞在中に茂木外相とも会談し新たな協力分野を開拓する意欲を示した。
タイの国内情勢についてシーハサック氏は、ここ数年頻繁な指導者や政権の交代により政策の継続性が阻害され、かつて2桁だった経済成長率が現在約2%にまで減速していると指摘した。しかし、現政権は議会の過半数を2党のみで占める安定した連立政権であり、今後は経済政策の安定と改革が期待できると強調した。
日本との経済協力拡大へ 脱炭素や医療、物流に期待
特にインフラ整備、規制緩和、人材育成の再構築を進めており、日本からの直接投資が昨年約40%増加したことに触れ、グリーン経済、デジタルトランスフォーメーション、クリーンエネルギー、脱炭素化、そしてカーボンクレジット市場の開発において日本との協力拡大を求めた。
また、タイの強みである食品生産を活かした健康・栄養食品分野や、トップレベルの医療施設を活かした医療・ヘルスケア分野、さらに東南アジアの中心という戦略的立地を活かした物流分野でも、日本との新たな成長エンジンを見出したいと語った。タイのOECD加盟に向けた日本の支援にも感謝を示し、投資優遇措置の手続き迅速化などビジネス環境の改善に取り組む姿勢を明らかにした。
ルールに基づく国際秩序を重視、日本の役割にも期待
外交分野において、タイの最優先課題は日本と同様にルールに基づく国際秩序の維持であると述べた。米中の競争が激化する中、日本、韓国、インド、オーストラリアなどの同志国と連携し、多極的な秩序を維持することが重要であると指摘した。
また、日本に対しては日米同盟を基軸としつつも、東南アジアやASEAN地域における独自の安全保障および経済安全保障の役割を果たすことを期待していると述べ、エネルギー安全保障や移行を支援する日本の自由で開かれたインド太平洋政策のアップグレードを歓迎した。
ミャンマー安定へ対話と人道支援 難民政策も柔軟化
ミャンマー情勢については、ASEANおよび周辺国にとって最大の懸念事項であるとし、タイはミャンマー政府との関与と人道支援の拡大という2つの道で対応していると説明した。同氏は、ミャンマーの平和と安定には全野党を含めた対話が必要であり、暴力の削減や人道支援へのアクセス改善など、ミャンマー側の双方向の努力が不可欠であると強調した。


















































